Today's agenda

通勤ローディ、たまにホビーレース

やっと退院です。

2012-04-12 17:45:19 | 日記
イタリア出張から、直行で入院となりましたが、やっと明日退院になります。

入院中、お見舞いに来て頂いた方々、心配の電話を頂いた方々、入院生活を支えてくれた家族、そして、このブログを見てもらえる励みを頂いた方々に、とても言葉だけでは足りないぐらいの感謝をしています。

本当に、ありがとうございました。


以下、私のひとり言です。
中身はないので、見たい方だけ、ドウゾ。



明日から、社会復帰に向けた「リアルリハビリ」に入ります。
身体のダメージは、思ってたよりも大きいようで、血液データでは、通常の半分の値までしか回復しませんでした。なので、UCIでなくとも余裕で引っかかる「秘密の薬」を、この先1年は飲むことになりそうです。


しかし、こんな状態でも、自転車(チャリ通)は、復活できるんです。 いや、むしろ「復活MUST」なようです。
医者…というか厚生労働省の見解によると、「運動によるメリットの方が大きい」とのこと。つまり「ガッツリ乗って、元気になろう!」がいいようです。イイぞ、厚労省!


でもね、「3ヶ月はレッドゾーン禁止」との制限付き。
なんでも、「医学的には、レッドゾーンは身体を壊す行為で、寿命を縮めるだけだから、今はダメ」らしいです。
…追い込んで頑張っている方々、寿命を縮めてるようですよ!


どっちにしろ、「元のヘタレレベルに戻るだけでも、3ヶ月はかかる」らしいです。

まぁ、折角、脚か小枝みたくなったので、今ならクライマーに挑戦できるのかしら?

有名な話ですが、かのローラン・ジャラベールは、スプリンターからクライマーに転向して、どちらでも成功を収めています。
そんなジャラベールの1/1000000000でいいから、登れるようになりたいなぁ…。


今日はここまで

イタリア人は、どれぐらいロードレースに詳しいか?

2012-04-11 11:16:09 | イタリア
春のクラシック真っ盛りですが、5月から、いよいよ「ジロデイタリア」が始まりますね。

私も予習として、今こんな本を読んでいます。


そんなイタリアでは、もちろん「サッカー」と「自転車ロードレース」が人気スポーツなのは言うまでもありません。毎日のスポーツ紙の一面は、常にどちらかです。


…と書いても、やっぱりピンとこないかしらね。
日本では、「今年のボーネンの快進撃はスゴイね」なんて話をしても、「カルトなマニアの話をする、ちょっと変わった人」扱いされるのが関の山です。(…私みたいに)

そこで、前回のイタリア出張の中から、イタリア人の同僚、友達と話をして、「イタリアではどれぐらいロードレースの話題が普通なのか」をご紹介します。


・パンターニって、いつ死んだんだっけ?

イタリア事務所の食堂でジロの話題となり、
「日本人って、誰か出るの?」
「別府選手が出ると思うよ」
「チームはどこ?」
「グリーンエッジ。新しくできたオーストラリアのチームにマキュアンと一緒に移籍した。日本チャンピオンさ」
「ヘェ~。…ところで、パンターニって、いつ死んだんだっけ?」

何故か、突然の話題チェンジです。目が点になりましたが、すかさず別のイタリア人同僚が、
「2004年。2月。ラ・ローズホテルで」

ここから、会話がイタリア語に変わり、話題沸騰。内容は分かりませんが、盛り上がってました。
やはり、イタリア人にとっても、パンターニは特別な存在なようです。



・ポッジオで、カベンディッシュが遅れてな!

