傘寿の真保守宣言

素人の政治、スポーツ、社会評論です。
写真、ゴルフを楽しみながら地域社会に溶け込む一応元気な傘寿越えの爺さんです。

2011年大相撲九州場所について

2011-11-30 17:19:31 | 日記
              大相撲九州場所について
1)概況
 大相撲九州場所は白鵬の全勝優勝、稀勢の里の11勝以上での大関昇進と琴奨菊の活躍の3件が筆者の関心事だった。 その結果、白鵬は千秋楽に把瑠都に破れ、優勝はしたが14勝1敗で史上初の全勝9回の新記録にはならなかった。カップを抱きながらも唇を歪めて不満顔がありありだった。ただ、角界を背負う責任感、天性の素晴らしい勝負感、反射神経を持ち、相撲についての研究心、ダントツの安定感は立派で賞賛に値する。特に琴奨菊との一番で巻き換えの早技を駆使して姿勢を有利に導いた妙技と、琴欧州を土俵上に放り投げた奇襲の大技(柔道の技を参考にしたらしい)が印象に残る。暫くは白鵬時代が続くだろう。
 稀勢の里は大関に昇進し、めでたいが10勝ではファンとしてはイマイチ不満が残る。琴奨菊も9連勝まではファンを沸かせたがその後4連敗した。しかし緊張する新大関で中盤まで優勝争いをして11勝した。二人とも一応合格点だろう。
 当初の関心事はそれぞれ結果が出たが、綜合点として75点とつけたがどうだろう。
2)稀勢の里の大関昇進
 彼は14日目の後、3場所で32勝を果した時点で大関推薦と発表された。千秋楽に苦手の琴奨菊に敗れたので喜びの中にもほろ苦さがあったと思う。
「32勝以下、優勝なし」での大関昇進は1985年の大乃国以来とのことだし、普通は場所後に大関昇進の審議があるのに、何故か今回は基準の33勝に達する1日前に32勝時点で発表された。正に異例だ。この特別な決定の理由がいろいろ報じられたので少し考えてみた。
 審判部のコメントではこの3場所10勝、12勝、10勝(14日目で)と一応安定してきた。彼の相撲には、けれんみがなく、常時押し相撲で立会いに横に飛ぶことはないという相撲の取り口を評価したという。もう一つ白鵬の64連勝を阻んだ功績とその後白鵬と3勝3敗という実績がプラスされたらしい。生活態度も清潔そのものと言われ会議も5分で万場一致だったし理事長もOKと言う。師匠が急死した部屋の部屋頭として、不遇にも関わらず活躍したなどメンタルに強いと同情心も寄与したなどとメディアに流れたが勝負の世界では本来そういう情は入れるべきでないと思う。
 根底に横綱・大関中日本人は琴奨菊一人という異常状態を解消したいという協会幹部の願いもあったのではないか。記憶は確かでないが嘗て小錦がかなりの成績を出したのに大関昇進を見送られ翌場所再度好成績で昇進したことがあった。仮に同じ条件だったら如何に態度がよくても外人の場合は果たして昇進させたかどうか。
 千秋楽に闘う琴奨菊には入幕後は11勝23敗と相性が悪く32勝止まりになる可能性は高かった。大関にしたいと考えていた審判部だが、32勝に留まった後での昇進申請はマスコミや評論家から叩かれると考えたのだろうか。若し審判部や協会として32勝でも昇進させるという意志が初めからあったのなら千秋楽後の方がスッキリしたと思うしファンも納得しただろう。相撲通の杉山さんは「勝数でなく相撲内容と態度が決め手だ」と前日の発表を絶賛していたが筆者は疑問に思っている。
 筆者としては彼はいずれは大関になる力士と思っていたが、とにかく上述のようにラッキーな面もあり今回大関になれた。とにかくおめでとう。彼は、貴乃花に次ぐ史上2番目の早さで新入幕したが大関昇進は史上5位のスロー。これまで何度か次の日本人大関とか横綱と期待されたが期待に背いてきて大関獲得では琴奨菊に先を越されたがようやく新しいスタートラインに並んだのだ。
 師匠が逝った部屋で新親方になった力士は番付では下位力士である。彼のレベルアップには今後技術的な指導者が絶対に必要と思う。前述したような正直な押し相撲を読まれて負けることが多いと考えるからその対策について緻密な研究が要るからである。具体的には今後も前に出る相撲という基本を変えない中でも相手によって闘い方の工夫が必要だろう。そして琴奨菊など苦手を克服する努力をし、今後も白鵬を苦しませることを期待したい。それが結果として更に上に上がることを約束することに繋がるだろう。
