ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小以良川ダム

2016-09-06 20:26:41 | 山形県
2016年9月3日 小以良川ダム

小以良川ダムは左岸が山形県新庄市鳥越、右岸が同市萩野の一級河川最上川水系小以良川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた山形県の事業で1965年(昭和40年)に竣工しました。
管理は泉田川土地改良区が受託し約130ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
 
新庄市街から県道土内五日市線を北上し萩野で小以良川沿いに東に向かいます。
道路はすぐにダートになるので車をデポして徒歩でダムへと向かいます。
ダムへの道中にはそば畑が続き、真っ白な蕎麦の花が満開です。
 
小以良川ダム最大の特徴は断崖に並ぶ二つのトンネルの吐口。
右手は洪水吐から、左は取水設備からの導水路です。
 
堤体を斜行して道路が登ります。
 
天端。
 
下流面。
 
上流面はコンクリートで補強
左岸に斜樋と洪水吐。
 
ダム湖。
 
斜樋。
 
洪水吐。
台風10号の影響か?越流しています。
 
3585 小以良川ダム(0535)
ため池コード
左岸 山形県新庄市鳥越
右岸     同市萩野
最上川水系小以良川
21.9メートル
67メートル
358千㎥/358千㎥
泉田川土地改良区
1965年

堤沢ダム

2016-09-06 19:26:12 | 山形県
2016年9月3日 堤沢ダム
 
堤沢ダムは山形県新庄市鳥越の最上川水系新田川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には山形県の事業で1977年(昭和52年)に竣工と記されており、管理は新庄土地改良区が受託しています。
灌漑期にダムから放流された水は新田川下流の駒場頭首工から灌漑用水として受益農地に供給されます。
2016年(平成28年)にかけての改修工事で堤高が14.9メートルに下がったことでダムの要件未達となりダム便覧から削除されました。
 
新庄市街から県道瀬見新庄線を東進すると最上東部広域農道との合流点手前に堤沢ダムへ向かう道路が分岐します。
ダムへの道は関係者車両以外通行禁止のため、ここから徒歩でダムへと向かいます。
見えてきた堤沢ダムは改修を終えて間がないようで、できたてのホカホカ。
 
堤体は立ち入り禁止。
 
真っ白いコンクリートの洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
改修を終えて間がないようでコンクリートも草が生えていない土も真っ白。
9月とはいえ30度を超える日差しがまぶしい堤沢ダムでした。
 
(追記)
堤沢ダムは再開発事業により堤高が14.9メートルとなりダムの要件未達となりました。
これを受け2019年にダム便覧から削除されました。
 
堤沢ダム(0534)
ため池コード
山形県新庄市鳥越
最上川水系新田川
14.9メートル
138メートル
204千㎥/204千㎥
新庄土地改良区
1977年
2019年ダム便覧より削除


新鶴子ダム

2016-09-06 17:39:31 | 山形県
2016年9月3日 新鶴子ダム
 
新鶴子ダムは山形県尾花沢市鶴子の一級河川最上川水系丹生川にある灌漑・発電目的のロックフィルダムです。
村山北部地区は丹生川によって形成された扇状地に農地が展開していますが、水源を河川表層水に依存し慢性的な用水不足に加え灌漑設備の未整備により、近代的・合理的農業経営が阻害されていました。
このような状況を打開するため農水省による国営農業水利事業村山北部地区が着手され、その灌漑用水源として1990年(平成2年)に竣工したのが新鶴子ダムです。
同事業には発電事業者として山形県企業局が事業参加し、運用開始後はダムの管理は山形県農林水産部が管理を受託し村山北部土地改良区約3100ヘクタール超への灌漑用水の供給を行うとともに、県企業局新鶴子発電所(最大出力3700キロワット)で利水従属発電を行っています。
農業用ダムとしては堤高96メートル、貯水容量3150万㎥はともに国内第2位の規模を誇る巨大ロックフィルダムです。
『新鶴子』という名称は、従来当地にあり新ダム建設により水没した丹生川ダムの別名が鶴子ダムだったことに由来します。
 
