団塊亭日常

バリ滞在6年を終え、日本での生活のあれこれ・旅・読書・映画・音楽・回顧・気になるニュース・育児・通信事業関連を

「竜馬がゆく」と「カラマゾフの兄弟」金の施しに見る作家の視点

2018-11-15 16:10:13 | カラマーゾフの兄弟
司馬遼太郎とドストエフスキー、あまりに異なる作風だが作品中には互いに交信しあっているように感じられる一文があった。 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」では竜馬は以蔵に辻斬りされるがその理由を尋ねると、老父が死んだために江戸から一人で急遽戻ってきたという。竜馬はそれを聞き、 「ぜんぶで五十両ある。おれは幸い、金に不自由のない家に育った。これは天の運だ。天運は人に返さねばならぬという。おれのほうはあとで国 . . . 本文を読む
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フョードルの復権

2018-10-02 14:41:07 | カラマーゾフの兄弟
最終的にカラマーゾフ家の父フョードルは殺され、三兄弟の二人までが不幸な結末を迎え、三男アリョーシャのみが未来に向かって人生を歩みだす雰囲気をかもし出してこの長い物語りは終わる。長男ミーチャは父殺しの冤罪でシベリア送りに、次男イワンは頭が狂ってしまう。ひょっとして兄弟かもしれないスメルジャコフは首をくくって自殺する。まさに呪われた一族の物語なのだ。 作者ドストエフスキーはこの後編小説を準備して . . . 本文を読む
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カラマゾフの兄弟 ドストエフスキーの投影として

2018-06-29 15:53:09 | カラマーゾフの兄弟
ドストエフスキーは人生でトラブルを繰り返し、その体験をベースにしてエピソードを紬ぎ作品化している。根源的体験とは癲癇や推測される幼児体験、父が殺された事件、空想的社会主義に共感した体験で、「カラマゾフの兄弟」をドストエフスキーの人生の投影として読んで見た。(ネットでさまざまな知識やドストエフスキー作品引用を参考にさせていただいた。元になる文献の確認はしていないことをお断りしておきます) 賭博癖や . . . 本文を読む
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「カラマーゾフの兄弟」 法廷に社会と人生が集約される

2018-03-26 21:52:04 | カラマーゾフの兄弟
冤罪の執拗な下ごしらえ 作者ドストエフスキーはドミトリーの裁判と冤罪に至る過程をかなりのボリュームを費やして描いている。しかもフィナーレの直前に書きこまれている。作者はこの冤罪を何故そんなに紙数を費やして描きたかったのだろうか。思うに裁判というのは人生の縮図であり、再現でもあるので、小説のまとめとしてお誂えなのではないか。 作者ドストエフスキーはドミトリーが疑われてもしかたがない状況を執拗に描 . . . 本文を読む
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若い女性が三人でテーブルを囲んでいるのだが全員スマホを

2018-02-12 20:01:24 | カラマーゾフの兄弟
ユニバーサルスタジオジャパンで昼食をとったときのこと、近くに若い女性の3人組が座り、それぞれが一言も話すことなくスマホを操作しはじめ、休憩の間、最後までお互いに口を聞かない、これはありふれた光景のひとつになっている。ふとカラマーゾフの兄弟の次のフレーズを思い出した。 「その人はこう言うんです。自分は人類を愛しているけど、われながら自分に呆れている。それというのも、人類全体を愛するようになればなる . . . 本文を読む
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鈴木大拙 吉本隆明 ドストエフスキーの共通項

2018-02-09 15:43:25 | カラマーゾフの兄弟
既出の拙ブログ記事を読み返してみて、大地という原点に戻って形而上の価値を認識することが古今東西の英哲の共通項のようだと気がついた、つまりアニミズム回帰である。 「親鸞復興」吉本隆明」 「大拙は、考えが「大地」を離れない、あるいは心が地面を離れないということを、浄土教における<慈悲>を根本においているとおもいます。この「大地」はどこからくるのかということは、ぼくにはまったくわかりません。・・・で . . . 本文を読む
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「カラマーゾフの兄弟」メモ その10 グリゴーリーはなぜドアが開いていたと言ったのか

2018-02-09 09:10:28 | カラマーゾフの兄弟
2018/2/9 加筆 スメルジャコフの父がグリゴーリーであるかもしれない、可能性は否定できないと書いたが、その後読み返してみてやはりその可能性はあるなと。さらにフョードルも父親である可能性があるのでスメルジャコフの母スメルジャチフは双方と関係していたのかもしれない。 スメルジャコフの不自然な自殺は謎だがあるいはこの事実と関係があり、書かれなかった第二部への伏線になっていたのかもと想像してみる . . . 本文を読む
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「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」と「カラマーゾフの兄弟」のリンク