3)他の力士についてコメント
①大関陣
 琴欧州、日馬富士の両大関はだらしなかった。把瑠都も序盤はどうなるのかと大いに不満だったが終盤は頑張って白鵬の全勝に土をつけたし日馬富士以外の他の上位陣を総なめにしたから一応合格点とする。彼の力を充分発揮すれば更に上に上るポテンシャルがあることを示した。あの序盤の負けは何だったのだろう。問題はメンタルな点にあるのだろうか。
 大関の角番制度では2場所で8勝すれば下がらない。甘すぎる。せめて10勝、言い換えれば「2場所のうちに10勝出来なければ陥落」と改定するのが大関の地位を考えれば妥当ではなかろうか。
②7人の侍その他
 筆者がここ数場所関心を持った7人の侍で2人が大関に昇進した。 次は鶴竜が有望だ。豊ノ島はイマイチ。豪栄道、豊真将と栃煌山は今場所は不調で差がついた。今回で7人の侍の議論をやめよう。
 これに続く有望力士としては栃の若、隠岐の海および新入幕下5人の中の碧山(ブルガリア出身・敢闘賞受賞)、妙義龍、松鳳山とみる。妙義龍は大卒、幕下付け出しでスタートして一度十両になったが怪我で経験のない3段目まで陥落した後に復帰した力士でその精神力は立派だ。来場所は上位に上って3役と対戦するのが楽しみだ。
 妙義龍と同じく大怪我で番付を外されるまで陥落し見事十両まで復活した北勝国に期待したが今場所は久しぶりに5勝10敗と負け越した。さすがに十両では無理だったか。まだ若いのだからさらなる頑張りで入幕を狙ってほしい。
③外人トリオ
 栃の心、阿覧、黒海の外人トリオは筋肉の盛り上がりを見れば力持ち。しかし3人揃って惨憺たる成績。共通して大きな壁にぶち当たっている感じだ。何か工夫しないとだらだらと落ちる。特に黒海は危機的状態にあると思う。
④老雄の明暗
 若の里が怪我で途中休場。2勝4敗9休だった。大関取りと騒がれたのは数年前だったか。現状では気の毒だが再起は難しそうだ。
 雅山が久しぶりに11勝。ただ番付の関係で上位とはあたっていない。来場所3役に返り咲きとなろうが大関OBとして真価を問われる。頑張れ。
4)おわりに
 大相撲の人気はまだまだ低調。二人の日本人大関の活躍が目立ってくると回復するかもしれない。来場所から5人大関の頭でっかちな番付になるが誰が横綱に上るのだろうか興味がある。今の勢いだと琴奨菊か稀勢の里ではなかろうか。外人では把瑠都にも九州場所終盤の勝っぷりを見るとその可能性がある。相撲ファンとしては彼らの競争心・闘争心が花開いて満員御礼の垂れ幕がかかる国技館を期待したい。

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野田首相のTPP参加表明を一応評価する

2011-11-12 20:33:26 | 日記
            野田首相のTPP参加表明を一応評価
 野田首相はTPPの結論を1日延ばして11日夜に「参加に向けて関係諸国と協議に入る」と表明した。「参加する」というストレートな言葉を避けたのは慎重派に対する配慮といわれる。しかし、そもそもTPPに参加するには既に参加している9ケ国と協議しなければならないのだから、わが国が「参加する」と宣言してもスンナリ参加とはならない。首相の発言はこれからの国としての所定の行動を正確に表現しただけで実質的な参加表明そのものである。13日の各新聞の見出しには全て「野田首相TPP交渉に参加表明」と書かれていたが当然だ。
 産業界は参加表明として歓迎したし、慎重派のJAも参加表明と理解して無念さを語ったが、何故か慎重派のドン、山田元農相は「参加でなく事前協議に留めてくれたのでほっとしている。これからが勝負だ」とホンネは分らないが表面的には強気だ。これが政治家の発言というものかもしれないが、彼の無念さは分るにしても少し変だ。参加表明と理解すれば「重大な決意」をしなければならないがその行動をとりにくい状況になったので辻褄を合わせているとみえて往生際の悪さとしか感じない。
 12日朝のTVで民主党大塚厚生労働副大臣は「民主党の慎重派にも脱党まで考える%は低い」と言ったし、「首相が決断した以上首相を支えるという数は50-70%はいるか」という質問には苦笑しながら頷いていた。それが実態と思う。
