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ブラックブック◆バーホーベン監督の一級戦争サスペンス

2007-03-28 13:15:01 | <ハ行>
  

 「ブラックブック」 (2006年・オランダ/ドイツ/イギリス/ベルギー)
  監督・脚本:ポール・バーホーベン
  原案・脚本:ジェラルド・ソエトマン
  出演:カリス・ファン・ハウテン/セバスチャン・コッホ/トム・ホフマン/デレク・デ・リント

「ロボコップ」や「氷の微笑」の監督として知られるポール・バーホーベンが、故国オランダに戻って完成させた戦争大作。ナチス・ドイツ占領下のオランダを舞台に、レジスタンスに身を投じたユダヤ人女性の波乱の半生を描く。バーホーベンといえば「スターシップ・トゥルーパーズ」の過激な残酷描写や、「インビジブル」での悪趣味なシーンの数々が思い浮かぶが、この新作はこれまでのイメージを覆す上質の娯楽作に仕上がっている。

1944年、ナチス占領下でユダヤ人狩りが続くオランダ。爆撃で隠れ家を失ったユダヤ人女性ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)は、味方と思われる男の手引きで脱出を試みるが、待ち伏せしていたドイツ軍に銃撃され、一緒にいた両親と弟を失ってしまう。ひとり逃れたラヘルはレジスタンス部隊のもとに身を寄せると、名前をエリスと変えて工作員の仕事に就く。同志のハンス(トム・ホフマン)とともに作戦を遂行中、エリスは偶然ナチス親衛隊の将校ムンツェ(セバスチャン・コッホ)と知り合う。やがて仲間がドイツ軍に捕らわれたのをきっかけに、レジスタンスの指揮官カイパース(デレク・デ・リント)は、エリスをムンツェのもとに送り込む計画を思いつく。任務を承諾したエリスはドイツ軍諜報部に潜入するが、いつしかムンツェと心を通わせるようになる・・・・・・。

戦時下という敵味方の区別が鮮明な時代にあっても、人の心は思いもよらぬ揺らぎを見せる。ムンツェはエリスをユダヤ人と見抜きながらも心を許し、レジスタンス側との平和交渉に応じる姿勢を見せる。一方、レジスタンスの内部では、捕らわれた仲間の命とユダヤ人の安全を天秤にかけ、反ユダヤ的な発言をエリスにぶつける同志がいる。そしてナチスとの攻防のなかでついに暴かれる身内どうしの裏切り・・・・・・。物語は戦争に翻弄される人々の心の揺らぎに触れながら、ユダヤ人銃撃の背後にあるからくりに迫る。敵味方という対立軸ではけっして描くことのできない真実の一端が、エリスという強い個性を主軸に据えてスクリーンに映し出される。その緊迫感に満ちた展開は、スピーディで飽きさせない。

エリスを演じたカリス・ファン・ハウテンの存在感はひときわ鮮烈だ。古典的な面立ちながら、毅然とした覚悟をたたえた瞳は、過酷な運命に立ち向かうヒロインの強さをさながら体現している。肌の露出度の多い役柄にも臆せず、体当たりの演技を見せたハウテンは、ムンツェ役のコッホと恋仲になったとか。歌手も顔負けの美声ともども、人の心をつかんではなさない幻惑的な魅力をたたえている。2時間20分を超える尺の長さもまったく気にならないほど、終盤までスクリーンに釘付けになったのは、ハリウッド流娯楽映画を知り尽くしたバーホーベン監督ならではの演出の冴えがあったからだろう。



満足度:★★★★★★★★☆☆



<参考URL>
 ■映画公式サイト「ブラックブック」


 

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4 コメント

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こんにちは (マダムS)
2007-03-31 09:03:02
昨夜はTB付け逃げで大変失礼致しました。
コメントとTB返しを有難うございます!恐縮です。
ちょっと一時代前の戦争TVドラマ風ではありましたが、なかなか楽しめました(^^)
>戦争に翻弄される人々の心の揺らぎ
実はその点が一番見応えのある箇所だったかもしれませんね。どの国のどんな立場の人間でもその奥底に持っている”善”や”悪”が、いつ顔を出すやもわからないという現実。。
>体当たりの演技を見せたハウテン
とってもチャーミングな女優さんでしたね~セバスチャンも虜になってしまったとは驚きました!!(笑)
●マダムSさん (masktopia)
2007-03-31 20:36:12
どうもこんばんは!

syunpoさんのところで時々お名前を拝見していました。
今後とも、どうぞよろしくお願いします(^^)

戦争もの+サスペンスで、最後まで続く緊迫感は
なかなかのものでしたね。バーホーベン監督には
これからもぜひ映画らしい映画を撮ってもらいたいです。

ハウテンは女優として肝が据わっていると感じました。
セバスチャン・コッホもそうですが、きっとバーホーベン監督も
虜になったのではないでしょうか(笑)
これからも彼の作品に顔を出すかもしれませんね。
Unknown (Hanako)
2007-04-03 10:10:08
初めまして♪
『ブラック・ブック』公式ブログで、こちらを知りました。

見応えのある作品でしたね。いかんせん上映館が少ない。私は川崎チネチッタで見ました。戦争を通して人間の本質を描いている秀作なので、できるだけ多くの映画ファンに見て貰いたいですね。

TBさせていただきます。
●Hanakoさん (masktopia)
2007-04-03 12:12:58
ご訪問とコメントをありがとうございます♪

このところ欧州の映画が頑張っていますね。
旧東ドイツを描いた「善き人のソナタ」も傑作だと
思うのですが、首都圏の上映館はたった3館のみです。
「ブラックブック」も、ハリウッド時代のバーホーベン
監督作品とくらべると、上映館はずっと少ないですが、
こういう映画こそ、多くの人に足を運んでもらいたいです。

こちらからも後ほどTBをさせていただきますね。
今後ともよろしくおねがいします。

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