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最近見たオークション出品の東南アジア古陶磁・#33

2021-06-13 08:20:03 | 東南アジア陶磁

最近と云うかこの半年間、下のサンカンペーン褐釉印花双魚文盤がヤタラメッタラ出品されている。

サンカンペーン古陶磁が日本に持ち込まれたのは、1980年代のターク・メーソト及びオムコイ山中の墳墓址が、山岳民族により盗掘されてからである。多くの日本人骨董商により持ち込まれた。それらは現在ご健在であれば、90歳代の方々のコレクションになった。そのコレクションが手放され、多くがネット・オークションに流れているものと解釈しており、従ってモノは良い。

この1週間で4点の出品で、半年間の累計は20点程になる。写真を見て100%の確信ではないが、すべて本物(本歌)である。最近は出品数の多さから数千円での落札のようである。時には3点一括の出品で安値乱売である。当該ブロガーの若い時であれば、手を出していたが、最近は歳の経過とともに物欲が衰え、これ以上コレクションを増やしたくなく応札していない。当該ブロガーの場合は、これらの盤はチェンマイの骨董商から1万バーツで入手したものだが、数千円は破格の安値落札である。

出品の盤は濃度に差は認められるものの、形状・釉調・印花文様の類似性というより一致から、サンカンペーンのうちHuay Back Pin窯で焼成されたものである。窯跡が特定できるのは、写真の盤と同手の陶片がHuay Back Ping古窯址から出土することによる。

ところで、この陰陽配置の双魚文盤は数が多い。下の写真のように三魚や四魚文の盤・鉢は数が非常に少なく貴重である。このような多数の印花魚文盤は、ネット・オークションに出品された形跡はない。

サンカンペーン陶磁愛好家なら、このような希少な盤をコレクションしたいものだが、めったに市場に顔をださないほど希少である。写真の四魚文盤の釉薬はガラス質が豊富で、上2葉の写真の盤と様子が異なる。この盤の陶片はHuay Back Ping古窯址から出土していると伝えられているが、残念ながらその証拠写真は見ていない。従ってサンカンペーンの他の窯址とも考えられるが、その他からも出土しているとの報に接していない。まだまだ謎があるようだ。尚、Huay Back Ping窯は下の位置である。サンカンペーン郡オンタイ地区に在る。

<了>