傘寿の真保守宣言

素人の政治、スポーツ、社会評論です。
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ロンドン五輪「よもやまばなし」

2012-09-10 17:26:34 | 日記
             ロンドン五輪「よもやまばなし」
 17日間のオリンピックは騒々しく、その間一般紙も度々スポーツ紙の様に金銀メダル情報で一面を飾った。消費税、尖閣、EUの金融問題などわが国民の生活に大きく影響する事があるのだからもう少し何とかならないかという感じがしていたのは事実だ。
今回は時差の関係で深夜の実況放映が多かった。歳なので“真面目には”付き合えなかったが一部のサッカー、バレー、水泳、柔道などは生中継を興奮して観戦した。各競技の成績やメダル獲得状況については本稿で細かく述べる意味がないのでここではロンドン五輪を斜めから見た「よもやまばなし」を整理してみた。
1)審判の権威
各競技共通事項として今回の五輪ほど審判の権威が失われたことはなかった。
①柔道の場合
 シドニー五輪の男子柔道重量級の決勝戦で、現監督篠原が誤判定で敗北して銀になり、後に判定の誤りが確定したものの「勝敗の逆転なし」という奇妙な決着になったことは有名だ。その珍結着を受けてビデオ判定が検討され2006年から導入されジュリーがそれを担当することになったが、2007年からジュリーは3人になった。
 今回先ず驚いたシーンを振り返ろう。男子柔道66kg級で海老沼が延長に入って圧倒的に攻めていたのに旗判定で3対0で負けと判定され、海老沼もあっけにとられて暫しそこに立ち尽くした。篠原監督も怒り顔で恐らく「何だこれは」と叫んでいたし観客も判定に不満で激しいブーイング。ビデオで経緯を確認したジュリーが審判を呼びつけ「判定しなおせ」と指示したようだ。その結果判定は3対0で海老沼勝利と逆転。今度は負けた韓国選手がなかなかその場所を下りなかった。後味の悪い判定だった。
 そもそも柔道にしても剣道にしても3段の選手の試合は4段以上の実力がないと迅速な技の見極めが出来ない。審判員としては不適格なのだ。ところがオリンピックでは世界各国から選手が出るから優れた選手を出せる国だけから審判を出すと不公平となるという理由で、柔道の素養のない実力のない審判もいるらしい。それでは当然誤審が起きる。それでビデオ活用となったものの、ビデオを管理するジュリーはかなり実技にも力があり審判の上に位置づけされているようでそれなら審判とは何だろうということになる。単なる進行係なのかと言いたくなる。今回、ジュリーは「完全な誤審」と確信したが公式には「どちらを勝ちにしろ」とは言えないので審判に暗示を与えて再判定を促したと報じられた。再判定の前に3人の審判が相談していたから再判定で3-0になったことは理解できる。しかし、最初の誤審が3-0と判定された理由は分らない。延長で主審が海老沼のある技を有効と判定したのにジュリーが取り消したことがあった。両選手お互いに決め手がなくそのまま旗判定となった時に審判はその「幻の有効」を全く無視したがジュリーは「有効に近かったから尊重すべし」という意見だったと報じられた。要するに判定のマニュアルが徹底されてなかったことを示していた。柔道の国際連盟で明確に制定すべきだ。
 男子73kg中矢の決勝戦も微妙な判定だった。2度中矢が有効技を放ったが全く無視され中矢は銀に終わった。不運だった。
②体操の場合
 男子体操団体戦で内村が鞍馬の着地で大きく乱れて一時4位と表示された。彼には珍しい派手な乱れだったが、日本チームは「着地の前の倒立を認めて加点しろ」と抗議した。審判団がビデオ(2006年から活用)を審査した結果抗議が認められ3位を飛び越して2位になった。「何年ぶりかに3位になった」と一時歓喜したウクライナの選手たちが気の毒だった。それにしても素人には乱れが余りにも派手だったので抗議は無理かと感じていたので驚きだった。
 内村の演技を振り返ってみる。倒立はしたが直ぐ乱れたのに、演技を流れとして見なく倒立の成立と着地の失敗とに分離し倒立に点を与えたのだ。日本側には有難いが、筆者は「技術の分離配点について体操とはそういうものか」と疑問を感じた。
 審査員も人間だ。内村の実績や体操界におけるわが国のステータスに心が動いたということがなかったのだろうか。この団体戦では先ず山室の跳馬のミスで怪我し、鞍馬へ代理出演の田中が又ミス。団体戦の金がおかしくなったと感じた内村は異常に緊張したのだろう。世界一流でもやはり彼らは人間集団だったのだ。 
 あの場面。同じ会場で英国が好演技で観客が大歓声だったという。プロゴルフの場合ショットに際しては必ず「お静かに」という看板が出る。ショットにはそのくらい微妙な感情が影響する。ところが体操の場合は今回だけでなく毎回大歓声の中で演技しているので余り影響なしということだろうか。スポーツそれぞれの文化なのだろうか。ただ今回は異常な大歓声だったと報道されていて流石の内村も人間として影響されたとし考えてしまうのだ。不運だった。
