「ファーストフード・ネイション」 (2006年・イギリス/アメリカ)
大手ハンバーガーチェーンの内幕を暴いたエリック・シュローサーのルポルタージュ「ファーストフードが世界を食い尽くす」(First Food Nation)をフィクショナライズした本作は、外食産業に依存しがちな諸兄諸姉にはぞっとするお話。とあるハンバーガー・チェーンの牛肉パテから、糞便性大腸菌が検出されたという検査結果が出る。報告を受けた本社幹部が、出荷元の牧場や下請けの精肉工場を視察するうちに、現場のずさんな衛生管理と、従業員である不法就労者の置かれた劣悪な環境が明らかになっていく。一方、チェーン店のアルバイト学生は環境保護グループに接近するうちに、ファーストフード業界で働くことに強い疑問を感じはじめる・・・・・・。安い、早い、(うまい?)を合言葉に全米はおろか世界を席巻したファーストフード。業界の驚くべき裏事情を暴きながら、利益至上主義の企業のモラル、不法就労の実態、現場で横行するハラスメント、浮上する環境問題などを管理、製造、販売に従事する三者の視点から描いている。
ここ数年、日本でも嫌というほど頻発する食品業界の偽装事件。ついには主食であるコメの偽装までが発覚し、もはや安全な食品はないのではと悲観したくなるような状況だ。食の安全を二の次に、自社の利益を追求する食品会社に非があるのは言うまでもないが、外食や手軽な食品に頼りたがる消費者の食に対する意識の低さが、日本の食文化の崩壊を招いているのはまちがいない。本作で描かれるのはアメリカのファーストフード業界の実態とはいえ、背筋の寒くなるような話はアメリカに限ったことではないだろう。この際、安全でおいしい食事は、時間と手間と良質の食材に創意工夫をプラスして、初めて得られるものだという当たり前のことを、いいかげん再認識したほうがよさそうだ。ふだん、いかに手を抜くかばかり考えている自分にとっても、まさに自戒の一作。もう「見ぬもの清し」なんて言っている場合ではない。
イーサン・ホーク、アヴリル・ラヴィーンら、リンクレイター監督のもとに集ったキャストの面々も見どころのひとつ。
満足度:★★★★★★★☆☆☆
<作品情報>
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
原作・脚本:エリック・シュローサー
製作:ジェレミー・トーマス/ジェフリー・スコール/マルコム・マクラレン
出演:グレッグ・キニア/イーサン・ホーク/パトリシア・アークエット/アヴリル・ラヴィーン
カタリーナ・サンディノ・モレノ/クリス・クリストファーソン
<参考URL>
■公式サイト 「ファーストフード・ネイション」
■DVD情報 amazon.co.jp 「ファーストフード・ネイション デラックス版」
■原作(翻訳版)「ファーストフードが世界を食い尽くす」(エリック・シュローサー著・草思社)
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連休中に遠出して、レスがたいへん遅くなってしまい
すみませんでした
庶民の手軽な食事であるファーストフードには
落とし穴があることを考えさせられる映画でした。
しかし考えてみれば、これは外食産業すべてに
言えることかもしれませんね。
栄養面、衛生面、そして安全面を意識するなら
当然、家のご飯がいちばんなのですが、
なかなかそうはいかないところにジレンマを感じます。
>わたしも最近はようやく自炊を始めました。
おぉ、それはいいことですね!
好きなものを好きなだけ作れるのが自炊の強みですね
テレビの料理番組はけっこう参考になるなぁと
わたしは今ごろになって(!)気がつきました。
がんばってくださいね
「ファーストフードネイション」レヴュー非常に興味深く読ませていただきました。
■外食産業に依存しがちな諸兄諸姉にはぞっとするお話。■
わたしも吉◎家は「アメリカ産牛肉」を使っているので狂牛病の恐れがあるとかいうウワサを聞いておりますのでぞッとしてしまう話です。⌒ー⌒;
■外食や手軽な食品に頼りたがる消費者の食に対する意識の低さが■
ファーストフードのハンバーガーばかり食べて生活習慣病になったヒトがファーストフード店を裁判所に訴えたというなんとも笑えない話があります。
わたしもファーストフードには気をつけなくては。
■安全でおいしい食事は、時間と手間と良質の食材に創意工夫をプラスして、初めて得られるものだ■
わたしも最近はようやく自炊を始めました。なるべくファーストフードでは食べないようにしています。しかし二十代の頃はファーストフードで食べまくっていたのでもしかしたらヤバイかも。
それではまた~♪