イタリア事務所で、次期社長(イタリア人)から「オイ、ちょっと来い」とデスクに呼び出しが。
「なんかマズイことやっらかしたっけ?」なんて思いながら行ってみると、
「これを見ろ」
「…へぇ?!」

そこには、bianchiのロードバイクと若いクライマー風の兄ちゃんが。
「誰ですか?」
「俺だ!今より10㎏も軽かったんだゾ」(ドヤ顔で)
「近くの峠ですか?」
「この辺は山が多いからな。土曜日のミラノサンレモは見ただろ?」
「いいえ、残念ながら飛行機に乗っていたもので。誰が勝ったのですか?」
「…あぁ、えーと、オーストラリア人の…。誰だっけ?」

驚いたことに本当に勝者を覚えていないようです。ネット記事を確認して、
「ポッジオで、カヴェンディシュが遅れてな。最後はニーバリが惜しかった」

あらら、ジェランスは完全無視ですよ。
やっぱり、イタリア人も自国のライダー贔屓なんですね。



・なんで、日本人は強くならないの?

バールでイタリア人の友人達とお茶をしてた時の話題です。
「日本に行ったことがあるけど、山が多かった。あんな環境で走ってるのに、なんで日本人のプロ選手は少ないんだ?」
「日本の山は、勾配がキツくて、短い距離の上りが多くて、長い登りはあまり経験できないし、あとは、日本のレースのレベルが低いかも。その差かなぁ?」
「うーん、でも、登坂力がある選手ができそうな環境だけど。もっと活躍できそうな気がするよ」

実際に日本を走ったイタリア人からすると、比較的キツイ勾配が印象に残るようですね。
イタリア人からすると、日本人選手の活躍の如何は、意外と慣れの問題だけに感じているようです。
欧州で日本人選手が少ないのは、強い弱いよりも、置かれている環境の問題かもしれませんね。


と、まぁ、イタリアでは、ロードレースの話題は、日常会話の一つです。
ダルビッシュが、イチローがと言うように、ニーバリがクネゴだとか言ってます。
日本でも、もっとロードレースがメジャースポーツになり、より多くの経済効果が出るようになったら、もっと沢山のプロツアー選手が増えるのかも。イタリアみたいにね。


ジロデイタリアはもうすぐ。一緒に盛り上げていきましょう!


今日はここまで


セラミックベアリングの進化の果てには…

2012-04-10 06:19:42 | シマノ製品調査
ついに退院の目処が立ってきました。
ヒマ故にディープな内容になりがちな、このブログも、来週には「通常盤」に戻れそうです。


ベアリングネタ、ファイナルです。
次世代のロードバイク用ベアリングを考えてみました。このネタは、(また)素人の妄想です。


現在、高性能ベアリングとなっているのは、セラミックベアリングです。
理由は、皆様ご存知の通り、「硬くて(Hv2500)」「剛性が高い(縦弾性係数315GPa)」だからです。

じゃあ、更に高性能化するには、なにをしたらいいのか?
多分、セラミックボールに、「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)表面処理」を追加して、表面硬度向上(Hv4500)させると思われます。


つまり、セラミックベアリングの進化型は、「DLCコーティングセラミックベアリング」になると、睨んでいます。



ここまでは、簡単なんですよね。
問題は、これが「ロードバイクに使える仕様かどうか?」を考えてみました。



まず、「表面硬度を上げると、摩擦係数が減る」と、ざっくりと過去に書きました。
これは、接触面でのミクロ的な変形が抑えられる、つまり、ミクロ的に球体の曲率半径を維持することができます。

具体的に解くと、ヘルツ応力式を使います。(接触面の応力算出)

最大接触圧力pmaxは、

P:集中荷重 (N)
ν:ポアソン比
E:縦弾性係数 (MPa)
R:曲率半径 (mm)
 
球と平面の場合
R1=∞
 
球と凹球面の場合
R1=-R2

「セラミック=硬い=曲率半径大」「セラミック=高剛性=高縦弾性係数」ですので、最大接触圧力を上げます。
つまり、セラミックベアリングは接触面圧的に、厳しい環境にさらされます。

