紫の物語的解釈

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【ダイの大冒険】ハドラーの物語を追う[超魔生物ハドラー:後編]

2011-06-19 18:20:19 | ○○の物語を追う
前回からの続き


  ハドラー親衛騎団、始動

先の戦闘において、魔王軍の本拠地が死の大地にあるという情報が人間側に知れてしまった。
人間たちは世界中の強者たちを結集し、その全勢力をもって死の大地に攻め入る準備を進めているようだった。
ハドラーは、死の大地に攻め込んでくるアバンの使徒を親衛騎団と共に撃滅するつもりであったが
余計な人間までもが死の大地の土を踏むともなれば話は別である。

大魔王バーンの御前をつまらぬ戦士どもの血で汚すわけにはいかない。
ハドラーは、親衛騎団を人間たちが建設中の前線基地へと送り込むのだった。



その戦場において、ハドラー親衛騎団の真価が発揮された!
親衛騎団のチームワークは、アバンの使徒たちの連携にも引けをとらなかった。
もともと個々の能力は親衛騎団の方が上である。
加えて、それぞれの能力を最大限にひきたてる連携によって、親衛騎団は人間たちを圧倒した。



戦闘が一区切りした頃、ハドラーは自身の映像を送り、アバンの使徒たちの前に姿を現す。
今回、親衛騎団を使って前線基地を襲撃したのは死の大地へ乗り込んでくる人間を制限するためである。

今、この戦闘において両の足で立っていない者は死の大地に上がる資格無し!
それだけを宣告し、ハドラーはダイたちが死の大地へと乗り込んでくるのを受けて立つ旨を告げるのだった。



親衛騎団を戦場より引き揚げさせたハドラーだったが、被害状況が思ったよりもひどく、
あらためてアバンの使徒たちの底力に驚かされた。
だが、その底力を目の当たりにしても、「燃える相手だ」と闘志を燃やす親衛騎団を
ハドラーは頼もしく思うのだった。


  ハドラーと親衛騎団、その関係



親衛騎団のリーダー・女王(クイーン)「アルビナス」は策謀家であり、
その冷静な戦況判断により、しばしば冷酷ともいえる提案をハドラーにすることがあった。
例えば、功を焦った妖魔司教ザボエラが命令を無視して単独出撃をした際も、
アルビナスはザボエラを有無を言わさず処刑するよう進言した。

しかし、ハドラーとしては、ザボエラには自身のパワーアップに一役買ってもらった義理があり
生命まで取ることはない、と温情を示した。
昔の自分なら有無を言わさず殺しただろうがな、と過去を振り返るハドラー。
ハドラーが禁呪法で生み出したアルビナスには、昔の冷酷な自分の性質が多少反映されているのかもしれない。




自身の身体を超魔生物へと改造したハドラーに、少しずつその反動があらわれてきていた。
肉体は悲鳴をあげ、徐々に生命が蝕まれてきていることを感じた。
・・・このままでは長くは持たないだろう。

だが、この生命にかえてもアバンの使徒たちには勝ちたい!
いや、というよりも、死に瀕した自分がすべてを捨てて力を振り絞ったとき、
どこまで強くなれるかが知りたかった。
アバンの使徒たちは自分が最大限に強くなるために格好の相手なのだ。



世の中には自分よりも強い者がまだまだ存在する。
竜の騎士、大魔王バーン・・・。
自分は最終的にどのレベルまで達することができるのか。
だがせめて、アバンの使徒の力を上回ってから死にたいものだ。
ハドラーはかつて勇者アバンを倒したが、アバンの死後、その弟子が次々とあらわれ
ハドラーをおびやかした。ハドラーはアバンをただ倒しただけで、真の意味で
勝ってはいなかったのである。



親衛騎団の兵士(ポーン)「ヒム」は、この時ハドラーに強く共感した。
強さへの想いについて言えば、ヒムはハドラーに最も近いとも言える。
この際、ヒムは涙を流した。
禁呪法によって生み出されたヒムが生命体のように涙を流すことは本来あり得ないことである。
これには生みの親であるハドラーも驚いた。