再判定について不利にされたチームの抗議はルール上許されてないからこれが最終決定となる。逆転でメダル奪取後選手か監督はウクライナ選手たちに何かの挨拶をしたのだろうか。そのくらいの気持ちが欲しい。内村は2位も4位も同じだとその時は感想を漏らしていたが、銀メダルはやはり素晴らしい成績であることには変わりない。ただ表彰式でブーイングもあったのは確かで後味は悪かった。
 因みに体操の抗議にカネが使われた。しかし賄賂ではない。抗議代は1回目300$、2回目500$、3回目1000$と定められている。
③ボクシングの場合
 ボクシングでもおかしな判定があった。バンタム級清水が相手を3回もダウンさせたのに3-0で負けと判定されたのだ。誰が見てもおかしいので抗議したら予想通り判定が覆った。この試合の判定にはどうやら買収が絡んでいたと報じられた。そういう審判を選定した関係者側にも落ち度があると思う。
④フェンシングの場合
 ここは審判のレベル云々でなく審判にビデオ判定が上手く機能している例として紹介する。剣道と違って有効な攻撃にはセンサーが作動するので人間の知覚だけで判定しているわけではないが、「攻撃権」が微妙に絡むことを初めて知った。攻撃権を持たない状態では如何に防御するか如何に相手の攻撃権を消滅させるかに専念する必要があるが、その攻撃権を持ったか否かは審判の判定で決まる。そこは微妙のようだった。
 準決勝で村田が残り数秒で2点負けていた時には敗けと思っていたが、バリバリ攻めて1点取り残り1秒で時計が止まった。柔道よりもストップウオッチの操作が厳格で真に動き始めてから時計が作動するといってもタッタの1秒だ。「今度こそは敗け」と観念した。と、試合開始。その1秒に村田はサッと1点とって延長に持ち込んだのだ。正に幸運というか神業だった。逆に相手は「1秒だから何も起きないはず」と甘かったのではないか。
 そして延長。程なくして同士討ち。素人には相手の突きが有効と見えたし相手も勝利の雄叫びを上げた。ところが村田が抗議。何かと思ったら相手に攻撃権がないという抗議だった。ビデオ審査に数十秒かかったが、その抗議が通って同士討ちだが村田の勝ちとなった。相手から再抗議はなかった。お互いに納得できる状態だったのだろう。この件はビデオが役立った印象として記録にとどめたが、そこまでやらなければ公平に判定できない出来ないくらい競技のレベルが高度化、スピード化したのだろうかと感心した。
 フェンシングでもう一つどこかの国か忘れたが多分韓国が関わった試合だった。時計係のミスで既定以上の時間延長になったがその間にそれまで劣勢だった相手選手が挽回して勝利してしまった。勿論韓国は抗議し、後で審判団は時計係のミスを認めたものの勝敗はそのままだった。これも審判のミスで奇妙な判定といえる
⑤その他
 バレーのラインオーバーとかボールを掌で受けたかコート面に落ちたかの判定も主審と線審で時々食い違っていた。選手も時々不満顔でアッピールしていたし、ビデオで誤審を裏付ける映像もチョッピリ映し出されるが大体は主審が受け付けずに強引に試合を進めていた。各チームともお互い様と達観しているようで執拗な抗議はない。
 日韓の3位決定戦を見たが韓国の抗議が多く、負けた韓国選手は「今日は審判にやられた」と不満を曝け出していたがその気持ちは分かる。
 サッカーの場合もバレー同様審判の権威は大きいと見る。今回も話題になったが、手でのゴールを認めたりゴールラインを越えたゴールを否定したりすることがあったが、選手も監督も殆ど抗議しない。これもバレー同様その競技の文化といえよう。
2)女性の進出と男女同権
 クーベルタンは最初「女子は勝者に冠を授けるのが仕事」といって女子のオリンピック参加を許可しなかった。しかし2回目から一部の競技に女子参加が認められ年々増加してきたが、今回から女子ボクシングが開始され男子だけの競技は完全になくなった。また、イスラム教国のサウジ、ブルネイ、カタールから初めて女子選手が参加し全ての国から女子が参加することになった。カタールとブルネイでは旗手をつとめさせた。一つの歴史を画したと思う。
 因みにソール五輪では女子選手の参加は25%だったがロンドンでは44%となっている。日本でも参加者選手合計は305名だが女子163、男子142人で女子の方が多かった。
 サウジから女子は柔道と陸上800mに出た。柔道の選手は髪の毛を曝さないために帽子を被っていた。レベルは全くまだまだで試合にならなく簡単に敗退した。チュニジアでは女子3000m障碍で銀メダル。彼女は一般的な臍だしルック、セパレートユニフォームで走ったら「肌を露出しすぎた」と母国から国籍剥奪と叱られている。どう決着したかは分らないがIOCで中に入って余り厳しいお咎めがないように願いたい。パレスチナでは女子800mでパレスチナ記録を更新したが、頭髪を隠すスカーフをつけ上下の肌を隠すスタイルだった。
