傘寿の真保守宣言

素人の政治、スポーツ、社会評論です。
写真、ゴルフを楽しみながら地域社会に溶け込む一応元気な傘寿越えの爺さんです。

2014年大阪場所の感想

2014-03-31 21:18:08 | 日記
            2014年大阪場所感想
1)想定外の鶴竜の優勝。鶴竜に天晴れ!!
 想定外の鶴竜優勝となり彼としては初めての横綱挑戦のチャンスを見事にモノにした。彼の見かけによらない強い精神力のなせる業かもしれない。彼の真面目さ稽古熱心さなどが過剰なほどに話題になっている。ただ昨年11月までの大関計10場所の成績は8勝3回、9勝4回、10勝2回、11勝1回で全く横綱昇進に程遠い実績で直近の2場所だけ異常に変身したことは事実だった。親方によると11月の福岡場所では左足首負傷で休場の危機だったが頑張って何とか9勝できたことが本人に何かを感じさせたと言う。彼自身も本場所優勝後の感想で、「1年前からジムに通って体力をつけたが、ようやく大関としてこのまま終わることにはしたくないと言う気持ちとなった」と言っていた。直近は体重も10kg増え154kgになったと言う。確かにその気で見れば肩の筋肉のつき方が違っていたようだった。
 入門時は床山の志望と間違えられるほどの体重70kgの小柄少年で、井筒親方は「強くならないかもしれないが、相撲界で立派な社会人に育てよう」と誓ったそうだが幕下まで上るのに3年の年月を要し、その幕下に1年、十両に1年とスロー昇進を続けた。よくもまあここまでになったものだと驚いている。優勝スロー記録は入門後74場所目であの魁皇と同じく史上8位。新入幕からは44場所目で史上5位の遅さ、年齢は28歳7ヶ月で7番目の高齢初優勝となった。
 とにかく先場所も白鵬を本場所で破った14勝、今場所は好調だった白鵬・日馬富士を破り、苦手の稀勢の里を下した14勝だから実力は本物になったと思う。特に、日馬富士にはいなしの弾みで楽勝したが、白鵬との1戦では普段見られない強烈な喉輪攻めで白鵬をのけぞらせ有利な相撲に導いたのが印象に残る。筆者は先場所後もう一場所監察したいといったがその点は充分確認できたと思う。
 今回満場一致で第71代横綱に推挙されたことには異論はないが、一頃に比して横綱推挙の基準が甘くなっていると思う。 北の湖理事長は場所前「最低13勝の優勝」と言っていたが今場所途中では「優勝でなくても決定戦で敗れた準優勝ならOK」というニュアンスになっていた。結果はプラス1で14勝だからOKとなったが、第63代の旭富士以降の横綱昇進は12勝の場合もあったが全員連続優勝だった。優勝よりも白星の数を重視することとなったのだろうか。今後も決定戦で敗れた準優勝は優勝に順ずる評価を受ける前例となったと思う。
 皮肉にもこれで角界最高峰の横綱3力士が全員モンゴル人ということになったがあらためて日本人頑張れと言いたい。そして大相撲でこんな短期間に破格の実力アップが出来ると言うことを示したことは多くの力士に励みとなったといえるだろう。
 横綱審議委員会ではよく昇進者に注文がつく。朝青竜には品格、日馬富士には荒々しい張り手への不満など。しかし鶴竜には何も注文はなかった。「頭がよくて行儀もいい」「稽古熱心で品格もあるし真面目を絵に書いたような力士」「日本人以上に日本人らしい力士」などほめ言葉が並べられた。確かにインタビューでのやりとりを見聞すると地味で実直な感じがにじみ出る。昇進の伝達に対し答えた口上では「一生懸命努力します」と難しい熟語を避けたがそこにも素直さを感じさせた。
2)両横綱の挫折
 安定して全勝街道を進んでいた白鵬が13日目に怪我もちの琴奨菊に敗れるとは意外も意外で驚いた。解説者は「油断しかいない」と言っていたが、白鵬は「立会いが合わなかった」といっていた。負けた上に右手を負傷したのはいたかった。白鵬は語らないが翌日鶴竜に負けて優勝戦線から一歩下がったのもこの負傷が影響したのかもしれない。
