Fish On The Boat

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『賭博者』

2017-08-16 20:34:16 | 読書。
読書。
『賭博者』 ドストエフスキー 訳 原卓也
を読んだ。

ギャンブルの描写が、
ギャンブルを知っているからこそ書けるというものでした。
主人公が後半に大勝負するところも含めて、
ギャンブルにはいろいろな面があり、
いろいろな局面をつくり、
いろいろと作用することがよく描かれていると思った。
そして、その魔性についても。

このギャンブルの描写はちょうど良い距離感なんでしょうね。
もっと深く、微に入り細を穿って描けそうな気もするのだけれど、
そうなると個人的すぎて、
ギャンブルとしてはひとつの断片的性格が強くなりそう。
『賭博者』の極端なギャンブルの例たちが合わさって、
ひとつの全体性みたいなものが感じられるようになっている。
ギャンブルそのものについては、そう。

ぼくもね、
けっこう競馬とパチンコではあるけれど
ぐぐっとギャンブルに両足を突っ込んだことのあるひとだから、
その点でこういう『賭博者』を書く作者(ドストエフスキー)の
ギャンブルについての知識というか、
どれだけわかっているのかを
値踏みするように読もうとしてしまうところがあります。

さてさて、賭博の成功体験をもつ主人公はどうなってくのか。
重要な脇役からの辛辣な「見抜き」で締めくくられています。
そうなんです、ギャンブルにハマるとはそういうことなんです…。

五大長編の読破以来、
久しぶりにドストエフスキーを読みましたが、
やはりよかったですね、おもしろいです。


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