 正に男女同権の記念すべき五輪となったと言いたいが、まだまだと言う面もある。日本のなでしこはWCの覇者と言う実績があるのにロンドンへはエコノミークラスで飛んだが、女子ほど世界の舞台で活躍していない男子はビジネスクラスだった。流石に女子もメダルのご褒美として帰りはビジネスクラスとなったと言う。同じことがオーストラリアでもあった。バスケットでここ数年連続銀で今回金候補の女子はエコノミー、過去3回メダルなしの男子はビジネスクラスで、女子からクレームがついた。こちらは即決とは行かないようで今後の検討に先送りされた。因みに女子は銅メダル、男子は7位だった。
 これに関連があるかどうか知らないが、IOCに対し欧州の女性団体から男女同権の要望が出されたと言う。21世紀の白人社会でもまだそうなのか。やや意外にも思うのだ。
3)日本選手の活躍
①メダル獲得数
 日本チームは団体競技での活躍が目立った。大震災の影響で絆文化が深く浸透したことも一つの要因かもしれない。
 今回、大方の予想は金が13-15だったし米国の著名な予想誌も13個とした。しかし7個しか取れず世界11位だったが、メダル総数はアテネを越える38個で新記録、世界で6位だった。競技総数26種のうち13種にメダルを取ったしその中で6競技では史上初のメダル獲得だった。因みに韓国は金13個で5位、総数で28個で9位だった。世界の大方は総数でなく金の数を評価するがいろいろな考えがある。
 今回は初めてのメダルとして女子サッカー、女子バトミントン、女子重量挙げ、女子アーチェリー、女子卓球もう一つあったが覚えていない。いずれにしても女子のバイタリティを示しているが、とにかく幅広いスポーツでメダリストを出してメダル総数を増加させたことはスポーツ領域の拡大に大いに寄与したと思う。タラレバとなるが柔道が計画通り金を取れば文句なしだったが。
 以下メダル優先でなくTVとか新聞などいろいろな情報で筆者に印象を残した競技について記述する。
①競泳は期待以上
 今回は選手の選考をシンプル化し標準タイムを設定しそれをクリアした上位2名をロンドンに送ることにした。自己記録を更新してそのタイムをクリアしても3位で落選した選手もいた。この厳しい選考システムをクリアした自信が競泳陣の輝かしい活躍に繋がったのではなかろうか。参加選手27名(参加選手の9.5%)で38個のメダルの中で9個(メダル総数の23.7%)を占めている。しかも日本新記録女子2男子1、日本タイ記録女子1のオマケつきだ。 協会の入賞目標は20に対し8だから未達だったがメダル5個目標をほぼ倍増させたのだから大きな成果を上げたと言える。予定通り北島が金を2個取れば言うことがなかったのだが。
 入江の200m背泳ぎでの銀。隣のロクテを見て勝ったと思っていたら反対隣を泳いでいたクレアリが少し先を行っており金をとられて銀に終わった。クレアリを見て泳いでいたら或いは金だったか。しかしこれはタラレバか。 
男子水泳で北島は金確実と予想されながら平泳100mで敗れ200mでも150mまでは世界新のペースでトップで泳いだが力尽きて立石に惜敗し4位に終わった。敗戦直後プールサイドで「諒が取れたから良かった。」と負けても爽やかだった。正に世代交代を見た感じだった。
 女子の鈴木、星、寺川3人のメダリストは可憐。リオでも期待できそう。
 毎回日本チームのリレーでの活躍に興奮するが、今回も水泳400mメドレーで男女ともメダルをとった。今回は単にスイッチの絶妙さというよりも4人の心のつながりの強さに競技の記録を超越した感動があった。たまたま男子の場合、メダル候補の北島が個人競技で惜敗してメダルなしだったが、入江は「後の3人で康介さんを手ぶらで帰せない」と頑張ったと言っていた。松田は100mのバタフライで準決勝進出を決めるスライムオフを棄権してリレーにかけたし、その北島も個人競技の時よりも速く泳いで次泳者に継いだ。アンカーの自由形はメダリストでなかったので特に責任を感じて泳いただろう。4人ともよく頑張った。天晴れ。 レース後の入江の言葉「このメダルは4人でなく27人の(競泳選手一同)で取ったメダルだ」には感動した。
 女子400メドレーリレーは日本新記録で銅メダル。鈴木、寺川と2人のメダリストに加藤、上田を加えた4人の団結も固かったが、個人戦で日本タイ記録を出した鈴木のここでの頑張りが特に印象に残る。
 女子チームは400リレーでも44年ぶりに決勝進出を果した。立派だった。メダルを取れなかったが大いに誉めたい。
②なでしこは期待に応えた
 なでしこのは五輪で初めてのメダル獲得だった。しかも銀色。「金、金!!」と囃されていたストレスの中で銀をとったのは素晴らしい。
 決勝で米国に敗れたがその瞬間も彼女たちにはそれほどの落胆は見られなかった。実力的に負けるべくして負けたと割り切れたのだろう。確かになでしこよりも米国が格上と専門家は言っていたし世界ランキングも米国が1位だった。ただメディアが「金メダル」とまくし立てていただけと思う。ただ大儀見のヘッディング、宮間や岩淵のシュートは惜しかった。「たられば」の愚痴になるからこれでやめよう。
