拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

大岡裁き

2011-08-24 10:15:11 | インポート
大岡越前、今でも仕事の合間に見ることがあるんですが、こないだこんな大岡裁きが。YがXを無理矢理窃盗の仲間に引き込んで、二人で被害者宅に侵入しタンスを物色してYが財物をゲット。ところが家人に発見されたので、Yがこれを殺害し、財物を持って逃走。Xも逃げたのですが他の家人にXだけ顔を見られてしまい、江戸から離れざるを得なかった。XにはXの帰りを待つけなげな妻子がいる。Yはのうのうと江戸で暮らしている。ここにおいて、Xが妻子の顔見たさに江戸に戻りXYとも御用。真相が分かり、Yは極刑に。問題はXの罪刑です。大岡越前は、「Xは窃盗や人殺しはしていないが、逃げたのがいけないから、寄場人足おくり。これは更生のための処分であり、刑ではない。」だと。もちろん、(私も含めて)みんなが遠くない将来Xは妻子のもとに帰れる!よかったね!ということなのですが、現在の刑法ではこうはいきません。Yについては問題ない。窃盗が逮捕を免れる等の目的で暴行をはたらけば事後強盗罪。で、人を殺せば強盗殺人罪です。問題はX。XYは、窃盗の共同正犯であり、共同正犯の一人の行為は他の行為となりますから、Yが窃盗既遂に達した場合、Xも窃盗既遂になります。だから、少なくとも、Xは、窃盗既遂の責任を負うことになります。だから、寄場人足おくりではすまないはず。かりに、XYが強盗を共謀していたのであれば、Yは強盗殺人罪であり、Xは強盗致死罪になります(Xには殺意はないから、結果的加重犯の同罪が成立します。)。