高い面圧下でも、ベアリングの玉とレースが摩擦係数が激増する固体接触とならないためには(ストライベック線図参照)、界面の潤滑膜の維持が不可欠です。

ここから先は、EHL境界潤滑の領域ですので、複数の議論が存在しますが、私なりの解釈をしていきます。


通常、潤滑膜を維持させる為には、潤滑剤の粘度を上げます。つまり、グリスです。
しかし、ロードバイク用の場合、問題が2つあります。
「グリス自体が抵抗となる」ことと「回転速度が遅い」ことです。


グリスの抵抗は意外とバカにできません。
ベアリング玉が回転する度に表面張力でくっ付いて接触面に帰ってくるので、余分な分を押し退けるのが、ライダーには抵抗に感じます。(敏感な人なら、多分)


回転速度は、ベアリングが入る所では、最大でも、BBで150rpm(ケイデンス)、車輪で500rpm程(60㎞/h)、リアディレイラーのプーリーも500rpm程(ボーネンがアウターで110rpm、60km/hでスプリントしてる時)ぐらいと、どれも遅く、しかも回転速度0もあります。

回転速度は潤滑膜厚さ算出におけるゾンマーフェルト数に大きく影響し、回転速度0では計算上、油膜形成不可能になります。つまり、ベアリングがミクロ的に壊れます。


このベアリング破損を防ぐにはどうすればいいか?
今度は化学の世界です。

ご存知の通り、オイル、グリスなどの潤滑剤は、「添加剤」を含んでいます。
添加剤は、その機能により幾つかに分類され(粘度向上剤、消泡剤、極圧剤、摩擦係数改善を目的としたものなど)、その中でもまた種類があります。

今回のセラミックベアリング用として使いたいのは、「極圧剤」と「圧力係数向上剤」です。
「粘度向上剤」は、先のデメリットとどうせ救えない領域があるので、使いません。これはカンパの思想と同じです。

「じゃあ、どんな極圧剤を使えばいいのか?」

核心ですが、「オイル分子レベルでの結合を維持する」との目的には辿り着きましたが、実はここから先が、小生には分かりません。
勉強不足もありますが、オイルメーカーのノウハウ領域なので、公開情報は限られ、古いものばかりです。


因みに、市場でよく流通している摩擦係数改善剤の「モリブデン」は役に立ちませんよ。(自己破壊膜を作れない)
「テフロンは?」と聞かれると、ベアリング破損対策にはならないけど、摩擦係数低減の効果は分かりません。
効かなければ只の「異物」を入れることになるので、やらない方がいいと、個人的には思ってます。


こうして、適切に機能する「極圧剤」「圧力係数向上剤」が入ったオイルを使って、やっとこの「DLCコーティングセラミックベアリング」は成立します。


但し、まだ問題が…。

まず、そのオイルの劣化が早い事は、容易に想像できます。
また、異物には、更に弱くなるでしょう。NTNによると、「0.1mmの異物が入るだけで、耐久性は1/5になる」とあります。
こうなると、シールのないセラミックベアリングなんて、一般公道での使用は、壊す為に使っているみたいなもんです。「走る度に徹底的に洗浄」がmustです。


まとめましょう。

「セラミックベアリングは、DLCコーティングにより、更に性能向上できる余地はある。但し、メンテナンス性、耐久性の面での課題があり、市場への投入には、市場の理解が必要と考える」


例えば、「ツールドフランスで、タイム差3秒で迎える最終日のTTマシン」であれば、間違いなく投入しますが、「明日から一週間、北海道ツーリング」には、使いませんね。


しかし、こんな厳しい世界に住んでいるベアリング屋さんは、本当に大変ですね。
こんなカルトなネタを読んで頂いた方も、大変だったと思います。

妄想の駄文に、お付き合い頂き、ありがとうございました。


今日はここまで


次期型ブレーキへの一案

2012-04-08 05:00:58 | シマノ製品調査
ブレーキネタ、ファイナルです。


話もせず、人が設計した製品を見て、気が付いた所だけ、勝手なコトを言ってるって、もし、その担当のエンジニアの方が、ご覧になってたら、ご立腹されているかもしれませんね。
ブログという性格上、互いに意見を交わすことは困難ですが、今回はこちらから、ネタを発信したいと思います。