 筆者は準決勝の対フランス戦がメダルのポイントだったと思う。凄まじい闘いだった。フランスのシュート30本に対し日本は6本と少なかったがスコアは2-0で快勝。如何に効率よいシュートだったか。如何に守り抜いたか。解説者はGPがMVPと言っていたがその通りと思った。米国監督も「日本がどうやってボールを繋いでキープしているか世界が見たはず」と誉めていた。ただシュート6本で毎回勝てるというものではない。攻撃力のアップが課題と思う。
 面白いデータがある。なでしこはファールが少ないというのだ。他チームの4分の1以下らしい。その理由はパスが上手でボールの保持が長いから相手に厳しいタックルを仕掛ける場面が少ないからという。
 女子サッカーは1999年に初めて米国と戦ったが9-0で全く試合にならなかった。
10年余でやっとここ迄レベルアップしてきたのだ。直近U20の女子WCでヤングなでしこも初メダルを取った。なでしこの伝統は必ず引き継がれるだろう。

③男子体操
 体操で個人綜合でのメダルを取ることはオールランドで高得点を重ねればならず選手にとっては大変難しい。最近中国では個人綜合を狙わず種目別で2種目をこなす分業システムでメダル獲得を増加させる方針に変更している。そう言う環境を知りながら敢然とオールラウンドに挑戦して金メダルを獲得し内村は天晴れだ。内村は最終演技の鉄棒で大きなミスをしなければ金が取れると計算をしたのだろう。コーチと相談して予選で落下した超難技のコールマンを避け着地の完全を期した。金メダルへの拘りだっと思うが賢明な作戦と思う。
 彼の空中感覚は天才的で回転中も常時目は空いていて必ず床を見て着地するらしい。子供時代から自宅のトランポリンで感覚を体で覚えてきたからできることと言われている。 
 中国は計画通り個人総合はメダルなしだが種目別では金2銀1銅1の4個のメダルを取った。国別で言うと英国とドイツが2個、日本(床の内村、)ロシア、フランス、イタリア、ハンガリー、ブラジルが各1個ずつで中国の計画通りに進んだことを示している。
 個人総合の銀はドイツ、銅は米国だった。ドイツが団体で7位だったことを考えると今後のし上がってくることを示している。
団体で銀を取った経緯は前述したのでここでは割愛する。
④女子バレー
 女子バレーは28年ぶりの銅メダルだった。準決勝のブラジル戦は完敗だったので選手たちはそれほど泣いてなかった。負けるべくして負けたと言う割りきりがあったのだろうか。
女子バレーの3位決定戦は予選で敗れた韓国との闘いだったが予想以上の完勝だった。監督が韓国戦に実績を上げてきた迫田を起用しそれがズバリ的中したのだ。監督のヤマ感(と言っては失礼かも)は素晴らしかった。スマートフォン?片手にコートでデータを操る監督采配の勝利といえよう。
 筆者はメダル獲得のポイントは準々決勝の中国との闘いだったと思う。正に互角の実力で死闘だった。何度も相手のセットポイントやゲームポイントに耐えて勝った。ここで敗れた中国選手、3位決定戦で敗れた韓国選手たちの慟哭の映像がかなり長く流れた。これまで度々日本チームの涙を見てきたので重要な試合にライバル敗れた両国の乙女たちに同情の念が気持ちが起きたことは確かだ。しかしスポーツだからお互いに勝つこともあるし敗れることもある。
⑤女子柔道
 なんと言っても松本の金には感動した。控えに立つ時から異常な気迫。獲物を狙うウルフのようだった。眼光が鋭く時々歯を剥き出しにして何か叫んでいたように思った。決勝戦は何か相手の反則(足取り)であっけなく勝ったが、それまでの何回の試合では彼女の鋭さだけが目立つだけだった。終わってみれば日本柔道として男女で唯一つの金メダルとなった。天晴れだった。試合後の笑顔には試合前の鋭い眼差しから考えられない優しが見られた。彼女も妙齢の女性だったのだ。
 ただ金を約束されていた48kg級福見、52kg級中村の敗退は意外だったし本人たちも無念だっただろう。インタビューでマスコミは福見に執拗に質問していたが彼女は涙を抑え唇を噛み締めながら健気に応答していた。彼女の気持ちの強さを誉めたい。マスコミも彼女の気持ちを察してもっと早く切り上げるべきだったと思う。彼女はホテルで慟哭しただろう。まだ若い。リオを目指せ。
 柔道52kg中村は敗戦後「負けたけど楽しめた。」と言ったし、男子槍投げのディン元気は予選の記録なら入賞、自己記録ならメダルだったのに惨敗した。投げ終わった直後「楽しい気持ちが一杯で焦った。」「リオでは90mを狙い金を」とコメントした。今回も何回か「負けても楽しかった」というセリフを聞かされたが、何故スポーツ選手は「楽しむ」と言う言葉を好むのだろう。彼らは「楽しさ」をどう捉えているのだろう。普通なら悔しさが表に出るはずだが負け惜しみの気持ちがあって「楽しんだ」というセリフを吐いたのがルーツではなかろうか。何回聞いても腑に落ちない言葉だ。