 TPPは農業と輸出産業だけでなく金融、知的財産など20以上の項目についての交渉だが中には他のグループFTAなどで既に取り扱っている項目もある。中国主導型のアセアンプラス3もあるからアジアを重視するならそちらの方が重用ではないかなど、いろいろな意見があるが、それらが交錯しているのだからいろいろなグループに幅広く顔をだして自由化の範疇で国益を追求する修羅場を数多く踏むことが大事ではなかろうか。現在、米国主導型のTPPか中国主導型のアセアンプラス3のどちらか、といわれれば、わが国の国際社会における立場からいえばTPPを先行させなければならないと思う。日米主導でルール作りをして中国を迎えるという筋道は対中国対策にもなると思うからだ。参加せずに欠席裁判でわが国に不利なルールが設定されてしまったらそれこそ手遅れになると思う。しかし米国議会には、我が国が既に参加が遅れたための咎だが、わが国の正式参加以前にルール作りを急いでわが国の立場を厳しくさせようとする動きもあるようだ。一方、米国を除く8ケ国は米国の横暴さを防ぐためにもわが国の参加を望んでいるという。要は、まだまだ遅くはない。交渉の場はあるということだろう。
 慎重派は自民党を含めTPPは関税撤廃に例外なしだから農業は壊滅するというが、米国でさえ砂糖について例外を主張しているというではないか。仮に完全撤廃になるとしても10年先の話だ。これからの交渉でそれを延ばすことも可能ではないか。それだけわが国の農業改革にかけられる年月も長くできるのだ。要するに協議に参加して外交の場で国際的な感覚で国益を追求するということで全てこれからの交渉ごとだ。慎重派は「欠席裁判」「不戦敗」のデメリットをどう考えていたのだろうか。そして現在未だTPP参加を阻止すると息巻く山田派たちはこの点をどう考えるのだろうか。
 野田首相は嘗て県議時代から自由貿易論者だった。今回も以前から自分の意志は固かったと思う。慎重派の主張に屈して参加見送り表明をしたら野田首相の政治生命はオワリと思っていたが流石に意志は曲げなかった。ただ1日延ばして参加表明についての表現を変えたやり方は、党内の事情は分るがリーダーシップの点では内外にマイナス点をつけられたと思う。残念な処置だった。
 結論として野田首相の表明を一応評価して今後の頑張りに期待する。


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TPP・野田首相の協議参加の決断に期待する

2011-11-09 15:07:36 | 日記
           TPP・野田首相の参加表明を期待する
1)はじめに
 TPP問題は大詰めに差し掛かった。政府の多くの政策については、どの党が、あるいはどの学者や評論家がどう言う発言をするかは大体予測されるが、TPPについては予想が当たらなかった。「あの人が反対か」と驚くことが多い。
 TPP参加のメリット、デメリットについて農水省と経産省で全く反対の数字を出している。前提の取り方で数字はどうにでもなるということだろう。ということは閣内でも未だ意見は纏まっていないことを示す。また、専門家たちも賛否も全く対立している。ここまで来ると素人では判断が難しい。
 この辺りで一度、メディア情報を見聞した感想を纏めておくことにする。ここでは「慎重に」という言葉を全て「反対」と置き換えて述べることにした。「慎重」とか「善処」という言葉は「当面何もしない」という政治用語と理解しているからだ。
2)反対の大合唱
 民主党は前原・仙谷ラインは参加派だが、党内では山田元農相を核として農協や漁業団体など大集団の反対行動があり、党の作業チームでは賛否両論が拮抗しているようで結局意見を一つに纏められそうもない。「党内には反対意見がかなり多い」「政府は参加のメリットやデメリットを国民に充分伝えろ」という提言になりそうだが、何故「賛成意見もかなりある」という文言を避けるのだろう。一つの提言を仕上げるための反対派に対する配慮だろうか。この提言なら、失礼になるかもしれないが、学生の討論会レベルで賛否両論を併記した報告書に過ぎない。それが政権与党の大プロジェクトチームの結論といえるのだろうか。民主主義としてはそれでいいのだろうか。