尾花沢市街から県道鶴子尾花沢線を南東に向かうと正面に巨大なロックフィルダムが見えてきます。
訪問直前に通過した台風の影響でこの時期としては珍しく洪水吐から放流しています。


洪水吐斜水路直下から
美しい転波が見られます。


こちらは山形県企業局新鶴子発電所
農水省直轄ダムとしては利水従属発電第1号となる発電所で、灌漑期のみ発電を行います。
訪問時は絶賛稼働中、放流ゲートの隣には発電所未稼働時のゲートが2門あります。


堤高96メートルは農業用ダムとしては屈指のスケール。


下流面。

上流面
天端は徒歩のみ開放。


左岸の記念碑。
平成2年の竣工ということでダム湖は『平成の湖』。


ダムの説明板。


天端からの眺め
受益農地は丹生川下流の3100ヘクタール超に及びます。


ダム湖の『平成の湖』は総貯水容量3150万立米。
台風の影響で濁っています。


右岸の管理事務所
右手は横越流式洪水吐と取水塔、


減勢工と発電所。


横越流式洪水吐の越流部上端には切欠きがあり鋼製起伏ゲートが設置されています。
訪問時はゲートが倒され絶賛放流中。


アングルを変えて
洪水吐のスケールもけた違い。


取水塔
表層取水を行います。

まるで国交省直轄ダム並みのスケールを誇る巨大農業ダムです。
台風の影響で季節外れの放流も愛でることができ大満足。

(追記)
新鶴子ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0443 新鶴子ダム(0533)
山形県尾花沢市鶴子
最上川水系丹生川
AP
96メートル
283.9メートル
31500千㎥/29800千㎥
山形県農林水産部
1990年
◎治水協定が締結されたダム

銀山川ダム

2016-09-06 16:14:15 | 山形県
2016年9月3日 銀山川ダム
 
銀山川ダムは山形県尾花沢市銀山新畑の一級河川最上川水系銀山川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
1963年(昭和38年)に農林省(現農水省)の補助を受けた防災ダム事業により建設され、管理は山形県農林水産部が行っています。
 
尾花沢市街から銀山温泉の標識に従って東進、下柳渡戸から県道銀山温泉線に入りこけし工芸館を過ぎると左にダムへの分岐が現れます。
まず下流からの写真を撮ろうと試みますが、葉が茂る夏場はダムの全容を下流から見るのは厳しそうです。
 
いわゆる穴あきダムで、通常は堤体下部の穴から水が流れています。
 
ゲートは自由越流式です。
 
右手は管理事務所。
奥にプラント跡と思われる遺構が見えます。
 
有効貯水容量すべてが農地防災容量(洪水調節容量)となるため、普段はダム湖に水はためず流入量は放流ゲートからそのまま放流されます。
クレスト自由越流頂3門、放流ゲート2門を装備。
 
ダムの上流は
急流を抑えるためにカスケードになっており、河床は護岸されています。
 
葉が茂る前の春や落葉期ならもっとダムの全容を見ることができるでしょう。
味のあるダムなので季節を変えて再訪したいものです。
 
(追記)
銀山川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0430 銀山川ダム(0531)
山形県尾花沢市銀山新畑
最上川水系銀山川
21.3メートル
60メートル
263千㎥/243千㎥
山形県
1963年
◎治水協定が締結されたダム

白石山ダム

2016-09-06 13:01:43 | 山形県
2016年9月3日 白石山ダム

白石山ダムは山形県村山市湯野沢の一級河川最上川水系千座川左支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
河北町から村山市、大石田町にかけての最上川左岸丘陵地帯には昭和以降の開拓に併せて多数の溜池が築造されましたが、引竜第二溜池もその一つです。
ダム便覧には山形県の事業で1991年(平成3年)に竣工と記されていますが、これはあくまでも改修の竣工でそれ以前から溜池が存在していたとみるのが妥当でしょう。
管理は村山市西部土地改良区が行っています。
 