⑥レスリング
 日本の7つの金メダルの中でレスリングが男子1女子3個とっている。嘗ては柔道王国日本だったが今はレスリング王国と変わってしまったのか。
 女子の伊調と吉田は余りにも強すぎて連続金と言う最高の栄誉なのに一人のファンとしてそれほどの興奮はない。両選手に申し訳ない気持ちだ。いろいろなドラマを持つ小原の記事や映像が多く同情したり感心したりした。浜口は父親が長年熱狂的に支援してきたがあの重量級では日本人は無理なのだろうか。彼女も年をとってくる。残念だがそろそろ限界かとも感じた。
 レスリングの場合「同点なら最後にポイントを取った方が勝」というルールを初めて知った。選手は最後まで気を抜けられないから良いるルールだと思う。
⑦女子卓球
 女子卓球は念願の五輪初メダル。彼女たちは個人戦で破れた相手を撃破して決勝に進んだ。団体戦にかける意志の強さか、個人戦で負けた悔しさをぶっつけたか。しかし、決勝戦では格上の中国には胸を借りる気持ちで挑戦したのだろうが全く歯が立たなかった。準決勝に勝った時点で一つの達成感があったのか、或いは覚悟の敗戦だったのか知らないが敗れても殆ど涙はなかった。
 石川の4位はもう一歩でメダルだったのだから惜しかった。3人娘それぞれ持ち味があって観戦して楽しかった。
⑧フェンシングとボクシング
 前述したので割愛する。
⑨陸上
 メダルは室伏のハンマー投げの銅1個だった。北京に続いてメダリストになり、世界3位は立派だが金の可能性もあったが彼にとっては不満だろう。
 筆者はそれよりも陸上男子400mのリレーと男子マラソンを評価したい。リレーはメダルを逃したが、5位入賞はアジア勢で唯一だ。北京で銅が取れたが米国とどこかのチームの失格で繰り上がったものだから実力とはいえない。今回の順位が順当なレベルといえると思うが、若し準決勝のタイムが出てれば銀だったのだから惜しかったという感想もあるがタラレバの話。
 陸上のリレーは純粋な体力、筋力、走力のほかにコーナーとバトン引継ぎ時のスピード維持と言う技術面の巧拙がタイムに大きく影響する。日本チームが更に向上する余地が残されていると思う。期待している。
 男子マラソンで中本の6位入賞も立派と思う。実力を出し切ったのではないか。アジアの国で走力を競うトラック、マラソンで入賞したのはこの2人だけで、マラソンについては31位までアジア勢はいなかった。彼は周りのハイペースに惑わされずにマイペースを維持して脱落者を一人ひとり追い越していったが、それはそれでメダルでなく入賞を狙った今回の作戦としては成功だったが、更に上を目指すならやはり先頭集団に食らいついてチャンスをみて先行するための走力と体力がなければならない。短期では無理と思うので協会で中期長期計画でメダルを狙って欲しい。
⑩その他
 アーチェリーで女子団体、男子個人でメダルを取ったのも忘れない。
 メダルを逸したものの見事自己記録を更新した人もいる。文句なく誉めたい。また入賞者も世界で8位なのだから立派な成績と思う。対抗試合で予想以上の活躍をしたチームも評価の対象と考える。
 先ず、男子サッカーだ。なでしこの陰に隠れがちだが3位決定戦で韓国に敗れメダルは取れなかったものの4位。立派な成績だ。予選で優勝候補のスペインに1-0で勝ち波に乗ったが、韓国戦では相手ゴール近辺に押し込んだ直後の相手の早い逆襲についていけなかった。何か手があったのにと残念だ。メディアがなでしこばかりを取り扱い、男子チームの実力は余り評価されていなかったが予想外と言えば失礼かもしれないが男の意地を示してくれた。監督は引退されるが「良くここ迄実績を上げてくれたご苦労様」とエールを送りたい。 
 男子卓球も5位入賞を誉めたいが、本人たちはメダルを逸した無念さを忘れないだろう。特に準決勝で格下のシンガポールに敗れたのは残念だった。その試合、水谷は2勝したが岸川の不調が影響して単、複で敗れ若い丹羽に最終戦を任せるのは余りにも酷だった。
4)敗戦の記
 五輪の本番で自己記録を大幅に下回る成績しか出せなかった選手。実力を出し切れずに予想落ちした選手も大勢いた。
綜合点で合格の競泳界にも全く振るわなかった選手もいたし陸上や他の競技でも然り。世界選手権を取りながら10位以下だった射撃の松田もその一人。女子短距離の福島や男女の槍投げ、跳躍も自己記録にはるか及ばず期待はずれだった。勝負だから仕方がない一面もあるが何故そうなったか、コーチや監督たちと十分反省して捲土従来を帰して欲しい。
ここでは特に印象に残った柔道とマラソンを取り上げる。
①柔道の場合
 従来は試合中にもコーチは自由に選手に指示できたが今回は「まて」の時だけしか指示できなくなった。これまで日本選手はコーチの指示に従って動いていたが外国選手は自主的判断で動いてきたので、このルールの変更が日本のメダル獲得に影響したという解説もあったが、私には一旦闘いが始まってしまえば試合中のコーチのアドバイスがそこまで影響するとは信じられないが。??
