ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

豊岡ダム(堰堤)

2015-12-28 14:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 豊岡ダム(堰堤)
 
豊岡ダムは静岡県浜松市天竜区門桁の天竜川水系気田川にある中部電力(株)が管理する発電目的の取水堰堤です。
1938年(昭和13年)に当時の中部電力(現在の中部電力とは別会社)に建設され、日本発送電時代を経て戦後は中部電力が継承、ここで取水された水は導水管によって8キロ下流の豊岡発電所に送られ、最大8100キロの発電を行っています。
 
豊岡ダムは気田川沿いの県道389号線脇にあります。
下流から見ると、天端の青い橋梁、中電らしい赤いゲートが周りの自然の中で映えて見えます。
 
鉄骨トラスの青い橋梁が鮮やか。
 
天端への入口。
 
プチ甲子園。
 
 
天端を渡って右岸から
対岸の道路は気田森林鉄道の軌道跡です。

豊岡ダム(豊岡堰堤)
静岡県浜松市天竜区門桁
天竜川水系気田川
中部電力(株)
1938年

水窪ダム

2015-12-28 12:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 水窪ダム
 
水窪ダムは浜松市天竜句水窪町の天竜川水系水窪川左支流戸中川にある電源開発(株)の発電用ロックフィルダムです。
天竜川中流域で佐久間ダム、秋葉ダムを完成させた電源開発は天竜川支流にも開発の手を伸ばし、1969年(昭和44年)に天竜川支流の水窪川水系に水窪ダムと水窪発電所を建設しました。
ここで取水された水は導水管で5キロ下流の水窪発電所に送られ最大5万キロワットの発電を行っています。
さらに水窪発電所の放流水は導水路で佐久間ダムに送られるため、本来佐久間ダムの下流で天竜川に合流し佐久間発電所で利用できずにいた水窪川水系の水を佐久間発電所で活用できるようになりました。
 
国道152号を北上、水窪から水窪川に沿って市道を東進すると水窪ダムに到着します。
下流から南アルプス深南部の山懐に抱かれた水窪ダム。
 
ロックフィルながら堤体が湾曲しています。
天端は車両通行可能ですがガードレールはなく落ちたらお陀仏。
 
下流面を見ても堤体が湾曲しているのがわかります。
 
下流をズームアップ
なんかごちゃごちゃしていますが、この下にトンネル式洪水吐導流部の吐口や減勢工があるようです。
 
右岸の洪水吐のラジアルゲート2門
ここからトンネル式の導流部へと続きます。
 
左岸の取水口
ここから水窪発電所へと導水されます。
 
ダムへ向かう道路の頭上に水窪発電所への導水管が見えます。
 
(追記)
水窪ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1171 水窪ダム(0140)
静岡県浜松市天竜区水窪町地頭方
天竜川水系戸中川
105メートル
258メートル
29981千㎥/22836千㎥
電源開発(株)
1969年
◎治水協定が締結されたダム

佐久間ダム(元)

2015-12-28 11:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 佐久間ダム(元)
 
佐久間ダムは浜松市天竜区佐久間町の天竜川にある電源開発(株)が所有する発電用重力式コンクリートダムです。
戦後の経済発展に伴う電力不足に対応するため、水量が豊富で急流が続く天竜川中流域に着目、1956年(昭和31年)に電源開発によって建設されたのが佐久間ダムです。
米国の技術を積極的に取り入れ着工からわずか3年という突貫工事で完成、現在でも堤高155.5メートルは重力式コンクリートダムで第4位、全ダムでも第9位、ダム湖の総貯水量は日本第8位の巨大ダムとなっています。
佐久間ダムの建設は大型土木構造物の近代的機械化工法が確立され日本の土木史においての『金字塔』と称されています。
 
ダムと同時に運用を開始した佐久間発電所は最大出力35万キロワットと一般水力発電では日本第3位の出力を誇り、年間総発電量は日本一の発電所となっています。
また1972年(昭和47年)からは新豊根発電所で新豊根ダムを上部ダム、佐久間ダムを下部ダムとする揚水発電で最大112万5000キロワットの発電を、1982年(昭和57年)には佐久間発電所の放流水を利用した佐久間第二発電所が完成、最大3万2000キロワットの発電を行っています。
 
発電のほかダム湖(佐久間湖)から佐久間導水路を通じて愛知県の宇連ダムに送水され豊川用水の水源の一部を担っているほか、2004年から国交省中部地方整備局により堆砂対策を通じた洪水調節機能を強化するための再開発事業がスタートしています。
 
今回は新豊根ダムから佐久間ダムへ向かい国道473号を北上、中部天竜から県道1号を北に向かい佐久間ダムに至りました。
佐久間電力館の展望台からダムを見下ろすします。
 