死の大地へ乗り込んでくる者たちのなかに、かつてハドラーを脅かした「竜騎将バラン」の姿があった。
信じがたいことだが、あれほど人間を憎み、魔王軍に加わってまで人間を滅ぼそうとしていたバランが
人間側に回って魔王軍に攻め入って来ようとしているのだ。

ダイとバラン。
神がつくった最強の生物である「竜の騎士」が親子で攻め入って来ようとしている。
この脅威に、ハドラーはむしろ喜びを感じた。
ハドラーは親衛騎団に他のアバンの使徒の相手を命じ、
自分一人のみで竜の騎士二人を相手にするつもりであった。



だが、この際に親衛騎団の僧正(ビショップ)「フェンブレン」が命令を無視し、
バランとダイの前に立ちはだかった。



ハドラーはフェンブレンの行動を、かつて自分が捨て去ったはずの虚栄心や功名心が残っていて
フェンブレンに影響を及ぼしたと解釈したが、正確には違っていた。

フェンブレンは功名のために単独でダイ・バランに立ち向かったのではない。
死の大地にてバランに両目を貫かれた復讐心から、ハドラーの命令を無視してまで二人の前に立ちふさがったのである。
フェンブレンの復讐心のすさまじいところは、貫かれた両目を修復せずにあえてそのままにして
復讐の相手へ挑んだところにある。
それも、自分よりも遥かにレベルの高い相手だとわかった上で、ハドラー親衛騎団という現在の立場を
捨ててまでの不退転の行動であった。決して、虚栄心や功名心から出たものではない。
その姿は、まるですべてを捨ててまでもアバンの使徒に勝とうとしているハドラーそのものであると言える。

結局、フェンブレンは竜の騎士親子に敗北した。
このとき、フェンブレンは
「なんでワシより強い奴が世の中にこんなにいやがるんだ…気に入らねえ」
と思い遺して散っていったが、その心の声はハドラーの心の声でもあったのではないか・・・。


  竜の騎士の親子との戦い



死の大地の海底の門が破られ、ダイとバランが魔王軍の本拠地へと侵入した。
それを迎撃すべく立ちはだかるのはハドラーただ一人。
相手は地上最強の生物である竜の騎士が二人も。
どう考えても勝てる見込みのない戦いが待ち受ける中、ハドラーは冷静であった。



ハドラーは久しぶりに対峙するバランに対して、当時バランに抱いていた自分の気持ちについて
正直に吐露した。
神がつくった最強の生物・竜の騎士が自分の部下となる・・・。
それがいつ、自分に牙をむいて権力の座を上回ろうとするか、毎日気が気ではなかった。

・・・だが、今は違う。
権力の欲望をすべて放棄したハドラーにとって、そんなものは無意味。
欲するのは、ただ強さのみ。
最強の生物・竜の騎士二人を同時に相手にすることによって、自分はどこまで強くなれるのか。
その想いが恐怖の感情を遥かに上回っていた。

 超魔生物ハドラー 対 勇者ダイ・竜騎将バラン の戦いが今、始まった!



そのハドラーの強さは、バランも認めるほどのものであった。
まずはダイがハドラーとぶつかり合い、激しい戦闘の火花を散らせた。
かつての魔軍司令ハドラーしか知らないバランにとって、ハドラーは小物でしかなかったが、
ダイとハドラーの激突をみて考えが変わったようである。



その後、ダイ・バランの二人を相手にした戦闘となるが、
ハドラーは、どうも二人の動きが鈍いことが気になった。
二人を相手にした戦闘に入ってからというもの、ダイとバランはあきらかに消極的な
戦法をとるようになった。
急造コンビで連携が悪くなったとも、単に自分が強くなりすぎただけとも思えない。
竜の騎士とは、もっと強い存在のはずである。

しかし、バランはハドラーの懸念を打ち払った。
今まではハドラーの力を見極めるための小手調べだったと言う。
これにはハドラーも安心した。



勝負は、ハドラーの超魔爆炎覇とバランのギガブレイクの撃ち合いにもつれ込む。



必殺技の撃ち合いを制したのはバランであったが、バランのギガブレイクはハドラーの
首を刎ねるには至らなかった。
これは死神キルバーンによってバランの真魔剛竜剣の斬れ味が半減していたためであるが、
ハドラーはこの隙を逃さなかった。



