ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

木曽川大堰『ダム研見学会』

2024-01-05 17:23:27 | ダム見学会
2023年11月24日 木曽川大堰『ダム研見学会』
 
今年8月に日本ダム協会よりダムマイスターを拝命し、従来のダム活動に加え私が主催するダム勉強会グループ『ダム研』メンバーを中心にした見学会の企画・実施を活動の柱とすることにしました。
そして11月2日の蔵王ダム見学会に次いで見学会の場として選んだのが水資源機構が管理する木曽川大堰です。
木曽川大堰を選んだのは、木曽川本流にある河川法上のダムの中で唯一未訪物件であること、さらに今年4月に木曽川用水上流事業の調整池である蜂谷調整池を訪問し、木曽川用水事業についてもっと深く知識を得たいと考えたからです。
今回は既知のダム愛好家に声がけし結果的に計4名での見学会となりました。
なお木曽川大堰の概要については『木曽川大堰』の項をご覧ください。
 
こちらは木曽川大堰を管理する水資源機構木曽川用水総合管理所の正門。
普段は関係者以外立ち入り禁止です。


御影石の親柱
『独立行政法人 水資源機構 木曽川用水総合管理所』と記されています。


こちらはちょっと古びた管理所の玄関。
見学会は13時から、30分ほど前に到着しメンバーの到着を待ちます。


敷地内にある木曽川用水通史20周年記念碑。
○○豊潤
○○が分からない。


こちらも敷地内にあるモニュメント
水資源機構の前身、水資源開発公団と記されています。


いよいよ見学会の開始。
まずは職員様による木曽川用水事業についてのレクチャー。
約40分にわたり詳細な説明を受けました。


木曽川用水事業は馬瀬川にある岩屋ダムを水源とし、美濃加茂周辺の木曽川右岸地区を受益地とする上流部事業と、木曽川下流沿岸の濃尾第二地区を受益地とする下流部事業に大別されます。
木曽川大堰は下流部事業の取水堰です。
木曽川用水総合管理所は木曽川大堰の管理・運用のみならず、上流部事業・下流部事業・長良川河口堰を取水堰とする長良導水事業を統合管理するほか、発電や愛知用水等他の利水事業者と綿密に情報交換を行い適正な配水管理を行っています。


堰長587メートル、堤防間距離735メートルで木曽川を締め切る木曽川大堰の説明。


レクチャーの後は管制室で具体的な管理業務についての説明を頂きますが、保安上の理由もあり写真は割愛。
こちらは管理所屋上からの木曽川大堰の眺め。
手前に取水口があります。


こちらは静水池。


ズームアップ
静水池の『ハ』の字型の導流堤で水流を整えます。


手前が除塵機
その先が流量計。
奥が主要幹線となる海部幹線水路
ここから濃尾第二地区に灌漑用水及び都市用水を供給します。

木曽川大堰そばに向かいます。
手前は取水口主ゲート。


ここから先は普段は立ち入り禁止。


まずは下流側から
木曽川大堰は土砂吐ゲート2門、調節ゲート3門、洪水吐ゲート9門のほか、舟通し1か所、魚道3か所を備えています。


こちらは調節ゲート
平時はここから放流します。


閘門と呼ぶのが一般的ですが、木曽川大堰では舟通しと呼びます。


左岸の魚道。


ゲートハウスを見上げます。
木曽川大堰と水資源機構のシンボルが貼られています。


手前2門は土砂吐ゲート
ゲートの下部から土砂を排出し、手前にある取水口への土砂の流入を防ぎます。


こちらが取水口。


アングルを変えて
2か所のスクリーンで塵芥や流木の流入を防ぎます。


暗渠の先には取水ゲートがあります。
こちらは主ゲート。
左奥は管理所で先ほどはあの屋上から大堰を見下ろしました。


堤防から
取水ゲートは2か所あり静水池手前のこちらのゲートは予備ゲートになります。


静水池側からの取水ゲート予備ゲート。


水利使用標識。
この取水口からの認可取水量は最大毎秒34.02立米、
灌漑用水の受益面積は7878ヘクタールに及びます。


ちょっと見づらいですが除塵機のスクリーン。
流入口2か所のスクリーンで捕捉できない塵芥をここで捕捉します。


こちらが除塵機。


除塵機の先の流量計。


流量ゲートの銘板。
ゲートは丸島水門(現丸島アクシア)製。


これは水質観測設備。


流量計越しの除塵機と取水ゲート。


静水池わきの馬飼東分水工
木曽川大堰は85か所の灌漑用取水口を合口しましたが、こちらもその一つ。
ここから受益農地へ分水されます。


最後に管理所裏手の利水神社へ。
ここにはかつて木曽川下流部の最大用水だった佐屋用水取入れ口である佐屋川樋門がありました。

 
佐屋用水の説明板。

利水神社の社
この奥に佐屋川樋門がありました。


佐屋用水の記念碑裏面。
用水建設に至る由来や経緯が詳細に刻されています。


表には佐屋川用水樋門の銘板が嵌め込まれています。


木曽川用水総合管理所では原則学校の社会見学等への対応のみで個人での見学は受け付けていません。
今回はダムマイスターとして見学をお願いし、特別のご配慮で見学が叶いました。
対応していただいた水資源機構木曽川用水総合管理所の職員の皆様には厚く御礼申し上げます。
これを機に改めて木曽川の利水や治水について統合的に学びたいという意を強くしました。
今後、機会があれば木曽川水系のダムや頭首工などを改めて訪問したいと思います。


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