平成26年大相撲初場所所見
1)白鵬天晴れ
白鵬が予想通り優勝した。対抗馬の日馬富士が休場だったので彼には失礼かもしれないが、少しは気が楽だったのではなかろうか。ただ彼自身は全勝を狙っていただろうが千秋楽に鶴竜に不覚を取って1敗したことを悔いているだろう。彼も神様ではなかったと言うことだ。とにかく28歳の終わりに28回目の優勝を飾ったことは天晴れといいたい。体力は決して角界No.1と思えないが、抜群の運動神経と相撲感というか多彩の技を放つタイミングが素晴らしい。琴奨菊を内無双で倒した相撲など何故あんなに簡単に相手が転がされるか不思議だった。怪我さえしなければ未だ数年は角界で実力トップに君臨するだろうから大鵬の32回優勝を大きく越えるのではなかろうか。
日馬富士は先場所優勝後の休場で残念だったが、横綱として体調管理(内科的でなく怪我の防止を含め)について反省しなければなるまい。白鵬が怪我は極めて少ないことは矢張り運動神経と反射神経の関係だろうか。日馬富士の來場所に期待するしかない。
2)稀勢の里のメンタル改造を
稀勢の里は期待はずれだった。初日から固くなったのか豊ノ島に敗れ、その後も平幕に2敗、中盤までに4敗で横綱話は消滅した。確かに「やれ横綱とか優勝とか」周りが囃し立てたが、ご本人気が弱いのだろうか。しかしこれから更に上を目指すにはこの喧騒なメディアの煽りに負けずに勝ち続けなければならない。メンタルの修練が必要に思えてならない。オマケに終盤怪我でカド番になってしまった。実力は十分あるのだから怪我を完治させて自信を持って再出発を期待する。
3)鶴竜を再評価する
鶴竜は見直した。何度か彼には余り期待しないと書いたことがあるが謝りたい。体重を10kg増やしたにもかかわらずスピードの低下を来たさないような稽古をしたそうで、もし今場所の力を今後も続けられれば横綱もありえる。またまたモンゴル勢の横綱となれば気持ちは複雑だが実績が出されれば当然そうなる。北の湖理事長や横審委員長は13勝で優勝ならありうると言うが、正直甘いと思う。何故なら先場所まで余りにも不甲斐なかったからだ。
大関昇進には3場所の成績が関係するが横綱昇進には2場所さえよければいいのだろうか。日馬富士の場合にもそう感じたが、彼の場合は2場所連続全勝優勝だったからまだ救われよう。鶴竜の場合、14勝で準優勝と13勝で優勝では物足らない。いずれにしても鶴竜の来場所を見たい。まだ全幅の信頼はしかねる。
3)琴奨菊にはコメンとなし
琴奨菊は病み上がりだったが何とかカド番を脱した。力を出し切れない体調だから余りコメントも出来ない。大関確保をラッキーと喜んで來場所に備えて欲しい。
4)関脇陣の不調は実力か
大関復帰を狙った琴欧州はかなわなかったが、大関時代から殆ど2桁勝利はなかったのだから今の彼の実力上仕方がない。若武者遠藤に引導を渡されたのでは仕方があるまい。
1ヶ月おきに本場所があるので一度大怪我をしたらなかなか治らないうちに闘わなければならず成績がよくならないのだろう。怪我をしないことが昇進のポイントだと思う。彼が把瑠都と同じように怪我のために土俵を去ることになるのではないかと危惧している。
豪栄道は期待はずれ。これが実力かもしれない。大関はまだまだ先に見える。
5)その他の力士について
妙義龍は期待の力士だが初日から不調だったし途中から怪我の休場で全敗になった。大幅に番付を下げて再出発だ。幕内上位にきた千代大竜も背中一杯の膏薬だったが意外に不調でこれもまた前頭下位から再出発となる。この2人をここ数場所誉めすぎたかもしれない。甘かったかな。
2人の共通の弱点は相手を土俵際まで攻めているのに、いなされたり突き落とされる逆転負が多いことだ。足が伴っていないのだろう。この欠点を直せば必ず大物として花を咲かせると言う期待には変わりない。
栃煌山はよく実力を出し切った。
隠岐の海は体の柔らかさ、碧山は体力・体重を生かした突進力、2人はもう少し星を残すと予想したが両者とも負け越した。安定性はイマイチだがいずれ3役を出入りする力はありそうだ。
豊ノ島は精一杯の所だろう。来場所小結にはなれそうだ。
何と言っても遠藤の強さが目立った。体の柔らかさもあって土俵際の回りこみが抜群。何回か星を拾った。ただ、まだ立会いの鋭さがないので来場所どの程度上位に通用するかは疑問だが、2ヶ月あるのだから進歩するだろう。琴奨菊に負けたことで上位の馬力を実感し反省しただろう。ただ千秋楽に格下の負け越し力士に負けたのは不覚といわざるを得ない。
