ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

月光川ダム

2016-09-08 17:23:13 | 山形県
2016年9月5日 月光川ダム
 
月光川(がっこうがわ)ダムは左岸が山形県飽海郡遊佐町杉沢、右岸が同町吉出の二級河川月光川にある山形県営の治水専用重力式コンクリート・フィル複合ダムです。
鳥海山南麓を流下する月光川は、急流に加え流域は火山噴出部が堆積した脆い地盤のため洪水が頻発し、抜本的な治水対策が求められていました。
山形県は1970年(昭和45年)に月光川への治水ダム建設を採択、1978年(昭和53年)に竣工したのが月光川ダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けた補助治水ダムで月光川の洪水調節(最大毎秒100立米の洪水カット)を行うほか、2018年(平成30年)には河川維持放流を利用した月光川発電所(最大出力570キロワット)が増設されました。
ダム右岸が透水性の高い脆弱地盤となっており、重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルという非常に珍しい組み合わせの複合ダムとなっています。
 
遊佐町中心街から県道酒田遊佐線を東に向かうと右手に月光川ダムへの標識が現れます。
右岸高台の管理事務所から俯瞰。
重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルの珍しい複合ダムです。
 
下流面、
ちょうど逆光になってしまいました。
 
上流面
複合ダムということがよくわかるアングル。
 
防災専用ダムのため普段はダム湖はカラカラです。
 
減勢工、
左岸に河川維持放流を利用した小水力発電所があります。
 
アスファルトフェイシングフィル。
 
天端。
天端は鳥海山が一望できる絶好のロケーション。
 
 
天端からは海も見えます。
 
ダムの型式はたぶん日本で唯一と思われる重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルの複合。
おまけに天端から海が見える2重の意味でのレアなダムです。
 
0438 月光川ダム(0547)
左岸 山形県飽海郡遊佐町杉沢
右岸        同町吉出
月光川水系月光川
GF
48メートル
205メートル
1780千㎥/1670千㎥
山形県県土整備部
1978年

温海川ダム

2016-09-08 15:46:46 | 山形県
2016年9月5日 温海川ダム
 
温海川ダムは山形県鶴岡市一霞の二級河川温海川本流にある山形県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
多雨多雪地帯を流域とする温海川は融雪期や豪雨のたびに洪水が多発し抜本的な治水対策が求められていました。
一方で下流域は温海温泉街があり河川改修では対応不可能のことから、県は多目的ダムによる治水事業を採択、1986年(昭和61年)に温海川ダムが竣工しました。
温海川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、温海川の洪水調節(最大毎秒210立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定利水への補給、山形県企業局温海川発電所(最大出力1000キロワット)でのダム式水力発電を目的としています。
 
温海川ダムは県道44号線にありダムのすぐ下流に駐車場が設置されています。
クレストに自由越流式が7門のほかオリフィスゲートを備えています。
 
ちょうど日が昇り逆光になってしまいました。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面。
 
樹間から。
 
管理事務所。
 
ダム湖(奥温海湖)越しに。
 
案内板。
 
0441 温海川ダム(0546)
山形県鶴岡市一霞
温海川水系温海川
FNP
60メートル
167メートル
5700千㎥/4400千㎥
山形県県土整備部
1986年

寒河江ダム

2016-09-08 13:05:27 | 山形県
2016年9月4日 寒河江ダム
 
寒河江ダムは左岸が山形県村山郡西川町砂子関、右岸が同町月岡の一級河川最上川水系寒河江川にある国交省東北地方整備局が直轄管理する多目的ロックフィルダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨を契機にに建設省(現国交省)は最上川水系の治水事業を見直しを図り、主要各支流での多目的ダム建設を軸とした河川総合開発が着手されました。
寒河江川でも1972年(昭和47年)に多目的ダム建設が着手され1990年(平成2年)に寒河江ダムが竣工しました。
寒河江ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、当ダムに置かれた最上川ダム統合管理事務所により長井ダム白川ダムと連携した洪水調節(当ダムでは毎秒最大1700立米の洪水カット)を行うほか、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、6市2郡6町への上水道用水の供給、東北電力本道寺発電所(最大7万5000キロワット)及び水ヶ瀞発電所(最大5000キロワット)での水力発電を目的としています。
また利水放流を利用して寒河江ダム管理用発電所(最大出力710キロワット)で小水力発電も行っています。
 