 TPP参加で確かに農業は苦しくなるという予測は正しいだろう。しかし世界が自由貿易に進むということは政治家なら誰でも分っている筈。参加した中で農業の改革を進めるのが政治だと思うのだが、ここで全面的な反対を唱えるのは来るべき総選挙で農民の票を失いたくないという短期的な自己保身と思えてならない。自民党の反対派についても全く同じで、この面では正に超党派で固まっているようだ。
 700%以上の関税に守られているコメに象徴される農業の改革はTPPに関係なくやらなければならないが自民党時代から政権交代後の今まで「減反と農家への補償」以外に何がなされたか余り目立っていない。TPPに反対するにしても自らの農業の改革案を同時に表明するべきだが全くそれがない。ただ反対というのではTPP参加を唱える輸出産業者や中立の立場にある消費者の賛同は得られないと思う。 
 少数派だが若い農家にかなりの参加派もいる。彼らは自分で農業を改革して規模の拡大とか効率的な生産システムを編み出し輸出作戦も考えて実行している。この動きを反対派や農協はどの程度認識しているのだろうか。
3)今回のTPP論議は内容でなく協議の場への参加の可否の判断。
 そもそも今回はTPPの内容そのものでなく参加して協議をするテーブルにつくかどうかという論議ではないか。反対派の理由は参加してもメリットがない。参加したら米国にやられるだけでデメリットになるという。しかし、新しい組織のルール作りの場に最初から入って国益を念頭に作業することをなぜ否定するのだろう。参加せずに「欠席裁判」でルールを作られ後から参加するのは悪条件を忍ばなければならないというのが常識だ。ましてTPPは米国との2国間交渉でなく多国間交渉となる。わが国にとっては米国との2国間交渉よりもやりやすい面もあると思うのだが。
 確かに農作物の関税廃止は農業に厳しいが、各国ともそれぞれ幾つかの産業について同じ悩みを持っている。TPPは「原則関税廃止」という建前であっても実際に協議に入れば必ず例外が論議になるはずと思う。その場で国益に配慮しながら国際協調を図るのが外交で、始めから参加しないというのは鎖国政策を進めろという前時代的な意見ではなかろうか。
 現在の参加・反対論は全てそれぞれの産業団体の立場に立って自分自身の得失を云々しているだけで、一般市民とか消費者の立場からの意見は映像に余り流れない。しかし、中立の立場にあると思われる評論家や有識者もそれぞれ一方の立場に立って発言しているようで、どちらも専門家であるだけに素人には分かりにくい。ただメディアでは反対派の映像が圧倒的に多く流れるので国民には反対論が多いかと思いきや、殆どの世論調査では参加派が多い。消費者の立場からは参加派となるのだろう。

4)医師会の反対に疑問
 医師会も反対している。しかし政府は世界最高のわが国の医療制度を堅持するといっている。まだ私の勉強が足りないのかもしれないが、今医師会が騒ぐことが理解できない。実は筆者は医師会が問題視する混合医療についても何故禁止なのかいまひとつ理解できない。現実に多くのがん患者に希望者がいるというではないか。高度の保険対象外の薬や治療を併用すれば富裕者にだけ得になるとか言われるが、募金でその種の治療を受ける人もいるではないか。また、既に歯科医療では実質的な混合医療がなされているのではないか。筆者も入れ歯治療で一部は保険外、一部は保険内で何度かやっていただいている。あれは混合医療とはいえないといいうことだろうか。専門外だからよく分からないが、いずれにしてもTPPに参加して討議の中で日本の最高の医療システムを相手に勧めるという行動があってもいいではないか。参加さえも避ける理由は分らない。
5)まとめ
 TPPに参加しても大きな経済的なメリットは期待できないかもしれないが、参加しない場合には鎖国国家と見られるし諸々のマイナスの影響があるのではないかと思っている。 
 世界は今後自由貿易の時代となるという前提を考えれば、参加すれば全て国益を失うという負け犬根性、被害者意識でなく、国としては参加した場で自国の主張を叫び国益を追求する外交戦に挑戦することが、将来仲間に呼び込むことになるだろう中国に対する対応としても妥当な態度と思う。
