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『来るべき民主主義』

2018-05-08 22:36:15 | 読書。
読書。
『来るべき民主主義』 國分功一郎
を読んだ。

2013年に行われた東京都小平市での、
都道328号線建設をめぐって行われた住民投票と、
その住民投票が実現するまでに及ぶ住民の運動を起点に、
議会制民主主義の欠陥を分析し、
それをどのような方法で補っていけばよいかを論じた本です。

議会制民主主義においては、
民衆の代わりとなる代議士が政治を行いますが、
実際に政策などを実現するのは行政であり、
その行政には独断的な強い決定権がある。
つまり、この国を動かしているのは民衆が選んだ政治家ではなくて、
公務員たち行政の側だというところに、
日本の民主主義の欠陥があることを解説しています。
そこをどうしていけば民意が反映されるのかを考えたところが、
本書の一番の読みどころだと僕は思いました。

法という否定的・消極的なもの、
制度という肯定的・積極的なもの、
という分析にはうなりましたね。
だから「制度が多いほど、人は自由になる」と。
ドゥルーズの制度論に依るかたちで述べられている
この部分は特にエキサイティングでした。
そういった制度を増やす方向で、
たとえば住民投票制度をつくり、おこなうことで、
行政も民主的な方へもっていくことができる。

また、最後のほうで、
「民主的であるかどうか」と
「民主主義であるかどうか」とを考えることの違いについて、
前者が実感であり感覚的判断あるのに対して、
後者が概念的判断であることの説き明かしにも膝を打ちました。
そして、感覚的な「民主的であるかどうか」を考えるほうがよいのだ、
とする姿勢にも教えられるものがあり、共感を持ちました。

中盤などでは、なんてことないように書かれている考えが、
非常にするどく人間心理をとらえていたのもおもしろかったですよ。
それは、我慢をしすぎて生きていると我慢を他人にも強いるようになり、
せっかく「我慢しないように社会を変えよう」と声をあげる人がいるのに、
「我慢しなさい」とその人を引きずり降ろそうとするものだ、というところなどです。

著者はむずかしい概念を扱う学者なのでしょうが、
それを人間の実感を大事にしたかたちで語るところに、
読者を惹きつけるものがあるのかなあと思いました。


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