「次世代ブレーキ」について、拙い知識を素に書いてみました。
妄想ワールド…ですが、意外とマジメな読みにくい内容かも…。スミマセン。


<結論>
次世代ブレーキとして、「長繊維熱硬化性カーボン強化樹脂製のブレーキ」を提案します。
工法は、複数のインサート部品を鋳込む射出成型。
形状はアーム太さを主応力方向に1.5倍にアップ。


<設計思想の概要>
コントロール性重視のカンパ式のコンセプトとする事で、アームが必要とする材料強度を上げない。
現モデルのアルミの耐疲労強度が100MPa程度なので、アームの縦寸法を1.5倍にすれば(3乗に比例)、33MPaまで応力を低減可能。。
33MPaであれば、熱硬化性のカーボン強化繊維の許容疲労応力内。つまり、「アームの樹脂化」が可能。
(尚、ここでのカーボン強化樹脂は、積層用ではなく、充填用)


<解決すべき課題>
(一般にはあまり知られてないかもしれませんが)カーボン樹脂は、その繊維と樹脂の「界面剤」が性能の肝となる。
繊維単体強度が60tだろうが80tだろうが、樹脂と繊維が一体化してこそ、複合材料としての強度が得られる。

例えば、カーボンナノチューブ(CNT)は、単体では「アルミの半分の軽さで、鉄鋼の20倍もの強度」と、素晴らしい特性を示すが、この界面剤の開発が製品化レベルに至っていない。

実際に製品化へ向けて開発できるのはCNTではなく、「長繊維カーボン強化樹脂」。
短冊みたいな長いカーボン繊維を熱硬化性樹脂に混ぜたもので、この(従来よりも)長い短冊が材料強度を上げる。(詳しくは、月刊プラスチックス参照)

この熱硬化性長繊維カーボン強化樹脂を射出成型して、ブレーキアームなどの部品を作るのだが、課題は以下です。

・長繊維が流れにくい。
・ウェルドラインから割れる。(穴周りとか)

どちらの問題解決も、高度な技術を要します。
流れは解析で、ウェルドは、注入後の型内での穴あけで乗り切るかと。
型の温度管理、射出圧のコントロール、可動型の設計と調整など、力技でしかやり切れませんが、樹脂部品の一発成形は、長繊維樹脂の性能をフルに発揮できるし、コスト面も魅力的です。


<所感>
本当は、シマノと国内の大手樹脂メーカーが主導権を握って、CNT樹脂の開発を進めて欲しい所だけど、…あのコンサバティブな製品をみてると、そして日本の企業体質であることを考えると、多分期待はできない。(何処かのサードパーティでは、開発力が足りないし、樹脂屋も相手にしないだろうし)

よって、現段階では大手メーカーが作るにはコストが成立しないだろうが、戦略的に考えられるカンパみたいな会社のみが、製造技術を向上させることによって、カーボン強化樹脂ブレーキを開発できる唯一のメーカーになるのだと思う。(先のCULTみたくね)

個人的には、カンパの次期型ブレーキは、アルミではないと思う。アルミを使う理由がない。
それが、積層カーボンか充填か、熱可塑性か熱硬化性かは、分からないけど、樹脂化された超軽量な製品になって欲しいなぁ。


なんか、やっぱり、カンパへの想いばかりですが、日本で設計に従事されている方は、こんなアバンギャルドな設計に憧れる人も多いのではないでしょうか?


