拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

まるで夢のよう

2018-09-14 09:09:00 | 音楽

「夢はかなう」の「夢」=「Traum」の話の続き。「トロイメライ」は、日本では「トロイ・メライ」と切って発音されることが多いが、ドイツ語では「トロイメ・ライ」である。しかもアクセントは「ラ」にあって、「トロイメ・イ」である。さて、私的に「Traum」で真っ先に思い受けぶのは「バラの騎士」の大詰め、ゾフィーとオクタヴィアンの二重唱である。恋の障碍(ゾフィーの婚約者のバロン・オックス(当ブログの題名)と、オクタヴィアンの愛人の元帥夫人)が全部いなくなって残った二人が歌うとろけるような二重唱。うー。とろける……(とろけて何もなくなった)……このとろける音楽は、しかし詩ではなくて音楽が先である。もちろん、オペラ全般は詩が先だが、この部分はシュトラウスの音楽が先にできていて、それにホーフマンスタールが詩を付けたそうだ。まあそれにしてもいい音楽にいい歌詞ですなー。その歌詞、ゾフィーは「Ist ein Traum,kann nicht wirklich sein,」で始まる。意味は「これは夢かしら、現実のことじゃないんじゃないかしら」なのだが、ある字幕は「まるで夢のよう」だった。大分、省略しているが、字幕には字数制限があって、全部訳していられない。ぱっと見で分かる表現を、ということだそうで、すると「まるで夢のよう」って、まるで夢のように素晴らしい訳である。と、夢のような話で終わらないのが私のブログである。このとき一緒に歌ってるオクタヴィアンの歌詞は「君だけを感じる」。相手の話を聞かずに感想がバラバラである。しかも、オクタヴィアンのたよりなさは目にあまる。32歳の元帥夫人と15,6歳のゾフィーの間にはさまれて、「ぼくちゃんどっちに行ったらいいの」と右往左往する様は無様だ。オクタヴィアンのファミリー・ネームは「ロフラーノ」。ウィーンの貴族であるが、出がイタリアであることを表している。シュトラウスはイタリア嫌いだから、だからこんな人物像になったと聞いた。いずれにせよ、この17歳と15,6歳のカップルの未来は暗い、アルマヴィーマ伯爵夫妻(フィガロの結婚)と同じ道をたどると私はみる。先に32歳の元帥夫人(マルシャリン)を「恋の障碍」と書いた。マルシャリンびいきの人はご不満かとも思うが、でも、どうせ、マルシャリンは次のスズメじゃなくて(それは朝ドラ)ツバメをひっぱりこむのである(オクタヴィアンの前にだっていろいろあった)。それに、32歳なんて、オクタヴィアンから見たら熟女かもしれないが、私から見れば、子供である。関係をもったら淫行処罰条例でとっつかまりそうなイメージである。