拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

なまめかしい足のゴッビのイァーゴがにやっと笑う瞬間

2016-10-14 14:23:18 | 音楽

NHKイタリアオペラの映像で、曲を問わず一番好きなものはと聞かれれば、文句なく、マリオ・デル・モナコとティト・ゴッビが競演したオテロ。放送されたのは私が0歳のときだから、当然、見たのは後年の再放送。それまで、私にとってイァーゴといえばカップッチッリだった。カップッチッリが「イァーゴのクレド」を歌い終わった後「はーっはっはっはっ」と高らかに笑うから、イァーゴはみんな笑うもんだと思ってた。ところが、この古い映像で見るゴッビのイァーゴは笑わない。が、その悪魔的な声と相まってなんだかとてつもなく邪悪。そして、いよいよ第2幕のオテロとの二重唱(リンクした映像はここから)。イァーゴが「Era la notte,」(ある夜のこと)と歌い始める。オテロの妻デズデーモナがカッシオと「できてる」ことを暗示する歌。声色をいかようにも変えてオテロの疑心を深める。そして大詰め。「lo vidi in man di Cassio.」((オテロがデズデーモナに贈ったハンカチが)カッシオの手にあった)。我慢してたオテロもここで切れて「Ah!」 と叫ぶその瞬間のイァーゴに注目。にやーっと笑ってる。見てるこちらは鳥肌(この公演を見た某俳優が「(ゴッビの演技は)オレより上手い」と言ったそうな)。その後、幕切れまで怒濤の二重唱。オテロはデル・モナコの十八番中の十八番。しかし、この公演を見た人は、ゴッビのイァーゴあってのデル・モナコと言っていた。私、このすごすぎる映像を友達に見せることが自分の使命だと信じ、早速、当時入っていたSM合唱団の新年会(Fさん宅)にビデオを持って行って再生してもらった。ところが、みんなの感想は「二人の足がなまめかしい」。たしかにミニスカート(みたいの)の下にタイツで包んだ足がすーっと出ていて目立つことは目立つ。でもそこかよー、感想は。懲りない私は、後年、某会のソロコーナーでこれを歌う。ありえないほど受けなかった。そりゃあね、ゴッビで受けないんだから、私が受けないのは当然だわな。