遠藤の強さを物語る一番があった。琴欧州との一番だった。琴欧州が一歩下がって仕切ったので「普通に踏み込めば「自分の体が伸びてしまう」と咄嗟に判断し体を丸めて立ち上がった」「寄られて後退したが、まわしを持ったままだと長身でかぶされるから思い切りよく体を開いて下手を外して掬い投げを放った」と勝ち相撲の解説をしていたが、あの緊張の真剣勝負でそれだけの冷静さを持っていたことは若者として驚きだ。
とにかく來場所が楽しみ。将来大関から横綱になる可能性を秘めた大物だ。これまで千代大竜についいてそういう言い方をしてきたが、それをチョット控えめにして遠藤に同じ言葉を上げたい。
大砂嵐は力はありそうだ。まだ馬力で勝ち進んでいる感じだが、技を習得すれば三役にはなりそうだ。
松鳳山と高安は両者とも健闘した。安定性はまだまだ疑問で、上位に当たる来場所を見ないとまだ分らない。
力がありそうな栃の若も同じ。彼は優しすぎるような風貌なのが気になる。
先場所十両優勝して新入幕した千代鳳は10勝5敗の好成績、来場所躍進して上位との対戦が楽しみ。
6)十両力士について
十両に定着してしまった若の里は5勝10敗だからまだ十両にとどまれるだろう。朝赤竜も当分再入幕は無理のようだ。栄枯盛衰というか世代交代が感じられて淋しい。
千代丸が十両優勝。先場所は弟の千代鳳が優勝したが兄弟十両優勝は珍しい。初めてか。いずれも千代の富士の弟子の九重部屋。千代の富士も嬉しいだろう。千代大竜がカムバックすればと願っているに違いない。
八百長の疑念が晴れて復帰したものの負け越しが続いていた蒼国来が久し振りに勝ち越した。本人はホッとしているだろう。いずれ再入幕を狙って欲しい。
7)土俵際の微妙な判定について
全ての取り組みを見てはいないが偶然TVで見た勝負で何回か土俵際の微妙な判定があった。毎回言っているが、「体(タイ)があるかないか」と「いさみ足」との関係が割り切れない。検査役によって感覚が違っている。微妙な場合は取りなおしたほうがスッキリすると思う。
8)おわりに
満員の御礼の日が前回より増えたそうだ。大相撲も徐々に復活しつつあることをファンとして喜んでいる。
1)白鵬天晴れ
白鵬が予想通り優勝した。対抗馬の日馬富士が休場だったので彼には失礼かもしれないが、少しは気が楽だったのではなかろうか。ただ彼自身は全勝を狙っていただろうが千秋楽に鶴竜に不覚を取って1敗したことを悔いているだろう。彼も神様ではなかったと言うことだ。とにかく28歳の終わりに28回目の優勝を飾ったことは天晴れといいたい。体力は決して角界No.1と思えないが、抜群の運動神経と相撲感というか多彩の技を放つタイミングが素晴らしい。琴奨菊を内無双で倒した相撲など何故あんなに簡単に相手が転がされるか不思議だった。怪我さえしなければ未だ数年は角界で実力トップに君臨するだろうから大鵬の32回優勝を大きく越えるのではなかろうか。
日馬富士は先場所優勝後の休場で残念だったが、横綱として体調管理(内科的でなく怪我の防止を含め)について反省しなければなるまい。白鵬が怪我は極めて少ないことは矢張り運動神経と反射神経の関係だろうか。日馬富士の來場所に期待するしかない。
2)稀勢の里のメンタル改造を
稀勢の里は期待はずれだった。初日から固くなったのか豊ノ島に敗れ、その後も平幕に2敗、中盤までに4敗で横綱話は消滅した。確かに「やれ横綱とか優勝とか」周りが囃し立てたが、ご本人気が弱いのだろうか。しかしこれから更に上を目指すにはこの喧騒なメディアの煽りに負けずに勝ち続けなければならない。メンタルの修練が必要に思えてならない。オマケに終盤怪我でカド番になってしまった。実力は十分あるのだから怪我を完治させて自信を持って再出発を期待する。
3)鶴竜を再評価する
鶴竜は見直した。何度か彼には余り期待しないと書いたことがあるが謝りたい。体重を10kg増やしたにもかかわらずスピードの低下を来たさないような稽古をしたそうで、もし今場所の力を今後も続けられれば横綱もありえる。またまたモンゴル勢の横綱となれば気持ちは複雑だが実績が出されれば当然そうなる。北の湖理事長や横審委員長は13勝で優勝ならありうると言うが、正直甘いと思う。何故なら先場所まで余りにも不甲斐なかったからだ。