ハドラーはすかさずバランに反撃したが、間に入ったダイが身代わりにハドラーの攻撃を受ける。
この攻撃によりダイが行動不能となった。
ハドラーはバランとの戦いにのみ専念すればよいこととなり、戦局は有利となるはずであったが。



バランは息子を守るため、竜の騎士の最強戦闘形態「竜魔人」へと姿を変えるのだった。



竜魔人となったバランの力は圧倒的であった。
竜魔人の能力を研究してつくられたはずの超魔生物の肉体をもってしても
今のバランにハドラーは手も足も出なかった。

これはハドラーがダイに深手を負わせたことで、バランが巣をつつかれた獣のような
逆襲能力を発揮したためであった。



ハドラーは腕を折られながらも超魔爆炎覇を撃とうとするが、竜魔人バランに肉体を貫かれてしまう。
自分は竜の騎士相手に死力を尽くした結果、敗北したのだ。
悔しいが、ハドラーは自身の敗北を認め、死を覚悟した・・・。


  黒の核晶



バランに肉体を貫かれたハドラーは驚愕した。
バランが自分の肉体から魔力の結晶のようなものを取り出したからである。
バランはこの結晶が「黒の核晶(コア)」と呼ばれるものであることをハドラーに告げた。

黒の核晶。
魔族であったハドラーにもその名に覚えがあった。
それは、魔界に忌まわしき伝説として残る超強力爆弾の名前である。

一体、誰が自分の肉体にこんなものを!?
激しく動揺するハドラーであったが、犯人はかつて自分に不死の肉体を与えてくれた
大魔王バーンに間違いなかった。



ハドラーは、先の戦いにおいてダイとバランが妙に力を抑えて戦っていた理由に合点がいった。
こんな状況なら二人に勝ち目がないのは当たり前。
自分のすべてを捨ててまで挑んだこの竜の騎士二人との正々堂々の戦いが
実はとんだ茶番だったわけである。
ハドラーは自分の全てを賭けた戦いが大魔王バーンによって侮辱されていたことに激しく憤った。



そこへ、ハドラーに最大の誠意をみせてくれたはずのミストバーンがあらわれる。
ハドラーはミストバーンからどうしても聞きたかった。
「お前にとってもオレはやはり駒にすぎなかったのか!?」
と。
あのときみせてくれた誠意は偽りだったのか、と。

ミストバーンはややあって、
「大魔王様のお言葉はすべてに優先する」
と答えた。
これは、まだ六大団長が健在であった頃、口数のすくないミストバーンが
よく口にしていた常套句であり、それがそのままハドラーの問いに対する答えとなった。
ハドラーは深く落胆した。



そして、ミストバーンは闇の衣を取り払い、その正体をあらわした!
ハドラーもバランも初めて見るミストバーンの素顔に驚いたが、
何よりも驚愕すべきは、バランが抑え込んでいた黒の核晶がミストバーンの魔力によって
作動し始めたことである。



ついに作動した忌まわしき伝説の超爆弾。
一旦爆発すれば、この死の大地など跡形もなく吹き飛ぶであろう。

ダイも、バランも、ハドラーも、無事ではすまない。
すべてをかけた戦いを侮辱され絶望に沈むハドラーに、さらなる絶望が襲いかかるかのように、
黒の核晶は激しく爆発するのだった!



その瞬間、死の大地は激しく鳴動した・・・。


 次回へ続く

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1 コメント

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子は黙っていても (ヨシアキ)
2013-11-22 22:50:26
はじめまして。
ハドラーの「子は黙っていても 親に似るものよな」という台詞は自分とフェンブレンとの関係だけでなくダイとバラン親子のことも言ってるのでしょうね。
アニメ版で青野武さんが声を当てていましたが、故人となってしまい武人となったハドラーの声をあの声で聞くことができなくなったのが残念です。

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