 千秋楽に鶴竜が優勝を決めた後の両横綱の結びの相撲は味のない消化相撲となってしまった。それでも日馬富士は本気のようだったが流石に白鵬には戦意が感じられなかった。日馬富士が寄り倒す時に「庇い手で先についたかも」ということで珍しい千秋楽結びの一番が取り直しとなったが、取り直しの一番で白鵬は全く戦意なくアッサリ負けた。彼も人間だった。
 日馬富士は全勝だったが、12日目鶴竜のいなしでアッサリ敗れた。まだ1敗で優勝の可能性は充分あったがその時点で白鵬に星一つの差が出来たことを気にしたのか翌13日目に豪栄道に完敗した。更に14日目に白鵬が敗れて2敗となり自分の優勝の可能性が復活したのに怪我もちの琴奨菊に又完敗。メンタル的に問題なしの筈だったが何故か脆かった。千秋楽で白鵬を破ったのでせめてもの救いだった。
 今場所の状況を見ると来場所は白鵬、日馬富士に鶴竜が割り込んで三つ巴になるようだが、まだ白鵬の安定感が一歩先を走っていると思う。ここ2場所を見る限り稀勢の里はこの3力士から少し落ちるように思えてならない。
3)大関に奮起を
 稀勢の里は先場所に横綱挑戦場所でカド番となったが、 今回何とかカド番を脱したものの11月場所までと全く状況が逆転し鶴竜との格差が明らかになった。2度の横綱挑戦に失敗し鶴竜にアッサリ先を越されて「悔しい」と苦しい胸のうちを明かしたが、その悔しさをバネに来場所以降再度綱に挑戦して欲しい。体格や体力はあるのだから問題はメンタル面だと思う。鶴竜的な変身を望みたい。
 琴奨菊は12日目で6勝6敗。残りの相手は両横綱と鶴竜だから3敗でカド番になると予想していたが白鵬を破った勢いで日馬富士にも勝って何とかカド番を脱した。怪我の治癒次第だが当分はあまり望めまい。
4)関脇陣の明暗
 豪栄道は久し振りに頑張ったが来場所を見ないとまだ信頼できない。他の3役には差をつけているのだから上を目指して取りこぼしないよう頑張れと言いたい。
 琴欧州は引退した。全く覇気がなく初日に勝っただけで9連敗したが実は前日に8連敗した時に関係者に引退の意志を伝えていたと言う。安藤カロヤンとして日本国籍を取得し3年間親方・琴欧州として後進の指導をするという人生計画を立てていたため既に土俵上で力が出なかったのだろう。力はあったが長身力士特有の腰高など技術的な欠点と苦手力士の増産など性格的な繊細さが目立ったほか、怪我が多すぎた。怪我に対する対応について「辛抱」「我慢」を優先させた関係部門の伝統も結果的にマイナスしたという報道も見られた。先の把瑠都もそうだったが巨漢外人には怪我は鬼門と思う。
 栃煌山はまだよく分からない。これで終わるかもしれないし鶴竜を見習って急変するかもしれない。
5)期待力士たちについて
 大きく期待した遠藤は負け越した。下位力士に何番か敗れたことに不満が残る。体の柔らかさ、土俵際のしぶとさ、四つに組んで右上手を取った時の強さなど将来を期待させる相撲はあったが問題は立会いの厳しさに欠けるし相撲のスピード感がマイルド。その欠点を克服すれば3役から最高位まで可能性を秘めた逸材と思う。
 以前から有望と応援していた千代大龍は9勝したがここのところ足踏み中。これまでの評価を変更して少し格下げする。ブチカマシは超1級だが足が伴わず土俵際で落ちる逆転負け相撲がかなりある。もう一人の期待力士妙義龍は病み上がりだから今場所はこんなものだろう。千代鳳と新入千代丸の兄弟力士が共に勝ち越し。特に千代鳳は叩かれても前に落ちないしぶとさが抜群。有望。立派。大砂嵐は遠藤に負けて怪我をしてから調子を崩したが、何とか8勝。来場所が楽しみ。
6)その他の力士たち
  松鳳山、豊ノ島、高安は場所ごとに好不調が激しく安定しない。隠岐の海、栃乃若は予想を裏切る不調。稀勢の里同様メンタル面か。
 本格派の玉鷲は負け越したがもう少し頑張ればと期待する。イケメンの勢も何か殻を破る必要があろう。尾車部屋の嘉風、豪風が遅咲きで頑張ったが今後についてはまだ何ともいえない。老兵安美錦、旭天鵬も勝ち越しは立派。新入幕の照ノ富士、有望の声がかかる徳勝龍、常幸龍も勝ち越したが未だ不安定。入幕2場所目の貴ノ岩は10勝した。唯一人の関取弟子だから貴乃花親方は大喜びだろう。

