ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

善蔵溜池

2023-06-12 17:15:11 | 福岡県
2023年5月20日 善蔵溜池

善蔵溜池は福岡県八女市黒木町木屋にある灌漑目的のアースフィルダムです。
八女市黒木町はまとまった平坦地がほとんどなく、傾斜地や沢沿いの狭い平地を開墾するため戦前より多数の溜池が築造されてきました。
善蔵溜池もその一つで、ダム便覧には1927年(昭和2年)に善蔵耕地整理組合の事業により竣工と記されており、国等の補助はあったものの事業費の過半は受益者である大谷川下流域の農家の持ち出しで建設されたと思われます。
管理は今も善蔵耕地整理組合が行っています。
また善蔵溜池の貯水容量は24万9000立米と花宗溜池、山中溜池に次ぐ市内3番目の規模となっています。
善蔵の由来は不明ですが、もともと当地には古くからの溜池がありその溜池築造に際して中心的役割をはたした人物の名が採られたのでは?と推察します。

善蔵溜池はグリーンピア八女の敷地内にあり、湖岸を周回する遊歩道が整備され手軽なハイキングコースとなっています。
ダム堤体への車の乗りつけはできず湖畔のセラピー広場から遊歩道を約600メートル歩きます。
写真は池の西端にあるセラピー広場
グリーンピア開業時にキャンプ場が整備されビジターハウスも建てられましたが今は閉鎖。
グリーンピアについてはいろいろ言いたいことはありますがここでは割愛。
今は八女市が運営しています。



湖畔にはハナショウブ


池の堤体を遠望
ここから約600メートル歩きます。


セラピー広場から10分ほどで堤体右岸に到着
手前は洪水吐。


アングルを変えて
貯水池は満水で越流しています。


ダムサイトに建つ記念碑
中央は昭和2年の竣工記念碑、左右は改修記念碑。
竣工記念碑は摩耗が激しく解読できず。
改修記念碑によれば昭和59年に災害復旧工事、平成元年に底樋と斜樋の改修が行われました。


天端は遊歩道となっておりきれいに草が刈られています。


天端から
グリーンピアのパンフレットには『展望広場』と記され山名案内板も置かれています。
受益地となる水田はここから1キロ以上下流にあります。


総貯水容量24万9000立米は八女市内3番目の規模
湖畔を一周する遊歩道が整備されています。
自然林も残り紅葉期にはそこそこ人出があるようです。


天端中央の斜樋
シャフトは2本。


左岸から。


池の下に下りるルートが見つからなかったので底樋管は確認できませんでした。
その代わり池の下流400メートルを通る市道わきで善蔵溜池から伸びる灌漑用水路が確認できます。
田植え時期を控え、水が勢いよく流下していました。


2380 善蔵溜池 (1989)         
ため池データベース  402101009 
福岡県八女市黒木町木屋
矢部川水系大谷川
19メートル
90メートル
249千㎥/249千㎥
善蔵耕地整理組合
1927年


2 コメント

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美しい溜池 (tibineko)
2023-06-13 14:37:31
観光地としての一面があるからなのか、溜池という言葉が意外に感じられるくらい、綺麗に整備されていますね。
展望広場から見る山並みも、写真通りで・・
昭和2年に竣工された溜池、ほぼ一世紀の間、下流の水田を潤してきたんですね・・
学術的な事は全く無知ですが、先人たちの情熱を想うと、ただ、ただ「凄い」・・
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Unknown (まっち)
2023-06-13 17:35:49
ここまで藪漕ぎ案件の溜池が続いたので、ようやく普通の溜池でほっとしたのが本音です。
自然林が残っているので紅葉期はなかなか絵になる場所だと思います。
右岸に建つ立派な記念碑が受益農家のこの池に対する期待と感謝のほどを表していると思います。
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