世界の街角

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気になるサンカンペーン新鉄絵人物文様

2015-02-12 10:23:40 | サンカンペーン陶磁

 過去にUp Dateした記事「新発見のサンカンペーン鉄絵文様」に、次のコメントが記載されていたので、コメントおよび回答を以下に順に記載する。
 先ず次のようなコメントであった。「恐縮ですが、<の~んびりタイランド2>の当該写真に英語のキャプションがついているのをご存じですか。」
 その回答であるが、写真の解像度が今ひとつで、読み取りにくい個所は□表示する点、容赦願いたい。それによると・・・

 There are some examples of green-glazed dishes painted with new motifs by a □□□cky antique dealer in Chiang Mai province. They are devaluated in knoeledge but some people still made profit out of these pieces.・・・とある。
 祝再開館記念会場における、学術的プレゼンに相応しくないコメントなので、紹介をためらっていた。

 さて今回の東南アジア陶磁博物館の見学で、北タイ諸窯間のことどもが、何となく明らかになり始めた。近年サーヤン・プライチャンチット氏、バンコク大学東南アジア陶磁博物館やシルパコーン大学、政府芸術局等々の積極的な発掘調査や学術的研究により、北タイ諸窯の開窯時期が明らかになってきた。それによると・・・
 ナーン:ボスアック   13世紀末ー14世紀初
 パヤオ:ウィアンブア  13世紀末ー14世紀初
 サンカンペーン     14世紀後半
 カロン         15世紀
 モン陶         14世紀後半
 シーサッチャナラーイ  15世紀初頭
・・・となる。
 従来モン陶が古様を示すことから、モン陶の何がしかがパヤオ、サンカンペーンに伝搬したと考えられていたし、当該ブロガーもそのように理解していた。しかし、J・C・Shaw氏は、最初(科学的年代測定以前)から一貫して、パヤオが先で、それがサンカンペーン、モン陶に伝播したと主張されていた。慧眼に敬服する。
 これらの年代観でもって、先に紹介した東南アジア陶磁博物館のサンカンペーン新鉄絵文様の人物文様が気になる。これが何者なのか? 樹下文人図に見えなくもないが、杖を持っている。元染や明青花磁に登場する仙人図は杖を持ったり、持たなかったりするが、樹下文人図は杖は持たない。
 するとサンカンペーンの新発見人物文様は、杖を持つので仙人図と云うことになる。仙人は鶴(黄鶴)に載るという。サンカンペーンに鶴の鉄絵文様が新たに出現するとすれば、中国文様の翻案の宝庫ということになる。




 話にまとまりがないが飛ぶ。写真は世界陶磁全集16「南海」に掲載されている写真の極断片である。上は明青花の樹下文人図、中はシーサッチャナラーイの鉄絵人物図であるが、明青花の文様をアレンジして採用しているのであろう。下は先に紹介したサンカンペーンの仙人図である。
 このサンカンペーンとシーサッチャナラーイの開窯時期が、ほぼ一致する。双方で採用された、中国発祥の人物文様、これらをどのように整理して理解すればよいのだろうか? 単に中国から陶工が・・・と云う、中国側文献に何も記載のない陶工来訪説では、説明のつかない様相が伺われる。



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1 コメント

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英文 (焼物好き)
2015-02-12 22:54:50
判読不明な単語は多分「tricky」と思われます。すると、チェンマイ地区の狡猾なアンティーク業者によって描かれた新しいモチーフの緑秞皿の見本と訳せるので、これらの皿類は古いサンカンペンの上に化粧掛けをしてその上に「新しいモチーフ」の絵を描き、もう一度窯に入れて焼き直したものの見本ととるのが自然ではないですか。
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