県道樽石河北線を北上し、湯野沢地区から岩野地区に掛かるあたりで集落の奥に白石山ダムの堤体が見えてきます。
 
集落のはずれからダムに通じる車道を登るとダムに到着します。
 
水抜きされ貯水池は空っぽ。
 
上流面はコンクリート補強、左岸に斜樋があります。
 
堤体下流面。
 
右岸の洪水吐。
左岸に洪水吐があります。
 
越流面はナマコ壁の様です。
 
0403 白石山ダム(0528)
ため池コード
山形県村山市湯野沢
最上川水系千座川左支流
15.9メートル
88メートル
46千㎥/46千㎥
村山市西部土地改良区
1991年

引竜第二溜池(引竜第二ダム)

2016-09-06 12:20:22 | 山形県
2016年9月3日 引竜第二溜池(引竜第二ダム)
 
引竜第二溜池は山形県西村山郡河北町岩木の一級河川最上川水系法師川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
河北町から村山市、大石田町にかけての最上川左岸丘陵地帯には昭和以降の開拓に併せて多数の溜池が築造されましたが、引竜第二溜池もその一つです。
2002年(平成14年)にかけて大規模な改修工事が行われ、ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
法師川の上流2キロ地点には先に建設された引竜第一溜池があり、ともに寒河江川土地改良区が管理を行っています。
なおダム便覧では引竜第二ダムと記されていますが、ため池データベースや河北町のため池ハザードマップでは引竜第二溜池となっており、当ブログでもそちらを採ります。

 
県道湯野沢寒河江線から引竜公園の標識に従って西に向かうと引竜第二溜池に到着します。
下流に回り込むとと洪水吐が見えます。
 
小ぶりですが越流しておりきれいな鱗が見えます。
 
ダムの下は引竜公園になっています。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
洪水吐。
薄く越流しています。
 
天端。
 
ダム湖と取水設備。
手前の階段は斜樋かと思ったらただの階段でした。
 
上流面はロックフィル。
 
下流面。
 
0420 引竜第二溜池(引竜第二ダム)(0526)
ため池コード
山形県西村山郡河北町岩木
最上川水系法師川
25.3メートル
122メートル
332千㎥/332千㎥
寒河江川土地改良区
2002年

平田溜池

2016-09-06 10:24:58 | 山形県
2016年9月3日 平田溜池
 
平田(へいた)溜池は山形県西村山郡河北町谷地の一級河川最上川水系滝の沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
河北町から村山市、大石田町にかけての最上川左岸丘陵地帯には昭和以降の開拓に併せて多数の溜池が築造されましたが、平田溜池もその一つです。
ダム便覧には土地改良区の事業で1958年(昭和33年)に竣工と記されており、団体営事業で建設されたと思われます。
現在は寒河江川土地改良区が管理を行っています。
 
県道湯野沢寒河江線から谷地地区の山の斜面に広がる果樹園を縫って滝ノ沢川沿いに西に向かうと平田溜池への入口が現れます。
県や四駆なら問題なさそうな道ですが念のためここから歩くことにしました。
 
ダート道を1.5キロ歩くと平田溜池が現れます。
 
天端。
 
上流面はコンクリートで補強。
 
溜池。
 
右岸の斜樋。
 
左岸に洪水吐があります。
越流部に四角い突起?
 
導流部。
壁面にはコケが生え歴史を感じさせます。
 
3402 平田溜池(0526)
ため池コード
山形県西村山郡河北町谷地
最上川水系滝ノ沢川
15.9メートル
56.9メートル
80千㎥/80千㎥
寒河江川土地改良区
1953年