 何と言っても試合に敗れたその場で(或いは決勝戦で金を逸したその場で)慟哭する多くの日本柔道選手の姿に同情を禁じえなかった。金メダルだけを念頭においてを試合に臨んだ彼らだからその気持ちは充分理解できる。しかし日本の現実の実力が果してどの程度だったのか。幾つかの試合を見た感じでは全てよくて五分五分の感じがしていた。決して金の予測が適切とばかりは思えなかった。
 いろいろな条件があるが総合的に成果が出なかったということは、選手や監督だけでなく柔道連盟にも責任があると思う。日本人の柔道に関する物の考え方に敗因があるのではなかろうか。日本人には柔道は日本発祥の国技として勝って当然、金メダル当然の感覚がある。しかし今や柔道人口は20万で世界3位、フランス80万の4分の1しかいない。また肝心の試合の流れも日本的な技一本でなくポイント取りの格闘技になってしまっている。今回も組み手争いに拘りながら制限時間内に有効技を稼いで逃げ切る勝負を何度も見せられた。もっとも明らかに逃げ切りと判定されれば減点されるが余裕があれば逃げ切れる。また転び方にも知恵が使われる。ある解説で女子52kgの試合で中村に攻められた相手は限界まで頑張れば一本負けとなるところ自分から尻餅をついて転び有効で済ませて命拾いをして最終的に逆転勝ちをした
換言すれば柔道は既に「新柔道」に変わっているのに日本は伝統的な柔道を理想として試合を組み立て「きれいに」勝とうするので上手くいかないのではないか。いい悪いはともかくメダルを取るなら「新柔道」対策を考える必要があると思う。
 恐らくこの点は柔道連盟から選手まで全員、頭では十分分っていると思うが伝統的な柔道に生きた柔道界の幹部と彼らに指導を受けた現役選手にはまだ体までこの思想が浸透していないのではなかろうか。ここに来ては元祖という自負心を捨てて国際化している「新柔道」への挑戦者として立ち向かうと割り切らなければ再建できないのではなかろうか。
 今回不調のもう一つの要因は海外戦をベースにする国際的なランキング制度と真面目に取り組んだので、選手たちはやや過労気味だったことが上げられる。他国は適当に試合を間引きしてランキング維持が出来たのだろうか。善処して欲しい。
 もう一つ基本的な問題がある。男子の重量級の試合になると見ただけで体力負け、力負けを感じさせる。筋肉のつき方が全然違うのだ。柔道も重量級になると技を競うレベルの前に体力、腕力、筋力の増強が必要ではないか。DNAも絡むので金の卵の発掘から育成まで少し年月をかける必要があると思う。
 各スポーツとも指導者、監督を世界からスカウトする時代だ。野球でもサッカーでも既にそうなっている。メダルを取った女子バトミントンではバロセロナ五輪で金メダリストの韓国人をコーチに招聘して成果に繋げたと考えられるし、逆に日本人が外国のチームの成績向上に貢献している例もある。シンクロの井村は中国に赴任して3年で中国にメダルを齎した。日本も彼女を復帰させることを画策し彼女をヘッドコーチ格に処遇と提案したがヘッドコーチを希望する彼女と話がつかず決裂したという。シンクロの日本チームはまだ若く経験不足だが指導者のレベルにも伸び悩みの一因があるのではなかろうか。米国女子体操のコーチは元日本代表の渡辺雅幸氏だ。独自の理論で踏み切りの動作を米国の選手たちに伝授、見事3人に内村クラスの演技を成功させた。米国チームはアトランタ以来16年ぶりの金メダルを取った。
 こう考えると日本柔道連盟に叱られることを覚悟して言えば日本柔道も「新柔道」の世界で勝てるために日本人と違ったセンスを持つ外人コーチを一人でもいいから招聘する考えがあると思う。
②マラソン
 男子マラソンは山本40位、藤原45位で期待はずれ。集団の速いスピードに追いつけず無理が効いて脱落と言うパターンだった。が、中本だけは周りよりも自身のペースを守って脱落者を人一人追い越すという戦法に徹したのが成功し6位入賞となった。しかし前述した通りこの戦法では後一人二人は追い越せてもメダルには届かないと思う。
 今季の世界50傑はケニア24人エチオピア20人でケニアは世界選手権でも3連勝中だ。2000mの高地で毎日通学で長い距離を走る生活。彼らは自然に心肺機能や下半身強化がされる環境にある。その上、最近は国としても選手の育成政策を取っている。マラソンも既に高速時代になっているのだから先頭集団に耐えるだけの体力と技術が必須。既存選手だけでなく年少者から金の卵を見出す調査活動も必要と思う。 残念ながら日本は1992年以降メダルはないし直結する10000mも日本記録は10年以上更新されていない。長距離界不作の時代が続いている。
 女子マラソンも惨敗と言える。アフリカ勢が25-30kmでペースを上げたのについていけなかった。最後まで自分のペースを守った木崎がかろうじて16位(男子の中本と同じ戦法)、尾崎、重友は惨敗だった。カーブが多く路地や石畳で難コースという評判だったし、しかも降雨の悪条件だったものの五輪記録は更新されたのだ。日本と世界の格差がかなりあることを示した。