さぁ、オイラもストレス発散の為に、カンパファンを続けないとね。


今日はここまで

FITの店長さん

2012-04-07 22:25:59 | 日記
まだ入院中。ちょうど半月目の今日、うれしいお見舞いの方が、来てくれました。

じゃん!

FITの店長さんです。( @カンパのブレーキネタで盛り上がり中)

腕、知識、情熱の揃った、しかも走れる店長さんで、話していて楽しいのなんの。
用事があってもなくても、ついお店に行ってしまうもんです。
今日は、病室の方に来て頂いて、楽しい会話をさせて頂きました。


話題は、カンパとシマノとか。

まとめると「カンパとシマノは、やっぱり、比較しちゃいけない」「カンパにはカンパの使い方が、シマノにはシマノの役割がある」って感じかしらね。

いろんなサイクルライフが楽しめるのも、この2社と腕の確かな自転車屋さんがあってのこと。
選択肢のある有難い環境に改めて感謝ですね。


そんなFITの店長さんがお見舞いに持って来てくれたのが、こちら。

オオおおぉ!カンパ本!退院したら探しに行こうと思っていた本です。
もう、大興奮。いやいや、本当にありがとうございます!


…ただ、チョット興奮しすぎて、こうなっちゃいました。(@心電図ちゅ)

「ポラール」とは書いてない…な。ここでも、心拍を管理されるなんて…。


今日はここまで



チェレステの謎

2012-04-06 21:11:51 | フレーム調査
ビアンキ乗りの定番色、チェレステ。
ルーツは、諸説あるようですが、「イタリアのマルゲリータ王妃の目の色」ってのが、ステキでいいですね。
こんな色。

ただ、昨日の本に書かれていた説は、
・1913年より前のモデルは、黒しかない。例外は軍用モデルの緑。
・1913年のカタログに、「レーシングモデルは水色」と記載。これが、チェレステのルーツ。
・その後のレースで勝利を重ね、定番色となった。
だとか。

そう言えば、世界選手権を見てると、イタリアチームは「水色ジャージ」ですね。
なんでトリコロールじゃないのか不思議でしたが、イタリアでは「昔から強いチームは水色ジャージに決まっとる」って感じなんですかね。


オイラも、ビアンキ乗りの端くれ(ミニベロだけど)
水色のイタリアジャージに、少し憧れてもいいのかも。


今日はここまで

Italian racing bicycles

2012-04-05 22:12:36 | 日記
今しか読めないと思い、この洋書本を買いました。


期待通りの読み応え。各ブランドのルーツから最新モデルまで、時間を忘れてしまいます。
写真も美しく、歴史の勉強にもなるし、こりゃ、お買い得な一冊ですね。

なので、今日はディープネタなし。また明日…ね。(←まだやるの?)


今日はここまで

カンパのベアリング、CULTとは何か?

2012-04-04 18:26:42 | カンパ製品調査
回復してますが、意外とかかりそう。やっぱり、ヘタレな身体です。
ヒマの濃度も上昇中。連日で、読んで頂ける方も大変だとは思いますが、また重たいネタです。(少し暴走気味?)
「頑張って付き合うゾ」って義理堅い方は、お願いします。


今日は、カンパのベアリング「CULT」の話です。


カンパのHPって手強い。
技術の紹介が、ライダー目線に繋がっていて、ユーザーはさも分かったかの様に錯覚するけど、核心は逸らしている。

そんなカンパの技術の中でも、意味不明だったのが、今回のベアリングの「CULT」。
「グリス不要」「普通のベアリングより9倍回る」とか書いてますが、只のセラミックベアリングと何が違うのか、調べてみました。


まず、カンパHPでの説明は、こちら
んで、国内輸入元のカワシマサプライのHPでの説明が、こちら


両社の説明からすると、ポイントは、ベアリング・レースにあるようです。

キーワードは、以下です。
・シェフラーグループのFAG社が開発し、自転車業界では、カンパが独占使用。
→他では使ってるってことね。シェフラーと言えば、自動車部品。この線で調べるか?