 
減勢工。
 
無駄な飾りのないゲートビアはいかにも質実剛健。
青い巻き上げ機と佐久間ダムの文字が目立ちます。
 
ゲートの補修工事が行われています。
取水塔の丸い屋根がお茶目。
 
 
天端から導流部。
ごつごつ感が堪りまへん。
 
2棟並ぶモダンな取水棟
ダム本体のいかつい様相とは対照的。
 
いかにも昭和30年代の風情漂う天端。
 
(追記)
佐久間ダム(元)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  

1160 佐久間ダム(元)(0139)
左岸 静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間 
右岸 愛知県北設楽郡豊根村古真立
天竜川水系天竜川
155.5メートル
293.5メートル
326848千㎥/205444千㎥
電源開発(株)
1956年
◎治水協定が締結されたダム
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3326 佐久間ダム(再)
左岸 静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間
右岸 愛知県北設楽郡豊根村古真立
天竜川水系天竜川
FP
155.5メートル
293.5メートル
343000千㎥/221596千㎥
国交省中部地方整備局
2004年~

新豊根ダム

2015-12-28 10:00:00 | 愛知県
2015年12月26日 新豊根ダム
 
新豊根ダムは愛知県北設楽郡豊根村の天竜川水系大入川にある治水・発電目的のアーチダムで、国交省中部地方整備局と電源開発が共同管理を行っています。
もともとは大入川の河川管理者である愛知県が電源開発のダム事業に参加する形でダム建設がスタートしましたが、のちに事業が建設省に移管され1973年(昭和48年)に竣工、現在は河川法17条による兼用工作物として国交省中部地方整備局と電源開発(株)が共同で管理をしています。
大入川および天竜川の洪水調節のほか、新豊根ダムを上部ダム、佐久間ダムを下部ダムとして新豊根発電所で最大出力112万5000キロワットの揚水式発電を行っています。
新豊根ダムは左右で湾曲率が異なる非対称放物線ドーム型という珍しい構造のアーチダムになっており、またアーチダムでは珍しくクレストはローラーゲートになっています。
 
国道151号線から豊根村役場を経てダム湖沿いに東に走ると新豊根ダムに到着します。
左岸から
24ミリの広角レンズでは堤体すべてを納めることができません。
非対照放物線ドーム型のアーチダムですが、見た目では左右非対称なのかどうかよくわかりません。
 
 
通常アーチダムではラジアルゲートが多いのですが、ここは巨大なローラーゲートが設置されています。
アーチの堤体の乗っかるゲートビアが特徴的。
 
左岸管理所から被覆された通路が伸びています。
雪が多いんでしょうか?
 
コンジットゲート。
 
減勢工
副ダムもアーチ型。
 
左岸上流から
非常用洪水吐の巨大なローラーゲート
中央に予備ゲートがあります。
 
ダム湖(みどり湖)を挟んで。
 
2門の巨大な取水設備
揚水式発電のため佐久間ダムへと続いています。

(追記)  
新豊根ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 

1229 新豊根ダム(0138)
愛知県北設楽郡豊根村古真立 
天竜川水系大入川
FP
116.5メートル
311メートル
53500㎥千/40400千㎥
中部地方整備局・電源開発(株)
1972年
◎治水協定が締結されたダム

宇連ダム

2015-12-28 09:00:00 | 愛知県
2015年12月26日 宇連ダム
 
宇連ダムは愛知県新城市の豊川左支流宇連川にある重力式コンクリートダムで、豊川用水の貯水ダムとして農林省により1958年(昭和33年)に建設され、その後愛知用水公団、水資源開発公団を経て現在は水資源機構が管理を行っています。
宇連川のほか2つの頭取工及び佐久間導水路を通じて天竜川の水を流域変更して導水しています。
 
豊川用水の概要(豊川用水ホームページより)
 
湯谷温泉から国道151号を飯田方面に向かい川合交差点で宇連ダムの標識に従って県道424号を左折すると宇連ダムに到着します。
左岸から。
竣工から60年近く、年季を感じさせる堤体です。
 
ゲート部分だけ天端が下流側にせり出しています。
 
巨大な取水設備。
 
天端
ちょうど全面にせり出した部分。
 
減勢工。
 
ダム湖(鳳来湖)
周辺は花崗岩質で、奇岩が多く見られます。
 
下流から
クレストはラジアルゲート3門。
 
(追記)
宇連ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  

1219 宇連ダム(0137)
愛知県新城市川合
豊川水系宇連川
AWI
65メートル
245.9メートル
29110千㎥/28420千㎥
水資源機構
1958年
◎治水協定が締結されたダム

