あるいて・みつける

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SMC Takumar 35mmF2(Fujica ST-605Ⅱ)

2015-01-04 16:30:17 | フィルムで行こう
我が家の横綱級アトムレンズで見事な飴色変色が、見るものすべてを夕方に替えてくれる面白レンズです。35mm大口径レンズはオートタクマーの時代から始まっており、大ぶりラッパ型の勇ましいレンズが販売されています。値段も当時にしては大変高額で、はじめたての学生カメラマンは、F3.5の廉価版35mmレンズで満足していました。

今でも、オートタクマー35mmF2.3やスーパータクマー35mmF2前期型は、勇ましいラッパ型でトリウムレンズが使われていませんが、中古価格も大変勇ましい状況で、M42の廉価版レンズを使う我が身としては、フレクトゴンやプラナーの様な価格は辛い所があります。スーパータクマー35mmF2後期型やSMCタクマーはトリウムレンズなのですが、つい最近まで高嶺の花でした。

中古品でも値段が非常に高かった35mm大口径レンズですが、最近になって急に価格が暴落しました。それもこれもこの飴色変色が基になっていて、SMC最後期品やスーパータクマーのトリウム変更直後の、余りトリウムが入っていない(つまり変色が少ない)ものがあるらしく、変色の程度が少ないレンズ以外は軒並み数千円で売られるようになりました。

35mm大口径レンズは、ツァイスのフレクトゴン35mmF2.4が有名で、端正で歪みの少ない画作りは今でも評判です。国内メーカがそれを範として生産を行った様で、このSMCタクマーもそれに倣って作られたものであろうと思っています。しかし、写りはかなり良いのですが、小型化による苦悩が垣間見えます。

余りにも小さくしたために、レンズの屈折率が高くなり、トリウムレンズとなった訳ですが、ぼけの形状に癖が見られるようになってしまいました。俗に言われるぐるぐるボケで結構うるさく感じられる時があります。35mmF3.5のタクマーが非常に端正な写りとなる事と裏腹に惜しいと感じる所でもあります。しかし、F3.5まで絞った時の描写は素晴らしく、35mmF3.5のレンズをF5.6に絞った時と同じようになりますから、絞り一段分のボケ味が堪能できます。

これらの癖が気になったり、アトムレンズが気になったりする時は、オートタクマーの35mmF2.3が線も細くてお勧めなのですが、何しろ銘玉オートタクマーで重くて大きくてそしてすごく高価と云うおまけが付いてきますので、今の所入手はしていません。その代わりにフレクトゴン35mmF2.4が役目をしっかりと務めてくれていますから、非トリウム系レンズの代表として、フレクトゴンを使っています。

何とか飴色着色レンズをフィルムで使いたい。そのような要求が高まってきた時に、シアン・フィルターを思いついた訳です。以前は電球の色補正としてC4のフィルターが重宝されましたが、飴色着色はその半分位ですからC2のフィルターを付けてみた訳です。結果は夕暮れが日中に変わる程の感じで、多少黄色味が出て来ますが結果オーライです。

リバーサルフィルムでも多少色補正をかけるだけで済みそうですし、アトムレンズにはこの様な対処法も良いと感じた次第です。
それでは昨年暮れに撮影した写真から掲載します。


Fujica ST605Ⅱ SMC Takumar 35mmF2
撮影データ:1/125sec F3.5 Kodak Gold 200
雪が降るとさんしゅゆの実が落ちてしまって、残り少なくなってしまいます。誰かが付けたのか落し物のキーホルダーも一緒にかかっていました。後ボケのきれいさは流石F2レンズです。
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