・クロニテクト(商品名)とか言う、ステンレス・クロム・スチールで、耐食性に優れる。
→オーステナイト系ステンレスかな?

・熱化学処理された滑らかな表面層。
→メッキ、熱処理ではない。窒化でしょうが、特殊な窒化処理か?


これでサクッと調べると、アッサリ見つかりました。
「クロニテクト=コールスタライジング」です。英国のBODYCOTE社の製品(処理技術)ですね。こちら
カンパ、シェフラーGr.のFAG、Bodycoteの欧州大手連合の製品ですね。シマノと東大阪の中小企業の連合とは、スケールが違います。(←またカンパ贔屓ですか?)


このコールスタライジングですが、やはり特殊な窒化で、低温長時間で処理するようです。
この窒化は、硬度はHv1200程度と硬質メッキより劣るものの、処理後の寸法変化が小さく、一桁ミクロンの精度を要求するベアリング・レースには適した処理なのではないでしょうか?

また、硬化層の割れがないとのことなので、硬質メッキみたく、グリスの極圧剤に頼る必要がありません。
グリスは、ベアリングの抵抗の主たるものですので、サラサラのチェーンオイルでもいれておけば、「9倍回る」と言うのも、納得できます。
よく出来たベアリングだと思います。


でもね、褒めるのはここまで。解は一つじゃないんですよ。

つまり、硬質メッキ(硬度1500~)でも、母材寸法、(密着性を上げる)下地処理、メッキ厚さの管理を厳密に行なえば、CULTは超えられます。いや、既にどっかから出てるかも…。
また、CULTにも弱点があり、小径化+高荷重化は苦手なハズです。母材が陥没するので。


まぁ、まとめると、「CULTはいいベアリングですが、絶対的な存在ではなく、数あるいいベアリングの中の一つの選択肢」といった処でしょうか。


たかがベアリング?されどベアリング?


今日はここまで

2010アテナ、リアディレイラーに関する私見

2012-04-04 05:46:33 | カンパ製品調査
退屈な入院生活も、やっと回復へ舵が切れそうです。
もっとも、どこまで回復出来るかで、自転車乗りとしてのパフォーマンスが決まってくるのかしら?
どうせなら、ランスやコンタみたく、より強くなりたいもんです。


お世話になっているプロショップのFITさんより、面白い現象を教えて頂きました。

「アテナ(2010)は調整した直後は良いのですが、少し使うと変速がキッチリ決まらなくなります(コーラスは問題ない)」

何でか、調べ、考えてみました。


結論から書きます。

原因は「アテナ2010モデルのリアディレイラーシャフトの表面処理の不適」と推定します。



今回は、表面処理に関することなので、現物が見たい(触りたい)調査でしたが、まぁ無理なので、写真からの推定になります。

まず、スーパーレコード、レコード、コーラス、アテナのリアディレイラーの写真を見ましょう。

巷では「コーラスとアテナの違いは、プレート材をカーボンからステンレスに変えた」となっています。
でも、ここは素材の変更だけで、機能は変えていないので、原因ではありませんね。
問題は、このプレートのシャフトの方です。

間違い探しレベルですが、シャフトの色が違います。
色と必要機能からの推定ですが、コーラス以上は「(窒化)チタンナイトライド」をしていると、思われます。因みに、大量生産される自動車部品の世界でも「一本あたり数十円」もする高価な表面処理です。

一方アテナは、「あれ?色がない?ケチった?」かと最初は思いましたが、表面処理が必要だからやってるのに、それを単純に止めてしまうロジックが見つからないんですよ。

困ったら歴史を調べましょう。さっきの写真はHPにある最新型(2012モデル)の物です。2010モデルはどうだったのか?こちら。

黒い!
2010モデルでは、別の表明処理に変えてたんじゃないでしょいか?
色からすると、リン酸マンガンか、二流化モリブデンか、四酸化鉄皮膜かしら? 何れも、安いゾ~。