西川町中心部から国道112号を鶴岡方面に向かうと左手に寒河江ダムが見えてきます。
牧尾ダム小河内ダムと同様に、地山を挟んで堤体と洪水吐が分かれる独特の構造です。
 
カニの様な特徴的な洪水吐。
ここだけ見ると重力式コンクリートダムの様です。
 
上流面。
こうやって見るとコンバインダムのようにも見えますが、洪水吐はあくまでもロックフィルダムの一部分という認識のようです。
 
ダム湖(月山湖)
他は晴れていても、ダム周辺だけは曇ってることが多いようです。
 
名物の月山湖大噴水。
 
本道寺発電所の取水設備。
 
天端とロックフィル下流面。
天端は2車線の道ですが、関係者以外車の通行はできません。
 
減勢工。
堤体直下はバーベキュー広場やテニスコートなどができる公園になっています。
 
洪水吐導流部。
 
複数のゲートが並ぶ洪水吐。
 
 
(追記)
寒河江ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0444 寒河江ダム(0545)
左岸 山形県西村山郡西川町砂子関
右岸         同町月岡
最上川水系寒河江川
FNAWP
112メートル
510メートル
109000千㎥/98000千㎥
国交省東北地方整備局
1990年
◎治水協定が締結されたダム

月山ダム

2016-09-08 11:36:59 | 山形県
2016年9月4日 月山ダム
 
月山ダムは左岸が山形県鶴岡市上名川、右岸が同市大網の一級河川赤川水系梵字川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
庄内平野を貫流する赤川は古くから貴重な水源として重用される一方、洪水や渇水が多発していました。
1955年(昭和30年)に県の事業により赤川本流に荒沢ダムが建設されますが、水系全体の治水としては不十分で、さらに鶴岡市の水道需要の増加もあり抜本的な治水・利水対策が求められました。
これを受け建設省(現国交省)は赤川の主要支流梵字川への多目的ダム建設に着手、2001年(平成13年)に月山ダムが竣工しました。
月山ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、梵字川・赤川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得灌漑用水への補給、鶴岡市へ上水供給、東北電力月山発電所(最大出力8800キロワット)でのダム式発電を目的としています。

旧朝日町中心部から国道112号を寒河江方面に走り『道の駅月山』を過ぎると右手に月山ダムへの標識が現れます。
管理事務所手前の展望台から、
朝日町の太陽と月山の月をモチーフにしたおなじみのデザイン。
 
減勢工。
手前は利水放流操作室、奥は左が東北電力月山発電所、右は管理用小水力発電所。
 
下流面。
 
ガラス張りの管理事務所。
 
上流面。
 
ダム湖(あさひ月山湖)。
 
天端。
 
減勢工。
 
下流には3本の橋梁
上から山形道、国道112号、一番下はダムの管理道路。
 
旧朝日町の花であるカタクリをイメージした紫色のコンジットゲート。
 
大日坊へ向かう道からダムと正対できました。
 
ダム湖畔の月の女神。
 
ダム湖上流から。
 
 
予約不要で簡単なダム見学ができ、珍しい紫色のコンジットゲートを間近で見ることができました。
冠雪した山々をバックにダイナミックな融雪放流を見てみたいものです。
 
(追記)
月山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0447 月山ダム(0544)
左岸 山形県鶴岡市上名川
右岸     同市大網
赤川水系梵字川
FNAWP
123メートル
393メートル
65000千㎥/58000千㎥
国交省東北地方整備局
2001年
◎治水協定が締結されたダム