大関昇進には3場所の成績が関係するが横綱昇進には2場所さえよければいいのだろうか。日馬富士の場合にもそう感じたが、彼の場合は2場所連続全勝優勝だったからまだ救われよう。鶴竜の場合、14勝で準優勝と13勝で優勝では物足らない。いずれにしても鶴竜の来場所を見たい。まだ全幅の信頼はしかねる。
3)琴奨菊にはコメンとなし
琴奨菊は病み上がりだったが何とかカド番を脱した。力を出し切れない体調だから余りコメントも出来ない。大関確保をラッキーと喜んで來場所に備えて欲しい。
4)関脇陣の不調は実力か
大関復帰を狙った琴欧州はかなわなかったが、大関時代から殆ど2桁勝利はなかったのだから今の彼の実力上仕方がない。若武者遠藤に引導を渡されたのでは仕方があるまい。
1ヶ月おきに本場所があるので一度大怪我をしたらなかなか治らないうちに闘わなければならず成績がよくならないのだろう。怪我をしないことが昇進のポイントだと思う。彼が把瑠都と同じように怪我のために土俵を去ることになるのではないかと危惧している。
豪栄道は期待はずれ。これが実力かもしれない。大関はまだまだ先に見える。
5)その他の力士について
妙義龍は期待の力士だが初日から不調だったし途中から怪我の休場で全敗になった。大幅に番付を下げて再出発だ。幕内上位にきた千代大竜も背中一杯の膏薬だったが意外に不調でこれもまた前頭下位から再出発となる。この2人をここ数場所誉めすぎたかもしれない。甘かったかな。
2人の共通の弱点は相手を土俵際まで攻めているのに、いなされたり突き落とされる逆転負が多いことだ。足が伴っていないのだろう。この欠点を直せば必ず大物として花を咲かせると言う期待には変わりない。
栃煌山はよく実力を出し切った。
隠岐の海は体の柔らかさ、碧山は体力・体重を生かした突進力、2人はもう少し星を残すと予想したが両者とも負け越した。安定性はイマイチだがいずれ3役を出入りする力はありそうだ。
豊ノ島は精一杯の所だろう。来場所小結にはなれそうだ。
何と言っても遠藤の強さが目立った。体の柔らかさもあって土俵際の回りこみが抜群。何回か星を拾った。ただ、まだ立会いの鋭さがないので来場所どの程度上位に通用するかは疑問だが、2ヶ月あるのだから進歩するだろう。琴奨菊に負けたことで上位の馬力を実感し反省しただろう。ただ千秋楽に格下の負け越し力士に負けたのは不覚といわざるを得ない。
遠藤の強さを物語る一番があった。琴欧州との一番だった。琴欧州が一歩下がって仕切ったので「普通に踏み込めば「自分の体が伸びてしまう」と咄嗟に判断し体を丸めて立ち上がった」「寄られて後退したが、まわしを持ったままだと長身でかぶされるから思い切りよく体を開いて下手を外して掬い投げを放った」と勝ち相撲の解説をしていたが、あの緊張の真剣勝負でそれだけの冷静さを持っていたことは若者として驚きだ。
とにかく來場所が楽しみ。将来大関から横綱になる可能性を秘めた大物だ。これまで千代大竜についいてそういう言い方をしてきたが、それをチョット控えめにして遠藤に同じ言葉を上げたい。
大砂嵐は力はありそうだ。まだ馬力で勝ち進んでいる感じだが、技を習得すれば三役にはなりそうだ。
松鳳山と高安は両者とも健闘した。安定性はまだまだ疑問で、上位に当たる来場所を見ないとまだ分らない。
力がありそうな栃の若も同じ。彼は優しすぎるような風貌なのが気になる。
先場所十両優勝して新入幕した千代鳳は10勝5敗の好成績、来場所躍進して上位との対戦が楽しみ。
6)十両力士について
十両に定着してしまった若の里は5勝10敗だからまだ十両にとどまれるだろう。朝赤竜も当分再入幕は無理のようだ。栄枯盛衰というか世代交代が感じられて淋しい。
千代丸が十両優勝。先場所は弟の千代鳳が優勝したが兄弟十両優勝は珍しい。初めてか。いずれも千代の富士の弟子の九重部屋。千代の富士も嬉しいだろう。千代大竜がカムバックすればと願っているに違いない。
八百長の疑念が晴れて復帰したものの負け越しが続いていた蒼国来が久し振りに勝ち越した。本人はホッとしているだろう。いずれ再入幕を狙って欲しい。
7)土俵際の微妙な判定について
全ての取り組みを見てはいないが偶然TVで見た勝負で何回か土俵際の微妙な判定があった。毎回言っているが、「体(タイ)があるかないか」と「いさみ足」との関係が割り切れない。検査役によって感覚が違っている。微妙な場合は取りなおしたほうがスッキリすると思う。
8)おわりに
満員の御礼の日が前回より増えたそうだ。大相撲も徐々に復活しつつあることをファンとして喜んでいる。