大島ダム

2015-12-28 08:00:00 | 愛知県
2015年12月26日 大島ダム
 
大島ダムは愛知県新城市の豊川左支流大島川にある水資源機構の重力式コンクリートダムで、宇連ダムに次ぐ豊川用水の貯水ダムとして建設されました。
豊川用水には貯水ダムとして宇連ダムがありましたが、東三河地域の人口増加や渥美半島の農耕地拡大による水需要の増大見通しを受けて1980年(昭和55年)に着工、2001年(平成13年)に竣工しました。
 
湯谷温泉から国道151号を飯田方面に進み、名号交差点で大島ダムの標識に従って県道519号を右折すると大島ダムに到着します。
右岸上流から
巨大な取水設備、洪水調節機能を持たない利水ダムでは表面水位が高いため、取水設備が大きくなるという説明がありました。
 
取水口ズームアップ
 
減勢工
右手は河川維持放流を利用した管理用小水力発電。
 
左岸から
クレストは自由越流式5門。
 
取水設備の右手が管理事務所です。
簡単な資料室もありますが、大島ダムのカードは宇連ダムで配布されています。
ダム湖(朝霧湖)はエメラルドグリーン。
 
(追記)
大島ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  

1235 大島ダム(0136)
愛知県新城市七郷一色
豊川水系大島川
AW
69.4メートル
160メートル
12300千㎥/11300千㎥
水資源機構
2001年
◎治水協定が締結されたダム

大野頭首工

2015-12-28 07:00:00 | 愛知県
2015年12月26日 大野頭首工
 
大河がない渥美半島をはじめとして豊橋を中心とする東三河地方は古来より干ばつが多く、豊川上流からの引水は戦前からの悲願でした。
1949年(昭和24年)から農林省の事業として豊川用水の建設がスタート、その後灌漑用水に加えて水道用水と工業用水の開発が加わり1961年(昭和36年)に愛知用水公団が事業を引き継ぎ、1968年(昭和43年)に豊川用水は全通しました。
大野頭首工は宇連ダムを水源とする豊川用水の取水口として1961年(昭和36年)に竣工、現在は愛知用水公団を引き継いだ水資源機構が管理をしています。
 
豊川用水の概略図(豊川用水ホームページより)
 
長篠から豊川左岸の県道439号を進むと左手に大野頭首工への入口が現れます。
上流から
3門のローラーゲートの上に大きな操作室が載っています。
 
両側のゲートにはフラップがついています。
 
減勢工。
 
右岸の魚道。
 
豊川用水の取水口と取水ゲート。
 
ここが豊川用水の起点。
 
ここから渥美半島先端まで水が送られます。
 
 
(追記)
大野頭首工は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1225 大野頭首工(0135)
愛知県新城市大野
豊川水系宇連川
AWI
26メートル
66.2メートル
1096千㎥/906千㎥
水資源機構
1961年
◎治水協定が締結されたダム

雨山ダム

2015-12-28 06:00:00 | 愛知県
2015年12月26日 雨山ダム
 
雨山ダムは愛知県岡崎市の矢作川水系雨山川にある愛知県営の多目的重力式コンクリートダムで、雨山川流域の局地的治水・利水対策のための小規模生活ダムとして1995年(平成7年)に建設されました。
雨山川の洪水調節、安定した河川維持流量や既得灌漑用水の確保、隣接する雨山浄水場から岡崎市南東部への上水導水の給水を目的としています。
 
豊川市街から県道334号を北上、杣坂峠で岡崎市に入り突き当たりの県道382号を右折すると雨山ダムに到着します。
ダム右岸に駐車場があり遊歩道で堤体直下に下りることができます。
堤高21.5メートルに対して、堤頂長160メートルと非常に横長になっています。
堤体に直接触れることもできます。
 
洪水吐はゲートレスで非常用洪水吐2門と常用洪水吐1門があります。
常用洪水吐から越流しています。
 
天端
 
下流は典型的な山間の集落の風景。
ただ農地には害獣防止用のネットが張り巡らされています。
 
右岸上流から。
ゲートの右に取水設備があります。
 
小規模生活ダムということでダム湖は溜池ほどの大きさです。
上流に雨山浄水場があり、岡崎市南西部に給水されます。
 
ダム湖奥には立派な砂防ダムがあります。
 
小さなダムですが綺麗に整備され広く開放されています。
ダム湖を囲むように桜が植えられており、春には花見客が多く訪れる様です。
心がホッとする、そんな雨山ダムです。

(追記)  
雨山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3042 雨山ダム(0134) 
愛知県岡崎市雨山町
矢作川水系雨山川
FNW
21.5メートル
160メートル
251千㎥/222千㎥
愛知県建設局
1995年
◎治水協定が締結されたダム