2018-02-03 11:31:25 | カラマーゾフの兄弟
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」には「カラマーゾフの兄弟」の言及がいくつか見られる。村上春樹はドストエフスキーの小説に影響を受けたと書いているがその具体的な箇所に気がついたのでメモをしておこう。 ドストエフスキーの小説の登場人物の抱えている欠点はときどき欠点と思えないこともあって、それで彼らの欠点に百パーセントの同情を注ぐことができなくなってしまうのだ。 P276「世界の終わ . . . 本文を読む
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小林秀雄「カラマアゾフの兄弟」

2017-12-26 22:34:05 | カラマーゾフの兄弟
ドストエフスキーのカラマゾフの兄弟で著者はまえがきでながながとアリョーシャが主人公だと説明し、最後まで読んでもらえばわかるともったいぶりながら、最後まで読んでもアリョーシャは善人でさほど陰影のある人物でもなく、なぜドストエフスキーはこのような前口上を延々と述べたのかわからないままに終わる。むしろイワンが主人公だと思ったが、次の小林秀雄の続編説をみるとなるほどなとも思う。しかし書かれなかったものまで . . . 本文を読む
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「カラマーゾフの兄弟」奇跡、神秘、権威の難問

2017-11-15 18:50:35 | カラマーゾフの兄弟
奇跡、神秘、権威のうち、奇跡と神秘の差がよくわからなかった、 Wikipediaで調べても下記のように差がよくわからない。 神秘とは、人間の知恵では計り知れない不思議、普通の認識や理論を超えたこと、奇跡は、神など超自然のものとされるできごと。人間の力や自然法則を超えたできごととされること。 なのに「カラマーゾフの兄弟」では奇跡、神秘、権威が人をコントロールする三種の神器になっている。同じ意味の . . . 本文を読む
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カラマーゾフの兄弟 3

2016-06-27 19:01:32 | カラマーゾフの兄弟
ドミトリー 長男ドミトリーは、冤罪のシベリア送りを原罪を償うためにという理由で納得する。この男の宗教観は、世界に不幸な子供達が存在する事が自らの罪と考える原罪意識をもつ男で、イワンと対照的に自分の罪として引き受けてしまう。長男、次男で全く異なるタイプに描かれるが実は彼ら兄弟の不幸の原因は両者ともに深層に漂う罪の意識なのだ。直情型で高潔の長男と知性型の次男は表出の仕方が異なるだけで根キリスト教 . . . 本文を読む
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それぞれのキリストを描く

2016-05-02 09:58:57 | カラマーゾフの兄弟
レイモンドチャンドラーのロング・グッド・バイ村上春樹訳あとがきを読んだ。ロンググッドバイはフィッツジェラルドのギャツビーを意識していると書かれている。 ロング・グッド・バイではテリーに対するマーロー、ギャツビーではジェイ・ギャツビーに対するデイジー・ブキャナン、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟でイワンに対するアリョーシャ、1Q84の青豆に対する天吾を合わせて考えてみると思い当たることがある。 . . . 本文を読む
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良寛とカラマーゾフの兄弟のゾシマそしてドミトリー

2015-11-30 12:17:14 | カラマーゾフの兄弟
良寛は越後出雲崎の庄屋、山本家の出身だが弟の由之があとを継いでいる。その息子の馬之助は放蕩息子で良寛に説教を以来する。しかし逗留中に説教はせず、(できず)去り際に馬之助に良寛のわらじの紐を結ばせる。そのとき馬之助の頭に良寛の涙が落ちた。その涙に感じた馬之助は放蕩をやめた。 有名な説教話だが、カラマーゾフの兄弟でゾシマ長老がドミトリーの足に接吻するところを想起した。どちらも宗教者が放蕩三昧の相手に . . . 本文を読む
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ゾシマの言葉

2015-11-30 11:12:47 | カラマーゾフの兄弟
ゾシマの感動手記引用メモ もし周囲の人々が敵意を持ち冷淡で、お前の言葉をきこうとしなかったら、彼らの前にひれ伏して、赦しを乞うがよい。なぜなら実際のところ、お前の言葉をきこうとしないのは、お前にも罪があるからである。相手がすっかり怒って話ができぬ場合でも、決して望みを棄てず、おのれを低くして黙々と仕えるがよい。もしすべての人に見棄てられ、むりやり追い払われたなら、一人きりになったあと、大地にひれ . . . 本文を読む
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「カラマーゾフの兄弟」イワンの宗教観

2015-10-23 19:27:59 | カラマーゾフの兄弟
カラマーゾフの兄弟 次男イワンの宗教観について ・イワンはもうひとりの主人公か カラマーゾフの兄弟3人はいずれも個性的で作者は肯定的に奇人と称している。イワンは旧来の教会が主導する神と近代人の理性の相克を克服できない、我々の身につまされる人物として描かれる。競争社会には向かないが聖性にあふれる人物を代表する三男アリョーシャと双璧をなす主人公といってもよい。もう一人の長男ドミトリーはロシアの大地 . . . 本文を読む
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