 TV放映には最後まで日本選手たちの映像は殆ど出ずに先頭集団かそれに続く集団の解説だけで、名前も知らず、少しくらい走り方の解説を聞いても全く興味が湧かなかった。解説者もがっかりしてか説明に迫力がなかった。つまらなかった。
6)メダル獲得増加の要因
 今回ロンドンでは史上最高のメダルを獲得できたが、それにはい選手自身の努力は勿論だがその他にくつかの要因がある。
①国としての努力
国として日本スポーツ振興センターの下でJISSやNTCと言う組織を作り、関連設備を完成させて選手育成に努力したことが上げられる。その3分の2は国、残りは各協会が負担し、選手は殆ど個人負担なしで宿泊して練習に励めると言う。子育て中の選手に対してはベビーシッターまで準備されているのだ。
 対象スポーツは大変広く、バレー、バスケ、バトミントンなどのコート、体操、重量挙げ、卓球の練習場、陸上用トラック、屋内テニスコート、ボクシング施設からプールまで
至れり尽くせりのインフラだ。例えば、バトミントンだけでも10面あるという。
 勿論、宿泊施設のほか、各種の科学的な練習器具や医療設備も完備している。例えば、卓球では中国選手の特殊なサーブをシュミレートした球を打ち出す機器チキータもあるし、
 情報処理機器、映像分析機器も備えられ、ライバルの映像を手軽に検証することも出来る。選手にとっては誠に有難い時代になったものだ。このNTCはロンドンで7月中旬から五輪開催中マルチサポート事業として立派な設備を稼動させた。そこでも練習設備を備え、栄養管理から健康管理まで万全を期して選手を支援した。疲労回復用に高気圧カプセルまで設置されていた。
 ただこれらには数十億の税金が毎年投入されるのだ。來年度予算は今編成にかかる所だが、文科省では五輪の盛況を追い風にスポーツ関連予算を前年比10%増の262億円を計上した。目玉のマルチサポート事業では女子スポーツの活性化を狙って「女子アスリート支援」を含め前年比2億5千万円増加の29億5千万円とした。IOCの強化費は25億8千万円だからそれ以上になる。ソチ五輪でもロンドンで好評だったマルチサポートハウスは設置されるとのことだ。
 実は各国ともこの種の五輪対策を続けている。中国は有名だが、英国も今回の五輪を機にカネをかけ多くのメダル獲得に成功した(金メダル29個、メダル総計65個でどちらも世界第3位)。 
 多額の税金を投入すればスポーツの幅の拡大や底上げに成果は出るはずだし青少年のモチベーションはアップし国の活性化にはいい影響は出るだろう。ただ支援の仕方に各競技の成績を反映させるというが、成績向上の時間的な傾向とか本番で実力の発揮し方など木目細かいデータを検証して公平な支援を心がけるべきと思う。
この流れを汲んで「更に支援を厚く」と叫ぶ議員や協会がある一方で、正に緊縮財政の時代だから各スポーツ教会こそもっと自立を考えるべきだと言う反論もある。どうバランスを取るのか難しい問題だ。
②格協会の努力
 バトミントンは前述したがバロセロナ五輪金の韓国人招聘し種目別担当コーチ制を取り合宿遠征を増加した。競技人口増加を狙うため小椋・潮田の写真集カレンダーを配布し平成9年には137254人だったのを平成24年245612人に増やした。今回の銀メダルで更に増えると協会は期待している。
 ボクシング協会は海外遠征を増加しプロとの交流も進めた。
 卓球は2001年に「ホープスナショナルチームHNT」を設立し、幼少時からの英才教育を始めた。石川はその初期卒業者だった。これまで国際舞台で活躍してきたが今回五輪でも花を咲かせた。
 フェンシング協会も北京までの4年間の4倍の対策強化費を投じてきた。
こういう努力でそれほど普及してない競技、アーチェリー、ボクシング、フェンシング、バトミントンでもメダルを取れたのだ。
メダルは無理だったがテニスで錦織が88年ぶりに準々決勝に進んだのもこの支援あってこそではなかろうか。
③自衛隊体育学校の存在
 今回の五輪で自衛隊員のメダリストが4名出た。4人とも将校でレスリングの金メダリスト小原は女子だが一尉だ。男子レスリング金の米満は3尉、銅の湯元は2尉、ボクシング銅の清水は3尉。
 自衛隊員として幹部教育を受けながら五輪でメダルを取るための努力を続けスポーツの寿命が終わればそれぞれ自衛官の業務につけるのだから恵まれた立場にあるといえる。しかし実績が出れば特別生として長い間在校できるがスポーツの実績が出なければ退校になる厳しさがある。入校はどうするのか。高校や大学から自衛隊に入隊してから選考されるがスポーツ界で原則3位以内のレベルでないとつとまらないらしい。
 なかなか厳しいスポーツエリート集団と言える。今年12名がロンドンに行き4人がメダルを取ったのだから立派だ。あのマラソンの円谷もここに在籍した。

7)おわりに
ロンドン五輪で国民は程ほどに楽しみにいろいろな面でプラスに作用したと思う。感心が低かった2020年の東京五輪誘致について少しは賛成者が増えたと思う。
今回は都市型オリンピックといわれ英国は僅か1.5兆の金でやりくりし北京の5兆をはるかに下回った。出来るだけ既存の設備を活用したという。2020年に東京誘致を計画するに際し大いに参考にすべきだ。

