ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

馬瀬川第二ダム

2016-10-19 10:13:01 | 岐阜県
2016年10月16日 馬瀬川第二ダム
 
馬瀬川第二ダムは岐阜県下呂市金山町岩瀬の一級河川木曽川水系飛騨川右支流馬瀬川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量が豊富で急流が続く飛騨川水系は戦前から電力開発が進み、飛騨川支流の馬瀬川では1938年(昭和13年)に日本電力が西村ダムを建設していました。
戦後中部電力、農林省、建設省がそれぞれの思惑で馬瀬川中流域でのダム建設を模索する中、『木曽川水系水資源総合開発計画(フルプラン)』により木曽川水系の河川総合開発は水資源開発公団(現水資源機構)が担うことになります。
中部電力は同公団による岩屋ダム建設事業に発電事業者として参加するとともに岩屋ダム下流に馬瀬川第二ダム建設を進め、岩屋ダムと同じ1976年(昭和51年)に竣工しました。
岩屋ダムを上部池、当ダムを下部池として馬瀬川第一発電所で最大キロワットの混合揚水式発電を行うほか、馬瀬川第二発電所で最大6万6400キロワットのダム式発電を行います。
 
馬瀬川第二ダムは県道86号線沿いにあり、まずは下流からアプローチします。
下流からの展望スポットはほとんどなく、樹間からこの写真を撮るのが精一杯。
落葉すればもう少しきれいに見えるかもしれません。
中電らしい3門のラジアルゲートを備 えています。
 
左岸から。
馬瀬川第二ダムをまともに見ることができるのはここだけです。
 
中部電力のダムとしては珍しく天端は立ち入り可能です。
 
高い導流壁。
 
ダム湖の奥にかすかに岩屋ダムが見えます。
揚水発電の下部池のほか、岩屋ダムの逆調整池の役割も持っています。
 
一般水力発電の馬瀬川第二発電所。
厳密には発電所は地下にありこれは変電施設です。
電力会社のダムの名前は導水先のダムの名前を付けることが多く馬瀬川第2ダムはこの発電所の名前を採用しています。
馬瀬川第一ダムは岩屋ダムとの揚水式発電となるので第二ダムはあるけど第一ダムがないという状態になっています。
 
フローティング方式の取水設備。
揚水式発電の下部池で水位の変動が大きいのでフローティング方式の取水設備となっています。
 
上の取水設備で取水された水はここを通じて河川維持用水として放流されます。
サージタンクの様な役割があると思われます。
 
上流から。
 
岩屋ダムの天端から辛うじて馬瀬川第2ダムを見ることができました。
 
展望スポットは少ないのですが、フローティング方式の取水設備などなかなか面白い施設が多い馬瀬川第二ダムです。

(追記)
馬瀬川第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1115 馬瀬川第二ダム(0652)
岐阜県下呂市金山町岩瀬
木曽川水系馬瀬川
44.5メートル
263メートル
9736㎥/6100㎥
中部電力(株)
1976年
◎治水協定が締結されたダム


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