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『ふしぎなキリスト教』

2014-04-10 21:17:16 | 読書。
読書。
『ふしぎなキリスト教』 橋爪大三郎 大澤真幸
を読んだ。

言うまでもなく、今、世界を席巻しているのは、
欧米由来のルールや習慣、文化などだったりします。
欧米の様式をデファクトスタンダードとして、
世の中は成り立っているところがある。
つまり、欧米のやり方が、世界のあらゆる場面の常識になっているということです。

そんな欧米の考え方を成り立たせているのは、
近代になって世俗化し、一部ではもはや形骸化してきているなどとも
言われているキリスト教だったりするのです。
哲学や科学が発展し、人間の理性を重視して宗教への態度が希薄になったことで、
キリスト教の考え方に縛られなくなったかといえば、
それはまったくそうではなく、その根本に、キリスト教の考えかたから、
順にも逆にも影響を受けていたりしている。

それだけ、すごい宗教なのがキリスト教であり、
そしてふしぎな宗教なんだということを本書では大澤さんが質問者として
橋爪さんに教えてもらっている。

本書は3部構成で、第1部ではキリスト教の下敷きとなっている旧約聖書を、
つまりユダヤ教をみていきます。
第2部では、新約聖書を中心にキリスト教そしてイエス自身に注目しています。
そして第3部では、キリスト教成立後のようすから、現代にいたるまでを
扱っています。

大きなテーマは、大澤さんのセリフから抜き書きするとこうです。
「近代社会の最もベースになるような制度やアイデアや態度が、
一見キリスト教を脱してるようでいて、いかにキリスト教的な
前提の中でつくられていたか」
それを確認するべく、いろいろ見ていくのです。

面白いのは、イスラム教やユダヤ教と違って、
キリスト教はあいまいでゆるい部分があることです。
そして、それゆえに、信者たちはクリエイティブに
頭を使うことになっているんだと思うんですよね。
その結果、西欧社会は発展していき、いまや世界を席巻している。
そこから学ぶことって、がんじがらめのルールでは人は成長しずらいんじゃないだろうか
ということです。

えーと、日本人だからキリスト教は関係ないやってことじゃないんですね。
最初に書きましたが、世界の常識になっているものは西欧のキリスト教由来の常識です。
この国の憲法や芸術や民主主義や市場経済や科学技術というものも、
キリスト教社会からもらってきた子どもなんだ、とあとがきで書かれていて、
その子どもたちが自分たちのルーツを知りたい、知ることで何かしっかりできそうだ、
ということで、本当の親であるキリスト教に会うようなことが、
この本を読むことにあたるのです。
これは橋爪さんの喩えですが、じょうずですね。

大澤さんについては、「正義」についての著書を読んだことがあり、
すごく知識を積んでいる方だという印象がありました。
橋爪さんの名前は来たことがある程度でしたが、
今回読んでみて、また一人、リスペクトできる学者の方を見つけたな、
という感想を持ちました。

現代社会に対する基本的な認識を持つために、
読むとすっきりするところのある本です。
キリスト教やユダヤ教などをほとんど知らなくても、
本書でそのエッセンスを享受できると思います。
面白かったです。

面白いのは、イスラム教やユダヤ教と違って、キリスト教はあいまいでゆるい部分があることです。そして、それゆえに、信者たちはクリエイティブに頭を使うことになっているんだと思うんですよね。その結果、西欧社会は発展していき、いまや世界を席巻している。そこから学ぶことって、がんじがらめのルールでは人は成長しずらいんじゃないだろうかということです。
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