7)十両展望
 豊真将が14勝1敗で優勝。再入幕することは確実。体調が戻れば3役クラスだから当然だろう。蒼国來も10勝。再入幕は無理だろうが次の次に期待。老雄若の里も勝ち越し(9勝6敗)したのは天晴れだった。一頃幕内上位で頑張った朝赤龍はすっかり十両に定着してしまったのは淋しい。
8)その他
 九重部屋関取が全員勝ち越したという。千代大龍、千代鳳、千代丸、十両の千代国と千代皇。それと3段目の千代嵐、序2段の千代の勝がともに7戦全勝で優勝。九重親方も万々歳だろう。これだけ好成績が揃うのは親方の指導に何かがあると思える。
幕下に落ちていた外人の栃の心が全勝優勝した。怪力だから今年中に幕内上位にカムバックすれば面白い。
 それにしても外人が多い。今場所は3役10人中4人、前頭は32人中10人で計42人中で丁度3分の一。彼らは生活をかけた必至差があるが日本人力士には甘さがあるという。
 大相撲もかなり復活してきたように思う。上位力士が締まり何人かの有望力士が活躍すればファンも増加するだろう。

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STAP細胞問題は存在の確認が先決

2014-03-21 09:45:50 | 日記
          STAP細胞問題は存在の確認が先決
 一頃、STAP細胞成功の報道があった時は、国の基礎研究分野の画期的な成果だし若者の理系指向に大きくプラスすると喜んだがその後に意外な展開となって残念至極。
 今になって「STAP細胞の研究チームは4つの専門領域から14人で構成されたが、チーム間の連携が悪かった、研究論文の体をなしていない、小保方氏は生真面目なリケジョだが、実験の上手さ、データの扱い方や論文に纏める能力は別で研究者として未熟だった」とか彼女一人だけが悪者として扱われている。彼女としては正に天国から地獄への転落を嘆いているだろう。その中で「彼女には直属の上司がいなかった」と言う報道が気になる。
 理研は30歳という経験の浅い彼女を直属上司なしのユニットリーダーに任命したが、間接的な上司たちはこの大きなテーマに関して彼女に対し適切な指導と研究進行のチェックをしてなかったということを露見させたし、一般にチームリーダーの弱点については組織の幹部が評価してその領域に強いパートナーを配してチーム力のバランスを図るのが組織活動のイロハだが理研はこの点の整備にも問題があったことを示した。
 理研の文化として彼女レベルの研究者の活動にどの程度目を光らすかは歴史・伝統があろう。チームリーダーに大幅に自由度を与えて責任は理事長以下の上司・幹部がとるというシステムだったかもしれないが、国際レベルのテーマを扱うにしては組織としての落ち度があったと言えよう。換言すれば野依理事長以下幹部の責任は重い。しかし幹部の会見では自分たちの管理責任について殆ど陳謝がなく彼女の未熟さの糾弾に終始している。彼らは彼女をこれまで優秀と評価して処遇してきたではないか。会見での幹部たちの発言に違和感を覚えている。
 共同研究者たちも疑問点があったなら何故もっと早く取り上げられなかったのか理解できない。勿論小保方氏には責任はあるが同情したい気持ちもある。
 彼女の友人は「彼女は真面目な性格で研究成果を意図的に捏造することは考えられない」と言うが、未熟さのための実験の齟齬・結果の纏めや表現にミスがあり上司のチェックなしに公表されてしまったということではなかろうか。
 しかしながら、筆者の関心事は彼女の素質とか実験や論文のミスではなく、STAP細胞が果して存在するのかどうかだ。他の研究者たちが再現性の乏しさを問題にしているが、ただの1回でも存在を確認したかどうかがポイントではなかろうか。再現が困難ということは細胞について厳しい生成条件、まだ隠れている生成条件が存在するためかも知れず、或いは偶然の出会いだったかもしれない。それは今後の可能性を意味するものではなかろうか。存在の確認は理研が保存しているSTAP細胞やSTAP細胞からつくられたマウスを第3者に提供して調べれば明確になる。直近、理研が第3者をいれて存在を確認すると公表したが当然のことだ。
 ここまでくる素人としてSTAP細胞の存在については何とも予測できない。折角の画期的な発表だったのだから存在したと言う結論を期待したい気持ちとしかいえない。
 STAP細胞が存在したとすれば彼女の評価は一時的に下がっても論文の訂正とか再発表とか是正策はありうるだろう。彼女は研究者として挫折を経験することとなるが再起にはそう年月はかからないだろう。逆に残念ながらSTAP細胞が存在しなかったとなると国の基礎研究が一時的に国際的に軽く見られることとなるが仕方がない。立て直しに年月がかかるだろう。彼女を含め組織、関連研究者は真摯に反省をして出直しするしかない。いずれにしても黒白を速やかに出すべきだ。

