とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『修道女たち』(11月3日 本多劇場)

2018-11-08 08:14:08 | 劇評
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演   鈴木杏 緒川たまき 鈴木浩介 伊勢志摩 伊藤梨沙子 松永玲子
みのすけ 犬山イヌコ 高橋ひとみ

 この芝居に登場する人間は、醜いが美しい。どの人物も人間の人間らしさが見事にでている。「人間を描く」という言葉を突き付けられたような気がした。表向きは得体のしれない劇のように見えながら、次第に見入っていかされた。客席全体が吸い込まれていくよな感覚を覚えた。名作だ。

 人間は常に正しいことはできない。やってはいけないことをついついやってしまう。それが人間である。人間が罪を犯すのは必然なのだ。しかしその罪は結局は自分に返ってくる。だから人間は常に苦しみの中にいる。確かに「忘れる」ことは人間の得意技だ。自分の犯した罪も時間がたてば忘れることができる。しかし表面上は忘れても、無意識の中に罪は残る。時には夢に出るし、時には得体の知れない恐怖が襲ってくる。これこそが人間であり、その滑稽さを見て観客は笑うのだが、その笑いは自分を笑っていることにすぐに気がつくのだ。

 人間は罪深く、滑稽な生き物である。だからこそいとおしい。この芝居は不思議な心の浄化を感じることができる。
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