                  五輪余話
        
1)無気力試合
 女子バトミントンで4チームが無気力試合で失格とされた。ランキング世界NO1の中国チームとの準々決勝との回避を狙った韓国と インドネシア両チーム。ランキング世界NO2の中国チームとの準決勝との回避を狙ったランキング世界No1の中国チームともう一つの韓国チームの両チーム、計4チームだった。
 わざとサーブミスやレシーブミスを続け何度か注意されても改めず失格とされた。真剣勝負を期待するファンへのそしてスポーツ精神への冒涜だから当然だ。「まさか失格とはならない」と甘く思っていたのだろうか。主審遠井は地元宇都宮南高校教諭だった。勇気ある裁定で天晴れを上げたい。
 実はなでしこにもチョット疑われる一幕があった。予選1位通過なら8時間移動してグラスゴーで試合をすることになる。体調管理に気を使わなければならない上に直近に敗れたフランスが相手となる。2位通過ならならそれまでと同じ場所カーディフで英国かブラジルと戦う。監督が「2位でもいい。(引き分けてもいい)」と発言したのだ。引き分けを指示したと言う報道もあった。実際は南アフリカとシナリオ通り0-0で引き分けた。たまたま生中継で観戦したが勿論無気力でなく真面目にやっていたと感じた。しかし、監督の言葉は選手に何らかの影響を与えたと思う。FIFAのお咎めはなかったのは幸だったが今後監督としては発言に注意しなければなるまい。
2)義足ランナー
 両足義足で陸上400mで準決勝まで残った選手がいた。身体の異常に耐えたその頑張りを立派と思っていたら専門家の間では賛否両論がある。義足の反発力が異常に大きければタイムは向上するからマテリアルドーピングだという批判だ。なるほどそういう考えもあるかと思うが筆者は許容したい。決勝には残れなかった。尚彼はパラリンピック200m予選で世界記録を出した。
3)人種のDNA
 400mリレーの決勝を見るとほとんどが黒人。米国は勿論フランスもオランダも黒人だった。マラソンもアフリカ勢、800mはマサイ族ルディシャが世界記録。
確かに人種格差があると思う。重量挙げ、投擲や跳躍も同様のDNA格差を感じる。銅メダリストのハンマー投げの室伏、不調だったが力を持つ槍のディンも欧州人の血が流れている。この種の競技のメダル争いとは何だという冷めた気持ちになる。4年に1回の祭典に参加し、世界が共通の価値観を持って競争して友情を暖める場を持つことを理解すると言うことか。「参加することに意義がある」と言う言葉が思い出される。
4)帰化選手の増加
 最近帰化選手の増加が目立つ。特に中国人が多い。女子卓球石川が準準決勝まで戦った3人は全て中国から国籍変更をした選手だった。
英国女子3段飛びはキューバ生まれだが、シドニ5輪ではキューバ人だったが、アテネ五輪ではスーダン人、そして今回のロンドン五輪では英国国籍を持って出場した
国外への国籍変更はその国のスポーツ振興のためという崇高な意図がある一方で優秀選手が大勢いる国では五輪出場の確証がないので五輪に出だしてくれる国へ移ると言う打算も否定できないだろう。他国に移れば恐らく破格の境遇が約束されるだろう。
国内の国体でも類似の動きがある。いけないことではないが諸手を挙げて賛同する気持ちにはなれない。
5)メダル関連こぼればなし
 日本では金メダルの褒賞金は300万円だがその他に各競技の協会や企業から賞金を与えているが大きな差がある。ボクシング村田に対しては1億円の契約金でプロ化を誘う話があるが彼はプロ入りを拒否している。女子プロレス女子吉田には企業から1000万がだされるらしい。
 外国ではカザフスタンでは年収55万の国だが、2000万。 ロシアでは1000万。 韓国では兵役免除というアメが与えられる。北朝鮮では高級マンションと高級自動車が与えられるが、負けると炭鉱夫にさせられるらしい。炭鉱夫という職業を罰則にする考えも炭鉱夫には失礼な話だがああいう国だから通るのだろう。
 それにしてもJOCではメダルの予算を14210万としたが実績は14200万でピッタリだったのはお見事。ただ何故予算に10万の端金がついたのかは分らない。
 メダリストたちは何故受賞したメダルを噛むのか。1988年のオーストラリアの水泳選手が最初に噛んだという。日本では1996年、柔道の野村が最初。「金の純度を確かめるため」「ハングリー精神で頑張ったので口にする」「チョコレートが入っている」などいろいろ面白おかしな珍説があるがどうでもいいことだ。余り意味がないしそんな癖を選手がやめたらどうだろう。
 因みに金メダルというものは実際は92.5%は銀で金メッされているとのことだ。
 女子サッカー表彰式で丸山がメダル授与者と握手直前にTVカメラに向けておどけた表情をして厳粛さを損ねたとして外国のメディアからクレームがついた。如何に喜び絶頂の時でも常識的な礼節は保たなければならない。
 監督は指導不十分だったと謝罪したが当然だ。
                                    以上