カンパにしては珍しいミスで、注目すべきは、(厳しい)低速作動時の耐摩耗性ではなく、摩擦係数の低減の方だったんですね。

表面硬度と摩擦係数は、概ね相関があり、硬い方が低摩擦です。
チタンナイトライドの表面硬度がHv2000以上に対し、リン酸マンガンなんてHv500程度と低いもんです。
しかも、摩擦係数の低減メカニズムが自己破壊性(皮膜自身が破壊して摩擦係数を下げる)なので、そのうち効果がなくなります。調整後、暫くすると悪くなるのは、このせいじゃないかと、推定されます。(推定の推定ですが)


だから、2012モデルは「対策仕様」なんですよ、既に。
ほら、レコードEPSのシャフトも色がないでしょ。(レコードがケチる訳ないので)

でも、推定もここまで。無色の表面処理は、分かりません
私だったら、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を選びますが、どうなんでしょうね。


あぁ、しかしいくらヒマだからって、こんな自転車メカオタク全開でいいのかしら?
少しは、乗り方の方を考えた方がいいのかも。


今日はここまで


<追記>FITさんへ
どうしても気になるなら、シャフトを引っこ抜いて、2012のシャフトに替えるか、バフ研磨(鏡面仕上げ)したら良くなるかもしれませんよ。
もっとも、こんな手間とリスクある改造は、誰にでも勧められるもんじゃないので、オウンリスクになってしまいますが。
因みに、(この推定が当たりだとすると)メーカー視点では、立派なリコールかサービスキャンペーンだと思いますよ。ただ、外国のメーカーって、しれっと対策して前のモデルはなかったことにしますからねぇ。(カンパはどだろ?)

カンパ&シマノ、どのブレーキがベストバイ?

2012-04-02 19:15:29 | シマノ製品調査
すいません、もう少し、ブレーキの話に付き合って下さいな。

いや、余りにも入院生活が退屈で、カンパ、シマノのHPを見始めたら、面白くて。

今日は、「ブレーキの設計は分かった。じゃあ、どのモデルがいいの?」って視点で書きます。
もちろん、100%個人的な私見に基ずく見解、つまり、まぁ勝手な意見です。


長いので、結論を先に書きます。

・シマノ:デュラエース。次点でソラ。

・カンパ:アテナ


以下、詳しく解説です。本当に長いので、時間がある方だけドウゾ。



まず、簡単な方。カンパ。

各モデルの写真を見てください。

レコード、コーラス、アテナ、ケンタウル、ヴェローチェの順です。

カンパは至って簡単。ケンタウルで設計を変えていて、あの剛性コントロールアームをやめています。
その代わり、アームを太くして制動力を出すようにしてますが、特に形状的な工夫もないので、効き味はシマノっぽさが入るでしょう。

つまり、「ケンタウルより下のグレードでは、カンパっぽい(コントロール性の良い)ブレーキフィールは期待できない」でしょう。


よって、カンパのベストバイはアテナかな。(多分、性能的には、レコードと遜色ない)


まぁ、あと少しの軽量化にお金が掛けられる人は、レコードでもいいのかも。
因みに、コーラスの存在意義が分かりませんが…。(コーラス買うならアテナでイイじゃん)



次が、シマノ。こっちは、難しいゾ。(~_~;)

写真から。

デュラ、アルテグラ、105、ティアグラ、ソラの順。

くぅ~、設計思想が全部違う。

まず、材料(工法)に注目してみましょう。
「デュラ」「アルテグラ」「105」が「アルミ鍛造合金」。
「ティアグラ」「ソラ」が「アルミ合金」(ダイキャストかな?)。

ふーん、「アルミ冷間鍛造」ねぇ。ずいぶん、ザックリとした書き方してますねぇ。
形状設計、材料選定、製造工程に分けて、掘り下げて見ましょう。


まず、デュラエース。

先に書いた通り、デュラの命は高剛性です。
アルミである限り、縦弾性係数を増やす、つまり太くしないと剛性は上がりません。一方、太くすると重たくなります。
よって、アームは、許容応力ギリギリまで太らせる設計になります。
材料は、より高い許容応力が得られる7000番台のアルミが選ばれるでしょう。

しかし、高強度材である7000番のアルミなんて、冷間鍛造で苦労します。(高強度の材料を変形させる加工なので)

どうするか?