 野田首相の参加決断の表明に期待する。
 
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2011年プロ野球CSの盛り上がり

2011-11-08 12:04:20 | 日記
         2011年度のプロ野球CSの盛り上がり
1)はじめに
 CSはレギュラーシーズンの優勝の価値を落とす意味で基本的には賛同しないが消化試合になりがちなペナントレースの終盤までファンを引きつけるというプラス面はある。ファンが楽しみ選手や球界が豊かになることはいいこととは思うが、ただ、日本シリーズを「日本一を目指す」などと持て囃さないで一つのイベントとして位置しなければ納得は出来ない。
 今年は両リーグともCSがらみの試合は見ごたえがあった。CSに参戦したヤクルトファンだし、たまたま時間があったので何度かTV観戦したが、ヤクルトファンとして孫にせがまれて10年ぶりに神宮球場に足を運んで巨人との第1戦を観戦して勝利に興奮した。少し詳しくCS全般の観戦記を纏めた。
2)終盤の西武の猛進とCSでの玉砕
 ヤクルトファンなのでパリーグ関連の情報はどうしても疎くなるがCSへ挑戦した西武の猛進は凄まじかった。逆に言えばオリックスの急落は何だったのだろう。何度も出場の権利を取れる機会があったのにそれを逃して最終戦までもつれ込み、その最終戦で最悪引き分けでもOKだったのにエースを立てて敗れた。
 逆に西武は負ければ勿論引き分けでも権利なしの剣が峰で、1点リードの8回裏のノーアウト1,3塁の大ピンチを西口を救援した石井が見事抑えた。同点あるいは逆転を逸した日ハムはがっくりしたのか9回に中村の満塁ホーマーを含む6点を失ってジエンド。石井の救援が勝ちある勝利を齎したといえる。西武はこれでSBへの挑戦権を得た。
 神がかりの勢いで終盤を走った西武に対して、SBは休養しすぎて果たしてどうなるかと思っていたがアドバンテージを含めてスンナリと4連勝した。しかしその4戦目は正に死闘。歴史に残る息詰まる投手戦だった。
 両チームともエースを立てた。後がない西武は涌井、SBは杉内。ともに無失点のまま延長戦に入り、10回の表に西武がようやく1点を取った。引き分けでもSBがCS覇者となるルールだったのでそれまで頑張った杉内はマウンドで膝をついて悔し涙を落とした。SBは杉内を金沢に交代したものの2アウト満塁のピンチを招いたが森岡がマウンドに立ってようやく後続を断った。
 それまでの涌井の好投からようやく西武1勝と多くの人は予想しただろうが、10回表に2点目を取れなかった西武にとって結果的にこの逸機が命取りになった。涌井が10回裏に2アウト2塁、後一人のところで打たれたのだった。もともと彼は目深に帽子を被る癖があるが、その目にはっきりと悔し涙が溢れ映像に流れた。正に力投したが力尽きたという感じだった。
両投手の悔しさは充分分るが高校生でないし女子でもない大人の男子プロなのだからあそこは我慢して、泣くのはベンチに下がった後にしてほしい。
 ルールでは試合は12回まで、引き分けならSBが日本シリーズ出場権を得る事になる。その12回表も西武は無得点だった。そこで決着がついたはず。ところが何故かその裏もSBの攻撃は続けられた。意味のないプレイではなかろうか。当然守る西武も気持ちが入るまい。ノーアウト1,2塁からアッサリと適時打を打たれSBのサヨナラ勝ちとなった。普通の試合でなくCSの決着のための試合だから12回の裏はXとして引き分けとすべきではなかろうか。
それにしても最少得点の試合だったが稀に見る気迫のこもった好試合だったと思う。
 話は先述の両エースの涙に戻るが、たまたま同日に女子ゴルフ(米国ツアが日本で開催された)で上田桃子が4年ぶりにプレーオフで5mのバーディパットを決めて優勝し、インタビューで「もう勝てないと思っていた。」と頬を歪めながら感涙のコメントをしたが、この方はカワイコチャンの涙で「そうだろう。辛かったろう」と拍手したい気持ちだった。
3)セリーグの第1ステージ(ヤクルト・巨人戦)
 セリーグではヤクルトは8月に2位に10ゲーム離して楽に優勝と予想されたのに終盤に怪我や病気で戦力が落ち天王山の中日との4連戦で4連敗しペナントを中日に奪われた。