 今回は彼女の研究活動について3年前の博士論文にまでに疑問点がだされた。審査した早稲田大学の審査システムはどうなっていたのだろうか。審査は当然一発勝負でなく事前に担当教授の指導があったはずなのに何故こんなことになったのか理解できない。既に研究者として名が通っていたので殆どフリーパス扱いにされたのだろうか。
 先ず冒頭の文章がネット上の英文の盗用と非難された(内容はデータでなく実験手法の記述らしい)。そもそも冒頭の文章ではないか。上司や論文審査者は何故気付かなかったのだろうか。慎重に読んだのだろうか。
 今回はたまたまSTAP細胞と言う話題のテーマの研究者についてのミスだったから露見したが普通の博士論文も恐らく同じような審査で処理されてきたのだろうか。この問題は早稲田大学の論文審査だけでなく各研究機関の博士論文審査の信頼性に波及しわが国の科学研究システム全体が国際的に軽蔑されると言うことになりかねない重大事件だと思う。どこかの教授が「全ての研究者が一応のレベルにあり、性善説を前提に審査するからなかなかミスを発見できない」と言っていた。それが真相でホンネかもしれないが、言ってはいけないセリフだったと思う。

 直近のマスコミでは「彼女が豪奢なマンションに住んでいる」とか「教授たちにお食事を度々誘う」とか彼女のマイナス面になりそうな情報ばかりを書き立てている。刹那的に流れる情報を源として大きく振れるのがマスコミの本性かもしれないまたかと苦々しく思っている
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STAP細胞の不祥事について

2014-03-14 09:06:56 | 日記
            STAP細胞の不祥事について
 一流の技術者集団でこんなことがあるのだろうか。理研は国の代表的な研究組織だ。そこの不祥事となると国の科学技術レベルの評価を下げることになる。
驚きだし残念でならない。
 STAP細胞ばかりでなく彼女の博士論文にまで遡って齟齬が報道されている。論文を審査した教授や大学の責任はどうなるのだろう。
 3月11日の筆者のブログの末尾にSTAP細胞をわが国の技術のいい例として挙げたが今は取り下げたい気持ちだ。この点はすべてが明確になるまで白紙に戻して静観するしかない。
  
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H2A打ち上げの成功を喜ぶ

2014-03-11 12:10:48 | 日記
            H2Aの打ち上げ成功を喜ぶ
 2月28日未明にH2A23号の打ち上げが成功したが最近はあまり大きな報道にならない。打ち上げが正常化した証しで喜んでいる。
 2001年に1号機を打ち上げ2003年に失敗した6号機以外は全て成功し成功率は95.7%となり欧州のアリアン(02年から40回・94.4%)、 ロシアのプロトン(01年から70回・91.7%)を越えるレベルを保持している。米国のファルコンは成功率
100%だがまだ8発と実績は少ない。 
 尚、姉妹機のH2Bは4発打ち上げて全て成功しているからH2Aと両者を合わせれば打ち上げ数27回で成功率は96.3%と更にアップする。成功率は世界最高レベルになったがまだ発射コストの点に問題がある。関係者の努力によってもまだ1回の打ち上げ価格は100億円弱で国際標準の60―70億円より割高になっている。材料単価、エネルギー価格、人件費の高さに加え打ち上げ数が少ないわが国の条件で大幅なコストダウンは困難になっている。
 H2AとH2Bという2種類のロケット衛星を打ち上げビジネスの手段として持つ三菱重工は基本的な改善は次期のH3ロケットまでかかるのでそれ迄は総合的な衛星の運用まで一括提案し地上設備や使い方の指導を含めて経験の乏しい新興国に衛星発射を売込むとのことである。期待したい。
 そのH3は2014年度から開発に着手し2020年に1号機を打ち上げる予定とのこと。問題の打ち上げ価格は現在の半額に抑えるとの報道がある。前述したが価格には打ち上げ発数が関係する。従来は年間2―3発だったがこれからは2014年末にかけて6発の予定があるとのことだから、数年後を考えれば更なる打ち上げ回数の増加も期待されかなりの価格低減が可能になり国際競争力もアップするだろう。大いに期待したい。
 宇宙ロケットは衛星の運搬システムで載せられる衛星こそが主役だ。人類の文明・文化にどう寄与させるかだが、今回は画期的な高性能気象衛星(例えば台風の芯に関する情報も取り出せるとのこと)のほかに宇都宮の帝京大学の学生が手がけたバイオ実験用の小型衛星も打ち上げられた。大学・学生の喜びも一入だろうが栃木県民の一人としても誇りたいと思う。先回は大阪の中小企業のグループが「まいど」を打ち上げた。そのプロジェクトについての複雑な内情は必ずしも新聞報道と違ういざこざがあったようだが、今後も小型衛星打ち上げという流れの発展には期待したい気持ちだ。
 直近にトラブルが露見したようだがSTAP細胞や今回の宇宙ロケット、小型衛星などの成功は若者の理系指向にプラスになるだろうと喜んでいる。

