goo blog サービス終了のお知らせ 

まさおレポート

当ブログへようこそ。広範囲を記事にしていますので右欄のカテゴリー分類から入ると関連記事へのアクセスに便利です。 

あ と声を立てた 文字数:2519

2024-03-02 | バリ スペシャル

画像をアップロードしました

花の声──サヌールの舗道で、ひとつの落下を聴く

砂にまじる舗道の石が、午後の陽に乾いている。
サヌールビーチのいつもの道。
とくに意識もせずに歩いていたそのときだった。

ひとつの花が、音もなく、降ってきた。

いや、音はたしかに、あった。
それは耳で聴くのではない。
肌のうえで、あるいは胸の奥で鳴るような、
**「あ」**という、ひらがなひと文字の声だった。

私は歩みを止めた。
振り返ると、そこに花があった。

白く細長いおしべが、根元から扇状に広がっている。
先端は淡い紅に染まり、一本一本が微かに震えているようだった。

■ 落ちた瞬間に、世界が深くなる

この花は、サガリバナか、サンユウカか。
名前は知らない。でも、花は名前を必要としない。
それよりも、この落ち方、この“在り方”がすべてを語っていた。

誰にも見られずに落ちたはずのそれが、
私の前で、確かに声を立てた。

落ちた、というよりも、
**「舞い降りた」**のだ。

重力のせいではなく、なにか意志ある下りだったように思える。

■ 聞き逃さなかったよ、その声。

“あ”という声。
誰かを呼ぶでもなく、抗議するでもなく、
ただそこに在ったことを告げるような、極めて静かな自己表明

それを私は、聞き逃さなかった。
不思議とそう思える。
つまり、今この旅において、私の耳は少しだけ開いていたのだ。

この島にいて、気づくことがある。
人も動物も、風も雨も、
そして花までもが、言葉を持っているということ。

ただ、それを聴くには、
ほんの少しの“静けさ”が必要なのだ。

 


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。