ヤクルト・巨人のCSは両チームともエース級の投手を立て投手戦になると予想されたがその通りだった。3試合ともプロ野球の勝負のアヤと言うか公平に見て興味ある経過をたどった。ヤクルトファンとしては2勝1敗で中日への挑戦権を得て一応ほっとした。
①第1戦。
 孫と神宮球場の内野席で楽しんだ。巨人軍の沢村は序盤は快調に飛ばしたがチームの攻撃面はイマイチだった。4回に1アウト1,3塁から高橋がヒットで1点を先にとり尚1,3塁だったが、古城と沢村が倒れて追加点が取れなかった。この逸機が敗因の一つと思う。ヤクルトは沢村の好投にてこずったが5回にようやく2アウト1,2塁から好投の館山に代打藤本を送り天晴れ同点打を放って息を吹き返した。巨人は6回から好投の沢村を高木に変えたがこれが裏目になりワンアウト後、当たりそこねの内野安打で1塁、次の青木の一塁ゴロを小笠原がハンブルして1,2塁になり、巨人は投手を西村に交代させた。ヤクルトは次の畠山が4球で満塁とし宮本が犠飛で勝越しとなった。西村は気落ちしたのか次のバレンティンにテキサスヒットで2点目を取られた。アッという間の逆転劇だった。
 失点は全て守りに不運な当り。人間だからミスは誰にもあることだが、名手小笠原がこの重大な試合の重大な局面で犯したのだから何が起きるか分らない。運というか野球の面白さというかーーー。
 ヤクルトの2番手村中は最初にヒットを打たれただけで後は素晴らしい投球で8回まで無難にしのいだ。9回に代打大村にホームランを打たれたが試合はそこまでだった。お立ち台には救援の村中と勝ち越し犠打を打った宮本が択ばれたが筆者は貧打に喘いでいた中で同点打を打った藤本を択びたかった。
②第2戦
 石川と内海の投げ合いとなったが又も巨人が4回に阿部がホームランで先制、5回にも1アウト1,3塁から内海が予想外のセーフティスクイズで加点した。絶妙のバントだった。その裏にヤクルトは石川をその後の起用も考えてか下ろして代打川本が適時打して1点差となり試合は緊迫した。監督の代打起用は成功したのだ。しかし8回には青木、畠山の連打で2アウトながら1打同点のチャンスだったが宮本がアッサリ初球を凡打でチェンジ。9回には守護神林を立てて抑えその裏に望みをかけた。しかし、その林がこともあろうに絶不調で満塁から高橋に走者一掃の3点を含む4点を失って万事休した。今年の林は昨年に比して不調でレギュラーシーズンでも何度かこのような場面を演じていた。9回の4点がなければ1点差だからタラレバの話になるが反撃も可能性は無きにしもあらずだったと思う。ゲームを壊した林の罪は大きい。
③第3戦。
 ヤクルトは新鋭赤川、巨人はゴンザレス。またもや両投手好調で投手戦となる。
3回にレギュラーシーズンでホームラン1本の相川が軽く打ってレフトスタンドに抛り込んだ。分らないものだ。ヤクルトとしては久しぶりの先取点。しかし1点では心もとない。ところが運がついた。7回に1アウト1塁でバレンティンのセカンドゴロを併殺を狙った寺西が1塁に暴投しバレンティンが2塁に進んだ。巨人としては不運だった。ここでヤクルトは代走に俊足の上田を起用した。これは監督のカンだったろうが隠れた勝因と思う。森岡の浅いレフト線のヒットで間一髪生還し2点となったのだ。1点差と2点差では雲泥の差がある。ランナーがバレンティンのままではホームで刺されただろう。小川監督の采配がさえたといえる。ヤクルトは8回にも1アウト2塁から巨人のエラーがらみでホームを狙ったが憤死。2アウト2塁となる。ここで巨人も頑張らなければならないのに適時打を打たれて3点差。ヤクルトを安全圏に入らせた。9回にまたホームランを1本打たれたが何となく勝敗に響く感じはしなかった。
 巨人のゴンザレスは自責点1点のみ、ヒットを打ったし犠打を決めたり打撃面でも活躍したが援護がなく不運な負投手になった。
 これでヤクルトが始めてCSで第2ステージに望むこととなった。逆に巨人は始めて第1ステージでの敗退となった。数回スコアリングポジションにランナーを進めながら点を取れなかった打撃陣に責任がある。特に得点圏打率が抜群の筈の坂本が不調だったのが痛かった。敗因の一つだろう。
4)セリーグ第2ステージ(中日・ヤクルト戦)
①第1戦。