(STAP細胞研究の実態は素人には詳しく分らない。再現性に疑問があるとの報道が多いし研究の過程で何か齟齬があったのかもしれない。研究者を信頼して逆説的に言えば、再現には隠れているある厳しい条件が存在しておりその発見が必要なのではなかろうか。)
      
  


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ソチ五輪についての感想

2014-03-01 16:04:33 | 日記
             ソチ五輪についての感想
1)はじめに
 ソチ五輪は終わった。取れたメダル8個は国外冬季五輪では最多だった。選手たちは頑張ったし協会関係者も安堵しただろう。しかし以前に比して競技種類も増加しているのでメダル総数も増加している。本来は数でなく獲得比率で議論する所だろうからメダル総数を競技種目の3倍と仮定して試算してみた。バンクーバー五輪が異常に悪くソチは7個取ったアルベールビルよりは劣っている数値でリレハンメルと同程度の成績と言いえる。
選手諸君の健闘を称える気持ちは大だからこの表は数字のお遊びとして軽く眺めるだけにして下さい。

  場所    競技種目数(A)  メダル獲得数(B) B*100/3A
アルベールビル 57       7        4.1%
リレハンメル 61       5        2.7%
  長野      68      10        4.9%
バンクーバー 86       5        1.9%
  ソチ      98       8        2.7%

 ザックリ言ってお家芸だったスピードスケートが惨敗しスキー競技は復活し、そして新興種目というか国内ではマイナーとされていた種目が大健闘したといえる。フィギアスケートは男子が唯一の金をとったが目立ち女子は沈んだ。メダル8個のうち7個が雪上競技だったことは特筆に価する。
 自分で取材したわけではないのでTVとかマスコミ情報を種に日記の類として感想を纏めておく。
 種目別に記述するよりも印象の強かった競技からアットランダムに書き流すこととする。
2)若い羽生に天晴れ!!
 何と言っても唯一の金メダルをとったフィギュアの羽生を取り上げるべきだろう。これで今回の団体戦を入れてカナダのチャンに3連勝したわけで世界のNo.1となったと言えよう。特にショートでの101点は歴史的な最高点だった。見ていて4回転の回転速度の速さが素晴らしかった。金についての重圧に耐えて栄冠に輝いた根性は19歳には思えないくらいだ。
 フリーでは2度転倒し矢張り彼も五輪の重圧で或いは金を逃したかと危ぶまれたが、後で演じたチャンも珍しく後半に2回失敗したので逃げ切れたのはチャンには悪いが幸だった。勝利のインタビューで満足感よりも反省点を述べていたが2度の転倒を悔いたのだろう。男性として19歳だからまだ体は完成していない。今回は体力の限界に挑戦したようだ。終盤は酸欠状態になり意識もうろうで体を動かしたと言っていた。後数年で体も完成の域に達するだろうからこの酸欠状態も少なくなるだろう。チャンは既に完成しており年齢から言ってこれ以上大幅な伸びはないだろうから羽生にしばらく世界No.1の位置を保って欲しいものだ。
 高橋・町田はそれぞれの持ち味を出して頑張ったと言える。高橋はメダルには届かなかったが先輩メダリストとしてチームのリーダー格となりチームの精神的な支柱となって頑張った功績は大きい。
3)パラレル大回転の竹内智香に脱帽
 次に竹内のパラレル大回転の銀を称えたい。彼女の実力はその分野では知られており、バンクーバーを含め4度目の出場だった。しかし国内ではマイナー競技でマスコミもあまり取り上げなかった。彼女は国内での練習に限界を感じてスイスの最強チームへの弟子入りを直訴して入ったと言う。何度も断られたのにめげずに情熱で相手を説得したと言うからその点は立派だ。日本人離れしている。銀に輝いた後のインタビューで「このメダル獲得で日本の若い人がこのスポーツを知って繁栄させメジャースポーツにしたい」と笑顔で語ったのが印象に残る。
 惜しくも決勝で先行しながら転倒し金を逸し「惜しかった」と悔しがったが、銀でかなり満足の表情だった。次の回転競技では本人はこの方が得意と言っていたが意外にタイムも伸びず初戦で敗れたが、矢張り大回転での銀メダルで緊張は衰えたのではなかろうか。それだけこの銀の彼女自身及び国内でのこの競技に対する影響は大きかった。彼女の言葉通り国内でのこのスポーツは広がるだろう。
4)高梨沙羅ちゃんの無念
 惜しくもメダルは逸したが高梨沙羅ちゃんの無念さを次に上げたい。
WCで圧倒的な強さを示してきて万人がそして彼女自身も金を目標としたと思うので彼女の無念さは十二分に分かる。競技日程が冒頭だったので、「しょっぱなの金」とマスコミに囃したてられたため如何に実力があっても17歳の乙女の心にストレスとなったのではなかろうか。「五輪には何か魔物がある」と感想を漏らしたことがその気持ちを表している。追い風の不運も重なり2発とも思うジャンプとならず4位に終わった。競技日程がもう少し遅ければ彼女ももう少し冷静に落ち着いて挑戦できたかもしれないと思うが全て終わったことだ。
 尤も多くの選手の中で彼女ともう一人の時だけが不運にも追い風となったと言う。追い風の場合若干の加点がもらえるが飛距離の減少を補うほどではないというから不運もあったようだ。ジャンプ競技では常にこの運を乗り換えなければ勝てないと言われる。彼女としては今後の選手生活を続ける上で貴重な体験となったと思う。
 しかし4位というのも立派な成績だ。堂々と胸を張ってほしい。彼女は競技後のインタビューで目に涙を浮かべながらも冷静に関係者に感謝の言葉を述べ自分の力が至らなかった反省の言葉を続けた。17歳の乙女とは思えない人間的に出来上がってしまっている感じだ。まだまだ若い。これから何度もチャンスがあると思う。頑張ってほしい。直ぐその後のWCに出るために出国したが頼もしい限りだ。天晴れ!!

