世界の街角

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物原出土のミャンマー青磁・NUS博物館パンフレットより:#7

2018-01-07 09:14:04 | 東南アジア陶磁

<続き>

伝統と暮らし(MUS学芸員のトワンテ訪問記)

ミャンマーのトワンテに初めて到着した日を鮮明に覚えています。ヤンゴンから車で2時間後、タクシーは舗装されていない道路に沿って跳ね返り、青いゲートの前で「伝統陶芸センター」と書かれた看板の脇で停車しました。
門を過ぎると、緑豊かな緑の中に半分隠れた1階建ての建物が徐々に現れました。それはトワンテでの5日間の滞在中に調査と宿泊の両方として役立ちました。このような環境で働くことと暮らすことは、貴重な経験でした。建物の裏側にあるバルコニーにて、かなりの時間を費やして、展覧会のために選ばれた陶磁器と陶片を撮影しました。そこには落ち葉、蚊取り線香からの渦巻き煙と静かな暮らしが息づいていました。賑やかな陶磁器製作・貿易センターとしての町の栄光の痕跡は、時代を超えて現代に至るまで継続してはいませんでした。

ビデオ撮影のクルーが陶器屋のオーナーとのインタビューをしているうちに、私(学芸員)は外に出て行き、辺りを見ていると、大きなマルタバンの瓶を男が、舗装道路に沿って転がしていました。好奇心から、私(学芸員)はその男がやって来る方向に向かって歩くと、私(学芸員)の前に川が現れました。別の男性が、木製の厚板の助けを借りて、マルタバン壺を降ろしている光景に出会ったのです。

大きな甕をボートから地面に運ぶために、長くて細い木製の厚板が橋として使われました。私(学芸員)は一見簡単に動き、不安定な厚板に沿って甕を転がしていた2人の男性に目を向け、無意識のうちに息を止めました。注目したのは彼らの伝統的な方法と手作業への依存でした。生計を立てるために手工業の生産に頼っている小さな町では、おそらく効率よりも費用対効果の高い対策が重要です。私(学芸員)はまた、販売されているマルタバン(Martaban)の甕が実際には地元で作られたものではなく、周辺の地域から移入されていることを知ったほか、中国産の輸入陶磁もありました。

                         <続く>