 ヤクルトで先発を任された増渕は荷が重かったのだろうか。一番避けたい初回の先制点を2本の2塁打で取られた。しかも3回には同じ打者森野にまたもや適時打を打たれ2点差としてしまった。相手はヤクルトとしては天敵の吉見だからこの2点は重い。しかしやっとの思いで8回に内野ゴロで1点を返した。巨人戦で活躍した藤本だった。しかし主軸打者が不調でそのまま1点差で敗れた。増渕にしてもその後交替した投手も2点で抑えたのだから敗戦の責任は打撃不振にあるといえる。
②第2戦。 
チェンと石川の一騎打ち。ヤクルトは不調の4番畠山を外し、大物打ちでない青木を4番にし、不調だった若手の上田を2番、田中を8番に変更。それよりもレギュラーシーズンで一度も出なかった山田という19歳の若武者を1番に大抜擢した。正にサプライズの布陣で臨んだ。その山田は流石に荷が重いのかヒットは出なかったが見事ショートの位置を守った。石川投手は抜群の出来で1安打無失点で7回を投げぬいた。チェンも6回まで無失点だったが、ヤクルトは7回にツーアウトランナーなしで好投の石川を降ろして飯原を起用した。レギュラーシーズンは代打要員でその打率は0・126と低くホームランはなし。レギュラーシーズン中、小川監督は飯原をよく起用するが彼は余り期待に応えられず多くのファンからは批判があったくらいだ。ランナーなしなのに何故好投の石川を降ろしてまで打率の低い飯原かと思ったファンが多かっただろう。筆者もその一人。
 勝負は分らないものだ。その彼がホームランを打ったのだった。小川監督の神業的なカンだったとしかいえない。打った飯原もビックリだった。もう一つのサプライズは石川の後を先発要員である館山に任せたことだ。館山も緊張したか8回には一打同点の場面となったが何とか踏ん張った。
 中日にもミスが出たと思う。9回に守りとして起用された高橋は期待はずれ。上田ヒット。宮本犠打、青木ヒットで1アウト1,3塁となった。ヤクルトはここでホームラン王のバレンティンを藤本に替えた。バレンティンとしては情けなかっただろう。一方、中日は投手を河原に交替。内野ゴロで3塁ランナーが飛び出して2アウト。中日は折角本塁で憤死させたのだからここで失点を止めなければならない。そこで小川監督は畠山を代打に起用、彼は汚名挽回の2点タイムリー。3点差となった。勝負ありだ。畠山も鬱憤を晴らしただろう。落合監督の9回の投手起用は失敗したのだ。館山は9回に森野の1発を食ったが3点差は安全圏だった。
 どうもヤクルト救援投手はここのところ必ず9回に1発食らう。点差が少なければ命取りになる。同じ1本のホームラン被弾も勝った時は「だれだれのホームラン1発のみに抑えて逃げ切った」とコメントされるが、場合によっては「不用意な配球で一発を食らって敗戦投手になった」というコメントにもなりうる。バッテリーとして反省すべきだ。ある解説者によると「3点差あるから打たれるので1点差なら打たれない。投げ方が違う筈だ」と話したがそういうものだろうか。
 ヤクルトは毎回その日暮らしの投手起用で先発不在になったがここまで来れば死者狂いで頑張るだろう。小川監督の賭けが結果的に成功したことになる。

③第3戦。
 ヤクルトはこの戦いを落とせば王手をかけられる。しかし小川監督によるともうサプライズはないという。確かに畠山を4番に戻した。試合はヤクルトが中日をお払い箱になった森岡が適時打で先取点を取った。彼はこのCSでの活躍が目立つ。川島、川端というレギュラーが故障したので幸運にもチャンスを得たといえる。人生の一面を感じる。 
 しかしヤクルト村中もピリッとせず4球連発でバーネットに交代。バーネットは1点を失って同点にされた。その直後に先日から抜擢されていた山田が4球を択び新鋭上田が送って青木が適時打で又1点差をつけた。同点にされた直後だったので効果は抜群。逆に折角同点にしてもらった中日の山井投手はショックだったろう。しかし中日はその後、何度も得点圏にランナーを送りながら後1発が出ずにこの1点のみ。
 ヒット数は両者変わらないが残塁は中日11(投手が打席に立った満塁1回を除くと8)、ヤクルト5(投手が打席に立った満塁1回を除くと2)。如何に中日が押していたか、そしてヤクルトが効果的な攻撃をしたかを物語る。ヤクルトの救援投手はよくがんばったということだ。9回には林は1打同点の場面になったが踏ん張って勝利になった。