(追記3月23日:五輪後からのWCでも5連勝し今期は18戦で15回優勝となった.しかも2位2回3位1回で2年連続で総合優勝の栄誉に輝いた。皮肉にも表彰台を逸したのはソチだけだったということはいかにも残念だった。)
5)浅田真央の強靭な精神力
 団体戦でのショートは余りよくなかった。団体戦への出場は個人戦の予行演習としてプラスと見るか、体力を消耗するし、よくなかった場合には悪い印象を残すからマイナスと見るかだが、彼女の場合は結果的に後者となったようだ。ライバルの韓国の金妍児は団体戦に出なかった。
 個人戦のショートは言いにくいけど最悪だった。素人には点数も殊更に厳しくつけられたように思えたがプロはあの採点を否定しなかった。4年間その日のために精進したのに何故あのように終わってしまったか。彼女自身が一番悔いたと思う。金、金とファンやマスコミからあまりにも期待しすぎたと思えてならない。高梨沙羅ちゃんの場合は数字的に圧倒的な強さを示していたが、真央の場合はロシアの15歳のリプニツカヤ、韓国の金妍児に次いで3番手と見る専門家がかなりいたが、彼女に遠慮してかマスコミへの反発を避けたのかその評価はあまり報道されなかった。
 彼女はショートの冒頭で懸案のトリプルアクセルに失敗し「矢張り駄目だったか」「これではいかん」と挽回を図って緊張したことがミスの上塗りに繋がってしまった。ロシア選手への歓声が異常だったから影響されたともいわれるがそのあたりは何度か国際試合で経験しているのではなかろうか。不調の理由にしては彼女に失礼ではなかろうか。とにかく55.51点とは彼女のショートの点として筆者には記憶がないほど低い点だった。
 翌日も普通なら滅入ってさらに墓穴を掘るのかと案じていたら意外にも明るい表情で勝負に臨み懸案のトリプルアクセルを成功させて調子を上げ全てのジャンプを成功させ自己最高点を更新して142.71を取り16位から6位入賞にこぎつけた。立派だった。一晩で立ち直った彼女の精神力に敬意を表したい。ただその最高点は当日のフリーでは金メダルのソトニコワ(149.95)、銀メダルの金妍児(144.19)に次いで3位の数字だったことは後の2人は彼女より上であることを示している。残念だが前述したように真央に金を期待しすぎたと言うことの裏づけとなった。
 彼女は3月の世界選手権に出ると明言した。頑張ってほしい。今回メダルを逸したが、フリーで自己最高を更新し気を良くしたのか五輪前に言っていた引退の言葉をぼかすようになった。まだ23歳で若いのだから後数年は堂々と挑戦すると宣言してもいいではないか。
 五輪前も五輪中もよく「練習でトリプルアクセルを5回跳んで3回成功した」という情報が流された。それだけ難しい技なら本番で成功させるには10回跳んで9回成功するくらいでないと安心できないと思う。練習の成功率が60%でも本番に決行するという感覚はスケートとはそういう文化なのだろうかと何時も疑問に感じている。
 真央と離れるが金と銀の採点について韓国から抗議が出た。「転倒したロシアのソトニコワよりも韓国の金妍児のほうが安定した演技だったのに採点がおかしい」と。筆者は生では見なかったが転倒した方が金メダルとなると素人はそう感じるかもしれないと思う。しかし安藤元選手ははっきりと諸々の演技の評価を加算するとあの金銀の採点は妥当と言っていた。勿論スケート連盟はこの件について審査にもかけなかった。
 鈴木明子ファン(独特の眼と笑顔が魅力的)として彼女が8位に留まったのは残念だった。メディアは真央報道に集中していたので陰に隠れてダークホースと期待していたが矢張り緊張でジャンプが乱れた。日本選手権の時のキレがなく平凡に終わってしまった。28歳だから言葉通り引退だろう。長い間ご苦労様でした。今後後進の指導にあたってほしい。
6)レジェンド葛西に驚嘆
 彼自身はNHで振るわなかった時に「LHが得意だから見てくれ」と言っていた。「本当かな」と心配したことは事実だ。後で知ったが、NHの着地で腰を痛めLHまでの数日間練習を避けたと言う。その休養がプラスしたのだろうか、彼自身の予言どおりLHでは見事だった。長年第1線で頑張り7度目の五輪まで頑張った体力・気力は素晴らしい。
 団体(清水、竹内、伊東、葛西)でも4人がそれぞれ厳しい環境を抱えながら(竹内は難病と付き合いながらの健闘。同じ病の患者に大きな励みを与えただろう)快挙を達成した。心を合わせて銅をとったのだ。
 個人競技の銀メダル獲得で泣かなかった葛西が団体での銅メダルに男泣きに泣いた。よほど感動したのだろう。TVでプロ野球大御所張本が「男は泣くな」と喝を飛ばしたが、この際はレジェンド葛西の感涙に素直に共感する。それにしても16年ぶりの団体のメダル。今後は過去の日の丸飛行隊の復活を期待したい。
 あるTVで補欠選手の行動が放映されていた。団体の5人目の選手だったが最後まで出る幕はなかった。彼は深夜に一人でジャンプ台で飛び調子を整えていたと言う。栄光のメダルの陰には必ずこういう日の当たらない選手たちの支えがあると言うことで感動した。これを放映したメディアに天晴れだ。
 他のスポーツだがカーリングでも序盤で主選手がインフルエンザで欠場し5人目の吉田が出たがこの場合は最初から補欠と言うことでなく試合ごとに5人の中から4人出るということだったらしい。アルペンの複合団体(永井、湊、渡部善、渡部暁)では主将の加藤が負傷し補欠湊がその後出場し頑張った。彼にとって言葉は適当でないかもしれないがラッキーにチャンスが与えられ今後の競技生活のためには良いきっかけとなったと思う。人生とはそういうものかもしれない。
7)ハーフパイプ(HP)を認識した
 スノーボードハーフパイプ(HP)については平野歩夢が15歳で銀、平岡卓が18歳で銅を、女子はスキーハープパイプで小野塚が自己ベスト点で銅と3人がメダリストとなった。平野は最年少のメダリストとして歴史に記録されるだろう。その筋では実力は知られていたようだがマスコミの情報が少なく筆者を含め恐らく一般の人はあまり知らなかっただろう。彼らは幼少時代からこの種のスポーツに取り組んでいたらしい。彼ら若者の物怖じしない強さを如実に感じた。頼もしい限りだ。
 あれだけ高く空中を舞ってよくもまあ2本足(2枚板)で地面に下りるものと感心した。尤も体操の床運動や鉄棒、跳び箱でも同じような驚きを度々見せられる。人間の能力と言うか平衡感覚は磨けばこうなるものかと驚くだけだ。
 数年前にこのスポーツで衣装や言動で物議をかもしたことがあるが今回は全員若さの中に何か節度が感じられて好印象を持った。結構なことだ。
 しかしこの新種目にはこれから多くのライバルが凌ぎを削ることになるだろう。平野、平岡は更に今のルートに研きをかけることとなるだろうが、小野塚は高さと着地の安定性で評価されたが金銀の両者は空中の舞で観客や審査員を魅了させた。今後は空中の舞をレベルアップしないと取り残されるだろう。
8)アルペン
 渡辺暁が複合NHで20年ぶりに銀を取った。以前はジャンプで稼いでクロスカントリーを逃げ切ると言うパターンだったが、彼の場合クロスカントリーにも強いそうでジャンプで6秒差の2位だったから金を期待した。しかし相手も予想外に強かった。終盤で離された後は追いつけなかった。力を出し切った銀として彼は満足気だった。おめでとう。

