Fish On The Boat

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『アルケミスト 夢を旅した少年』

2018-06-21 21:21:07 | 読書。
読書。
『アルケミスト 夢を旅した少年』 パウロ・コエーリョ 山川紘矢+山川亜希子 訳
を読んだ。

夢のお告げを信じて、
アンダルシアからエジプトのピラミッドまで旅をする少年の物語。

これはたぶん、量子論のコペンハーゲン解釈を
つきつめて考えた知見を下敷きにして
作り上げられた物語だと思う。
本作で重要な、さまざまな「前兆」だとか、
そういったものを確率統計の考え方で処理せずに、
意味のあることとしてとらえ、
でもそれを病的や狂気的なものにならないように
そういった領域から回避して物語を編んだあたりにすごさがあります。
そしてそれは、スピリチュアルと呼ばれる視座のようです。

僕はスピリチュアルってよく知らないし、
あやしげなものだというイメージを持っていたりもしますが、
科学的な深さを持つイメージを、
科学の言葉を使わずに語ってみるという手法、
それも古代からの人間の感覚的な知恵や知識と繋げてみるやり方で
本書はつくられているように見受けられて、
そこはおもしろいなと思いました。

面白くて、不思議で、
ある意味「狂気だ!」と振り捨ててしまいたくもなって、
でも運を運ぶものだったりもして、
取り扱い以前にそれをどうとらえるかが本当にぶれる、
そういったものを取り扱っているのがこの『アルケミスト』。
本書の中ではぶれてないけれど、
神が死んだ現代に生きる者の実生活ではぶれるものを扱っています。

アルケミストは錬金術師という意味ですが、
単純に金を作成する術をする者という狭義の錬金術師ではなく、
世界を知るものみたいな意味での広義の錬金術師として描かれています。

さすが、世界的ベストセラーだけあり、
うまく頭と心をくすぐってきます。
それも、シンクロニシティなどの不思議な経験に
ポジティブな意味を与えるのですからなおのこと、
そういった種類の物事に興味があったり、
自分の人生にでそういうのがあって気になっていたりする人の
心をぐっと捉える作品なのではないかなと思います。

フィクションなんだけれど、
まるで啓発するかのように読めてしまうのが、
ちょっと楽しくも怖いところでもあります。
考え方が固まっていないうちに読むと、
感化されてしまかもしれないですねえ。
でも、おもしろい。

ただ、ラストは僕的にはちょっと残念です。
中盤からラスト近くまでの盛り上がりには圧倒されましたが。


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