ある意味ではヤクルトは幸運で勝利の女神に恩恵を受けたといえる。村中に次いでバーネット押本、松岡、林と一線級の投手をつぎ込んだ明日を考えない起用といえるがヤクルトとしては仕方がなかろう。
 これで2勝2敗と5分の状況になった。寧ろ逆境を乗り越えたヤクルト有利に変ったともいえる。第4戦には中日はネルソンが出られないがヤクルトは好調の赤川が中4日で出られる。そろそろ主力の調子が上がるとすればヤクルト有利とみていた。
④第4戦。
 初回に中日1アウト1塁、次の簡単なショートゴロを山田が始めてのエラー。何かに足がつかえて一瞬投球が遅れ1,3塁となる。気落ちしたか若い赤川は次にタイムリーで1点とられ、その次には4球で満塁。ここで踏ん張ればよかったが走者一掃の2塁打で4点取られた。CSで4点差は致命的。山田のエラーを絡めた赤川の若さが全てだった。
 先述したが、先の巨人戦では巨人はヤクルトに対し2戦ともエラーに泣いた。今回はヤクルトがその立場になった。野球ばかりでなくスポーツにはエラーはつきものだが当事者は慙愧に耐えないだろうが勝負のアヤはこういうもの。プロが30cmのパットを外すこともある。残酷かかもしれないが、そこにスポーツの面白さもある。
⑤第5戦
 中2日のヤクルト館山、中3日の中日吉見の決戦となる。落とし穴は館山に訪れた。6回に4球を出す。「先取点は敗戦に繋がるし、今日負ければオワリ」という緊張感で執拗に盗塁阻止の牽制を繰り返す。ある解説者はそれが打者に対する警戒感を少し損ねたという。打者井端に痛恨の2ランホームランを浴びた。彼はレギュラーシーズンでホームランなしだったのだ。相川捕手も「まさかホームランはないと考えた」という。しかしこれは油断というか落とし穴というか。相川自身もレギュラーシーズン1本しか打てなかったのに巨人との第3戦で先制ホームランを打って味方の勝利に結び付けたではないか。そして中日との第2戦にはレギュラーシーズンホームラン0の飯原がホームランを打って勝利したではないか。お互いにプロなのだから「ホームランはない」と考えるはずはない。意味のない言い訳に過ぎないと思う。ヤクルトは2対0劣勢の9回に代打川本が2塁打打ちながら1番2番打者が何もできず、3番青木が執念のタイムリーで1点差にしたのがせめてもの抵抗だった。不調の4番畠山が凡退で万事休す。負けたといえ2点は投手の責任ではない。要するに打撃不振が敗因でそれをここまで支えてきた投手陣はよく頑張ったといえる。
 吉見も初めて中3日の登板だった。ヤクルトにとって彼は今シーズンCSを含め0勝5敗の天敵だったが最後にまたまた翻弄された。勿論ヤクルト側は作戦を考えたのだろうが通じなかった。2冠(18勝と防御率)投手が実力を発揮したということ。落合監督はそこを読んでの起用だっただろう。因みに、館山も中2日で好投したことは短期決戦では登板間隔中3日とか2日とかは余り関係ないことを示した。

 ヤクルトは敗れたが終盤から故障者続出のあの戦力でよくやったと思う。終盤に故障者急増の要因を反省し来年に再発させない管理体制が重要。細かいデータを調べたわけではないが、終盤のヤクルトの投手起用には故障者続出のためにかなりの無理があり(中4日もあった)、その疲労の蓄積が成績急落の原因の一つといわれる。 逆に中日はヤクルトと10ゲーム離れていてもヤクルトの窮状を横に見てそのうちに調子が落ちると予測し投手の起用は逆に余裕を持たせたという(中6日もあった)。言ってみればそれだけ持ち駒を持っていたともいえる。
敗れたヤクルト選手には勿論悔しさを示す表情はあったが派手に涙を出す選手は見られなかった。お互いにやることはやったという割りきりがあったのではないか。先述のパリーグの最終戦との違いを感じた。
5)おわりに
 今年のようなCSを含めた終盤戦ならばファンには受けるだろう。しかしくどいかもしれないが、一般論として日本シリーズ覇者を「日本一」と持ち上げるのはやめてほしい。ただし、今年はそうだが、両リーグのチャンピョンの対戦になった場合に限っては「日本一」と称えてよいと思う。
 
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