9)惜しかったカーリング
 カーリングのルールをようやく理解するようになり今回は堪能した。ここ一発で勝敗を分けるショットが何度かありスリルがあった。TV解説が分りやすかったことも興味を倍加させたと思う。
 もともと世界9位のランクだから五輪に出るのが実力一杯でメダルどころか決勝チームの4位までに入ることはかなり困難視されていた。結果として、初戦に格下の韓国(ランクは10位)に何故負けたのか残念でならない。初戦だから緊張するというのは相手にも言えることだ。この点は彼女たちの反省点だろう。総当りだったが格上のスイスや中国に勝ったのは天晴れだったが、今回1勝8敗の米国にその1勝を与えたのも惜しかった。4勝5敗の同率5位で終わったが韓国と米国には勝つ可能性もあったと考えれば4位もありえたと思う。尤も相手側にも同じようなタラレバがいえるからあまりあれこれ言わない方がいいかもしれない。
 ゴルフと同様ミスを如何に少なくするかという競技だから10ラウンド戦えば実力の差は出るという競技と思う。決勝に出られなかったがよくやったと言える。今後が楽しみだ。
10)メダルゼロのスピードスケートは基本的な立て直し必要
 スピードスケートで金を騒がれていた長島と加藤は惨敗した。彼らも良くて銅というのが海外の評論家の話だったがそこまでもいかなかった。100分の1秒を競う勝負に対し日本人の気持ちの弱さが出るのだろうか。加藤はスタートミスがあった。今回はこの両人だけでなく男女とも全くいいところがなかった。
 チームワークを売り物にしてバンクーバーでは女子はパシュートで銀をとったが、今回は準決勝でオランダに大敗したのは相手が世界一だから仕方がないとしても3位決定戦でロシアにアッサリ逆転されたことは実力の差を感じさせた。わが方は4人としてのベストタイムを出して実力を発揮したのだから仕方がない。今後基本的な思想の転換が必要。
 ショートトラックも惨敗だった。毎回見ていたわけではないがどうもわが国の選手のスタートダッシュが弱いと感じた。コーナーが多いコースだからなかなか追い抜きにくいのでスタートでいい位置を取るのが大事だがこの点弱い。韓国からロシアに国籍変更したアン(500mと1000mの金メダリスト、1500mで銅獲得)は抜群の能力があった。500m決勝のレースを見たが、スタートではっきりミスで出遅れ4位だったが、確実に追い抜く加速と割り込んで追う抜く技術を見せ付けられた。しかし彼は特別で普通の選手の場合はスタートがポイントと思う。
 2大会ぶりにメダルゼロ。根本的に考えなければならないのではなかろうか。新人の育成が遅れているようにも思う。橋本団長も外国人コーチの招聘する意向を示している。

