特定社会保険労務士 上岡由美子 ビジネスブログ

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「労働時間管理」をめぐる役員の責任と求められる対応

2016年11月02日 16時30分00秒 | 労働基準法関連

◆過労死の責任を問う全国初の「株主代表訴訟」が提起
 銀行の行員だった男性が過労からうつ病を発症し、投身自殺をした事件で、男性の妻が銀行を訴え、熊本地裁は、銀行が注意義務を怠り、行き過ぎた長時間労働をさせたと認定し、慰謝料など1億2,886万円の支払いを命じました(2014年10月)。

 同事件では、労働基準監督署が発症直前の時間外労働時間が207時間に及んでいたと認定していました。

 そして今年9月、この妻が、銀行の株主としての立場で、当時の役員ら11人に対し、過労死を防ぐ体制づくりを怠り銀行に損害を与えたとして、約2億6,400万円の損害金の支払いを求める株主代表訴訟を提起しました。


◆株主代表訴訟で追及される役員の責任とは?
 役員は、会社に対し忠実義務を負っており(会社法355条等)、違反すると任務懈怠責任(会社法423条1項)を負います。

 株主代表訴訟では、役員の任務懈怠により会社が損害を被ったとして責任追及がなされますが、
過労死や過労自殺について任務懈怠責任を問う株主代表訴訟は初めてとのことです。

 

◆過労死・過労自殺で役員個人の責任を認めるケースが相次ぐ
 従業員の過労自殺について役員個人の責任を認めた事件として有名なのが、2011年5月の大庄(日本海庄や)事件における大阪高裁判決です。

 同事件は、役員の第三者に対する損害賠償責任を定める会社法429条1項の規定が、過労死・過労自殺の事案でも適用されることを明らかにしました。

 2015年12月に和解が成立したワタミ過労自殺訴訟でも、原告側によれば、和解条項で、創業者について「最も重大な損害賠償責任を負う」ことを確認しています。

 経営者による長時間労働の放置は、厳しい責任追及の対象となり得ると言えるでしょう。

 

◆自社の「働き方改革」を検討してみませんか?
 NTTデータ経営研究所/ NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションの調査によると、長時間労働の抑制に取り組む企業の割合が2015年の「22.2%」から2016年の「32.1%」に増加し、既に多くの経営者が長時間労働の是正に向けて動き出しています。 

 所定外労働時間の削減や有給休暇の取得促進に取り組む中小企業事業主は、厚生労働省の職場意識改善助成金(職場環境改善コース)を受給できる場合がありますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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