ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小坂堤

2023-11-09 17:04:06 | 新潟県
2016年8月 6日 小坂堤
2023年9月24日

小坂堤は新潟県十日町市南鎧坂の信濃川水系小坂川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
信濃川沿岸の段丘上では揚水技術のなかった時代、目の前を流れる大河の水はただ見送るばかりで小河川や天水を水源とするしか手がなく小規模な畑作に留まっていました。
明治以降段丘上での新田開発が活発化し、併せて多数の小規模溜池が築造されますが小坂堤もそんな溜池の一つです。
ダム便覧には1881年(明治14年)に南鐙坂地区の事業で竣工と記されており、受益農家の持ち出して建設されたと思われます。
現在も受益農家で組織される十日町市土地改良区傘下の鎧坂水利組合が管理を行っています。

小坂堤は従来堤高15メートルとしてダム便覧及びダム年鑑委掲載されていましたが、その後の改修工事を受けて堤高11.5メートルとダム要件未達となってしまいました。
その結果、残念ながら2024年(令和6年)にダム便覧及びダム年鑑より削除されてしまいました。
小坂堤には2016年(平成28年)6月に初訪、その後改修工事が完了したとの報を受け2023年(令和5年)9月に再訪しました。
記事の前半は再訪時、後半は初訪時の写真となっています。

池は十日町市南鎧坂の東光寺というお寺の裏手にあります。
池下から
改修で刷新された洪水吐斜水路の白いコンクリートが目を引きます。
注目の堤高ですが、池の基盤をどこにするかで判断が分かれるでしょう。
単に堤の高さだけなら11.5メートルかもしれませんが、実際の池の基部はもっと下にあるように思えます。


緩やかにカーブを描く斜水路
向って右手に底樋管があります。


右岸から
改修後に植えられた草が未だまだら模様。


天端はコンクリート舗装ですが車両に進入はできません。


総貯水容量は便覧では1万8000万立米、ため池データベースでは3万1800立米。
いずれにしても小さな溜池です。


左岸の横越流式洪水吐と斜樋。
ともに改修で刷新されました。


洪水吐導流部。


横越流式洪水吐。


上流から
上流面はコンクリートで護岸。


洪水吐直上の斜樋。


対岸にある階段式池栓のあと。
改修以前はここから取水していました。


ここから先は2016年(平成28年)8月6日の写真となります。


天端はダート
車両の通行ができます。


見づらい写真ですが右岸の階段式池栓。
取水されており、ごぼごぼ音が鳴っています。


これまたわかりづらいですが左岸の洪水吐。


上流面は石積み護岸。


改修によりすっかりきれいな池に生まれ変わった小坂堤。
ダムかどうか?の議論はあるにせよ、今も受益農家の貴重な水源として重用されていることに変わりありません。

0713 小坂堤(0502)
ため池コード 152100151
新潟県十日町市南鎧坂
信濃川水系小坂川
11.5メートル
48.2メートル
31.8千㎥)/----
十日町土地改良区・鎧坂水利組合
1881年
2024年 ダム便覧より削除


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