11)モーグル
 上村は残念ながら4位にとどまった。準決勝には最終の6位で決勝の6人にはギリギリで入ったのだから4位も仕方がないとは言えるが、決勝の滑りは6人中最速だったのに飛行姿勢などの関係で評価点が低かったのか残念だった。五輪で毎回1位ずつアップしてきたので今回はその順で3位の銅と言う期待もあったので残念の涙かと思ったら彼女はやることをやり遂げたと言う達観の涙だった。見ていてすがすがしかった。
 今年は五輪解説に旦那の皆川が出演しており彼女のモーグルとの取り組みについてよく聞かされた。長い間夫婦2人でご苦労様でした。
12)おわりに
 喜びの涙、悔しさの涙に感動したソチ五輪も終わった。冒頭に記したように、競技によっていろいろな評価はあるが総合的にはまずまずの成果だったと言えよう。今後の五輪としてはリオ、平昌そして東京となるが選手、関係者それぞれの立場で準備にかかることだろう。大いに期待したい。
 事前にはマスコミ報道はフィギア、ジャンプ、モーグル、スピードスケートなどメジャー競技のメダル獲得に終始し候補選手にかなりのストレスを与えていた。本文に記したように過剰な期待を背負わせられた選手たちは気の毒だったと思う。逆にかなりの実績はあったのにマイナー競技はあまり扱われずに五輪に突入したが、そこから8個のうち3個のメダルが取れてしまった。マスコミはこの報道のありかたについてどう考えているのだろうか。言いにくいが反省が必要ではなかろうか。
 もう一つ選手の家族を含め多くの国民がわざわざ現地に出向いて応援する時代になった。豊な国、豊な時代と言うべきか。アベノミクスが話題になるが、世論調査では景況感が殆ど出ていない。彼らソチ訪問者にアンケートを取ったら、どう答えるのだろう。彼らは景気を甘受している数少ない恵まれている人たちなのだろうか。或いは日本人とは口では不景気をかこちながらこのくらいの外遊ができる余裕がある国民なのだろうか。後者の場合なら世論調査の読み方を少し変えることにしよう。
          
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