ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

二股上池

2018-01-15 16:04:44 | 香川県
2017年12月22日 二股上池
 
二股上池は香川県木田郡三木町鹿庭の新川水系新川右支流五反田川にある灌漑目的のアースフィルダムで、直下にある下池と併せて二股池と呼ばれています。
上池・下池がある場合通常下池の方が大きいのが一般的ですが、二股池の場合はまず新川水系五反田川を堰き止めて下池が作られ、のちに山向こうの鴨部川から取水して上池が作られたため上池の方が大規模になっています。
二股上池の起源は不明ですが、1836年(天保7年)の記録にその名が見え、1908年(明治41年)の嵩上げ工事でほぼ現在の規模になったようです。さらに2002年(平成14年)にかけて農水省の農地防災事業により上下池ともに大規模な改修が行われ、ダム便覧ではこの改修の竣工を竣工年度としています。
なお、香川県のデータとダム便覧では堤高や堤頂長の数字が異なっていますが、ここでは香川県の数字を採用します。
上池下池併せて木田郡二股池土地改良区が管理を行い195ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
下池越しの上池
 
上池天端には社が祀られ二股池が古い溜池であることを示しています。
 
上流面はコンクリートで護岸
堤体はきれいに刈り払われまるで芝生のよう。
 
天端から
真下に下池があります。
 
総貯水容量は60万6000立米。
山向こうの鴨部川から導水しています。
 
ダム湖右岸に突き出た岬の先端に斜樋があります。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部の脇に取水設備からの底樋ゲートがあります。
 
右岸から
左手は斜樋のある岬。
 
斜樋のある岬から見た洪水吐。
 
上下池ともに2002年の国営事業により改修された上に、手入れも行き届き非常に美しい溜池となっています。
上池は江戸時代から続く既得取水権として水系を超え鴨部川から取水していますが、一滴の水の確保にも苦労する讃岐の国で、この権利を獲得するには相当の苦難と紆余曲折があったことと推察されます。
 
2142 二股上池(1219)
ため池コード
香川県木田郡三木町鹿庭
新川水系五反田川
17.4メートル
280.5メートル
606千㎥/606千㎥
木田郡二股土地改良区
1908年竣工
2002年大規模改修工事竣工

前山ダム

2018-01-15 15:07:45 | 香川県
2017年12月22日 前山ダム
 
前山ダムは香川県さぬき市前山の鴨部川水系鴨部川上流部にある香川県土木が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、鴨部川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と安定した河川流量の保持、さぬき市への上水道用水の供給をを目的として1974年(昭和49年)に竣工しました。
ダム湖畔には『道の駅 ながお』が開設されているほか、県道3号線が遍路道にあたるため『前山おへんろ交流サロン』やミニ88カ所地蔵などが設置され街道筋のミニターミナルとなっています。
 
ダム手前で左手の枝道に入ると、ダムを下流から眺めることができます。
残念ながらちょっと逆光、
クレストにローラーゲート1門にゲートピア上に頭でっかちの操作室が乗っかる香川県ではおなじみのデザイン。
 
上流から遠望
左手は管理事務所。
 
水色のゲート直上に白い予備ゲートがあります。
右手は取水設備。
 
天端は車両通行可
ゲートピアの階段は香川県ではおなじみの螺旋じゃないのね?
 
白いゲートは実は予備ゲート。
主ゲートは手前の青いガイドレールの下にあります。
 
減勢工と放流設備。
 
総貯水容量は213万立米。
湖畔には道の駅やおへんろ交流サロンなどがあります。
 
旧管理事務所とインクライン。
 
右岸から下流面。
 
こちらも香川ではおなじみ、立派な竣工碑。
 
見た目は大内ダムや大川ダムとそっくりですが、サイズは前山ダムの方が数回り大きくなっています。
 
2184 前山ダム(1218
香川県さぬき市前山
鴨部川水系鴨部川
FNW
38.8メートル
181.5メートル
2130千㎥/1830千㎥
香川県土木部
1974年

石神池

2018-01-15 13:34:08 | 香川県
2017年12月22日 石神池
 
石神池は香川県さぬき市長尾名の鴨部川水系長尾川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期寛文2年(1662年)まで遡り、干ばつに悩まされていた庄屋たちが高松藩に陳情し藩の普請で築造されました。
その後数度の改修や補強が行われたのち、1940年(昭和15年)に鴨部川からの水路トンネルが完成し安定した集水が可能となりました。
さらに1963年(昭和38年)の大規模改修により嵩上され貯水容量は従来の約5倍に拡大、ほぼ現在の姿となりました。
ダム便覧ではこの大規模改修の竣工をもって竣工年度としています。
管理はさぬき市長尾土地改良区が行い約220ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
ダム下から
ダム下にトンネル式洪水吐の吐口と底樋があるはずですが確認しませんでした。
 
下流面を車道が斜行しています
天端も含めて車両の通行可能です。
 
右岸にある嵩上記念碑
1963年(昭和38年)の大規模改修の記念碑です。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
上流から見た洪水吐
導流部はトンネル
後付けのパイプは維持放流用のものでしょうか?
 
天端からの眺め。
中央を流れる鴨部川流域一帯が池の受益地です。
 
右岸の斜樋。
 
総貯水容量は79万立米
自己流域だけでは集水できないため、鴨部川から導水トンネルを使って集水しています。
 
左岸からみた下流面。
 
池の名前の由来となった左岸にある石神神社。
 
2148 石神池(1217)
ため池コード 372060101 
香川県さぬき市長尾名
鴨部川水系長尾川
21メートル
200メートル
790千㎥/769千㎥
さぬき市長尾土地改良区
1662年築造
1963年大規模嵩上げ改修竣工