力技でしょうね。製造工程で頑張るしかないでしょう。

つまり、大型プレス機で冷間鍛造してますね。少なくとも、500トン以上でしょう。よく、東大阪にこんな大きなプレス機(億近い設備)を持ってる仕入れ先があったもんですね。(←大きなお世話?)

また、一発で絞ると割れるので、工程もかなり分割してるでしょう(少しずつ形状を整える)。ひょっとしたら、途中で応力緩和の低温熱処理をいれてるかも。

ここまで苦労しても、プレス機から出てくる部品は駄肉がまだ多いもんでしょう。
この後、機械加工、研磨、アルマイト、塗装って感じで、完成でしょう。部品が。
いや、軽く高剛性にするって大変です。

デュラエースのブレーキの価格は「31639円」と、アルテグラの約2.5倍です。
でもね、これは妥当…ってか、むしろ安い気すらしますが。


次は、アルテグラ。
材料を6000番ぐらい(多分)に落として、東大阪のトン数の小さなトランスファープレス機で、大量生産ですね。
ただ、パッドのアーム横に、複数工程を掛けている形状(空孔潰し?の凹み)があるので、一応は頑張ってますね。
しかし、材料、形状、工程数とも限定しているので、デュラとは比較出来ない程、全くの別物ですね。
大量生産できる限界設計でしょう。


次は、105。
アルテグラを作りやすくする為に、形状を諦めてますね。
材料が流れ易い形状にして、主成形のみで大量生産できる形ですね。

シマノみたく「大量生産しなくてはならない製品設計」では、仕方がないことですが、性能も無視はできず、工場からは睨まれて、設計者の方はストレス溜まりまくりでしょう。(←東大阪からの出張帰りに、ミナミの飲み屋で愚痴ってそう)

「性能よりも生産性」、ハッキリとしたコンセプトはいいのですが、巷でアップグレードとして、105を選ぶってのはナイと思いますよ。


次は、ティアグラ。これはナメてますね。
形状が、105とソックリ。工法だけ、冷間鍛造から鋳造(ダイキャストか?)に変えて、おしまいです。
これじゃ、中国のコピー商品と変わりませんゼ。まぁ、安いからいいけど、何の為に存在してるんでしょうか?


最後はソラ。これが面白い。
鋳造では、冷間鍛造と違い、形状の制約が緩くなります。(型に入れて固めるだけなので)
形状をどうするか悩んだ時、何を思ったか、ソラの設計者はデュラエース様の形状をパクったようです。形がソックリですもの。
流石にデュラ様程、高価な材料、工法ではないので、肉が増えるのと、割り切りは必要ですが、意外とバカに出来ませんよ、こりゃ。
ソラの設計者のしてやったりですね。明日のデュラエース担当に憧れる若い設計者でしょうか?


と、いうコトで、シマノのベストバイは、頑張り抜いたデュラエースでしょう。
次点で、侮れないソラでしょう。


因みに、例えば、「ソラ改」として、デュラのパッドを入れて、デュラみたいなアームの補強を入れたら…、面白いかも。


以上、100%私の勝手な妄想で、全く事実確認なんてできていませんが、日本の何処かで頑張っている見知らぬ設計者の方に思いを巡らせるのも、楽しいもんですね。


長文に付き合って頂き、ありがとうございました。


今日はここまで