白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(288)星野仙一の犯罪

2018-01-16 11:05:35 | 人物
星野仙一の犯罪

 小林幸子が梅コマに初登場して翌年 彼女のショーの構成・演出を担当したのは紅善男という「人の食った」名前だった 
(ちなみに昭和57年度の第一回目の構成・演出は元日劇の廣田康男さんであった) 
レコード会社のプロデューサーだとか某民放の男たとか噂されるこの謎の男の正体はひょんなことで いとも簡単に判ってしまう 
コマ文芸部の先輩のOさんの関学の先輩でNHKの芸能部のHさんのペンネームだったのだ
その頃のコマ出演歌手のショーの構成演出はTBSの久世さんとかレコード大賞の斎藤プロデューサーなど一度も顔も見せない人たちでそれは体のいい「まいない」だったのだ
それがついにNHKもかという思いだった 
実際彼は紅白歌合戦を牛耳っていて彼のご機嫌を損ねたら紅白出場も危ぶまれた 小林サイドも必死だったのだろう 
現に後には小林との男女の噂もあったし 有名な大掛かりな衣装は彼が仕掛けたと言ってもいい
彼は昭和61年ちょっとしたスキャンダルに巻き込まれて退社 個人で制作会社Bを立ち上げ現在に至る
 
なぜ 彼のことを思い出したかというと最近元NHK職員の立花孝志とかいう男が「NHKをぶっつぶせ」のキャッチフレーズでYouTubeにNHKの暴露記事をしゃべっているのを見たからである 
彼はスポーツ担当だったから芸能部のことは直接見聞きしたわけではなく伝聞だけだが「紅白の裏側 金・女・暴力団を語る」とか大相撲の裏側一年6場所30億円(これは彼が担当した)の中継料などの話はなかなか面白い
 
そして先日星野仙一が亡くなったことで「故星野さんの悪口いいます」は「悪口」といいながら元々彼が阪神ファンであったことから星野への愛情が満ち溢れなかなか見ものだ 
そして高卒採用の彼がスポーツ担当局長のO氏のカバン持ちをやりながら力をつけていく様はリアルで興味深い 
興味をお持ちの方はYouTubeで見ていただくことにして 特に星野が子供のころからファンである阪神の監督になる話は面白い 
2001年当時阪神監督だった野村夫人のサッチーが脱税で逮捕される情報を掴んだ星野は野村は監督引退と読んで 決まっていたNHK解説者の契約を延ばしに延ばし その間「阪神オーナー野崎さんから話があった」「長嶋さんに勧められた」などと自ら吹聴して世論を高め まんまと待望の阪神監督になった 丁度阪神とNHKがBS放送の中継契約料を決めている時でその情報も掴んでおりいくらで決まった?と立花に聞いて来た 3年で27億だ(高卒の彼がこんな契約を担当した)と言うと監督料は「9億はいけるなあ」とニヤッと笑ったという 
案の定噂で監督料は8億と言われた 契約寸前の1500万のNHK解説者の契約を蹴って・・・である

星野が金に汚いのは彼が母子家庭出身であることに無関係ではない
明治大学時代 三菱電機独身寮で働く母親からの仕送りの袋を全部置いてあってその合計600万ほどをプロ入りの契約金でポンと返した話は有名である 
中日に入ってからはマルチ商売人坂東英二に影響され(教えられ)サイドビジネスに精を出すが失敗ばかり 借金は増える一方だった

野村がチームをテコ入れせず既存のメンバーでチーム力を上げようとしたのとは逆に金を積んで高いFA有力選手金本、伊良部、片岡らを集めたおして三年目に阪神を優勝させた
その年ダイエーとの日本シリーズに敗れた星野は病気を理由に後任の監督に岡田を推してシ自らはニアディレクターに就任した
優勝監督になって星野ブランドの価値は上がる一方 監督時代は成績が売れ行にモロ影響するので控えられていたCM出演依頼が殺到した

その中に関西電力のCMがあった
関電CMは計三本作られた
一本目はプルサーマル編 福井の海岸を思わせる浜辺で地元の子供たちとキャッチボールに興ずるバックに核燃料再使用の説明が入る
二本目はは浜辺編 遠くに原発が見える浜辺で「熱い男」星野が原発はCO2を出しませんと断言する
三本目はクイズ編 水力、太陽光発電は発電時にCO2を出さない 〇か×か 多くの人が〇に集まる 原子力発電は発電時にCO2を出さない 〇か×か 一同悩む そこへナレーションが被る「原子力発電は発電時にCO2を出しません」

このCM主演料は軽く億を超えると言われた

僕も昔関電ミュージカルという企画に参加したことがある 原発がある地域にはそれなりの会館があり そこで地元の子供たちに見せるミュージカルを作る企画の第一回目を仰せつかったというわけだ ところが公演が近づいた1月17日阪神淡路大震災が起こり 企画は中止となった 大震災のお陰で原発推進の手伝いに手を染めることなく終わった

何年か後 星野が北京五輪監督を経て「楽天イーグルス」の監督になった2011年3月11日東日本大震災が起こり
皮肉にも福島原発は壊滅 原発神話が崩壊した
中部電力のCMをやっていた勝間和代と一緒に星野も非難されるが どこ吹く風 立花曰く「そのことを謝ったことも被災地に寄付したことも聞いてない」星野であったが彼は野球で東北を励まし楽天就任3年目にチームを日本一にした
(まあ、これも阪神時代同様大金を積んで補強した結果であった)

「星野仙一の犯罪」という大げさなタイトルで書き始めたが最後は「星野らしさ」で何でも許されてしまうのであった

(前にも書いたが立花孝志のYouTubeは面白い 
しかし自ら真実を述べている証明として友人の不倫のことや自分の不倫の相手の実名まで曝すのは頂けない 人間性が疑われる)