ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

下久保ダム

2019-04-21 08:00:00 | 群馬県
2015年12月05日 下久保ダム
2016年 2月13日
2016年 6月26日
2018年11月23日
2019年 4月13日
 
1947年(昭和22年)のカスリーン台風により利根川流域各所では未曾有の洪水被害が発生、これを受け経済安定本部により『利根川改訂改修計画』が策定され、建設省(現国交省)により利根川水系9カ所に多目的ダムを建設し利根川の総合的な治水が企図されました。
群馬県西部においては利根川の主要支流であり群馬県西部地域大半を流域とする烏川水系へのダム建設が計画され、烏川右支流の神流川中流部下久保地点へのダム建設が決定しました。
1959年(昭和34年)より建設省により下久保ダム建設が着手されますが、『利根川水系水資源総合開発計画(フルプラン)』採択により、事業は建設省から新たに組織された水資源開発公団(現水資源機構)に移管され1968年(昭和43年)に竣工したのが下久保ダムです。
下久保ダムは水資源開発公団法(現水資源機構法)によって建設された多目的ダムで神流川および烏川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、東京都および埼玉県への上水道用水と工業用水の供給、群馬県企業局下久保発電所でのダム式発電を目的としています。
2001年(平成13年)には下久保第二発電所が建設され、河川維持放流を利用して最大290キロワットの小水力発電を行ています。
下久保ダムは右岸岩盤の透水性が高く、その遮水処理のために堤体が『L字』に折れ曲がっており、ほぼ直角に曲がった特異な形状から『カド』の愛称で親しまれています。
 
鬼石から国道462号を西に向かうと左手に下久保ダムの堤体が見えてきます。
こちらは主堤となり、クレストにラジアルゲート2門、オリフィスゲート2門、コンジットゲート2門が見えます。
(2016年2月13日)
 
管理所裏手の展望台から。
 
右岸の副堤も上流側に『へ』の字に屈曲しています。
(2018年11月23日)
 
標高500メートルの城峯公園からはより高い位置から俯瞰できます。
(2018年11月23日)
 
左岸主堤上流面。
 
天端は車道
巨大な取水設備操作室が天端を跨いでいます。
 
減勢工は右手に大きく湾曲。
(2016年2月13日)
 
『カド』にある竣工記念碑、建設当時の水資源開発公団となっています。
(2016年2月13日)
 
『カド』の標石
(2016年2月13日)
 
『カド』を真上から見下ろします。
(2016年2月13日)
 
右岸から上流面
(2016年2月13日)
 
ゲートをズームアップ
ラジアルゲートの間にオリフィスの予備ゲートが並びます。
右手は選択取水設備。
 
2016年6月26日放流設備点検イベント
 
6月26日に実施された下久保ダム放流設備点検イベントに参加してきました。
イベントの具体的な内容については別項にて詳細を記載しています。
今回は通常の訪問では見ることができない場所からの写真を中心に掲載したいと思います。
 
右岸から
 
分画部、つまりカドの内部。
 
堤体直下。
クレスト、オリフィスのほかにコンジットゲートも装備。
 
副ダム。
 
下久保発電所。
 
水車ランナー。
 
クレストゲートが全開しました。
 
 
普段はそばでは見れない減勢工
形状の異なるバッフルピアが2列に並びます。
右手は河川維持放流を利用した下久保第二発電所。
 
オリフィスゲートが開き始めると溜まっていた雨水が流れ落ちました。
 
すべてのゲートがオープン。
 
展望台から
 
2016年のイベントでは渇水のため水位が低くクレスト放流はありませんでした。そのせいか参加者は昨年の半分程度だった様ですが、カドの内部を見られる堤体B1トレッキングなど楽しいイベントも多く、充実した1日となりました。
 
(追記)
下久保ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0615 下久保ダム(0095)
左岸 群馬県藤岡市保美濃山
右岸 埼玉県児玉郡神川町矢納
利根川水系神流川
FNWIP
129メートル
605メートル
130000千㎥/120000千㎥
水資源機構
1968年
◎治水協定が締結されたダム