まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

パクリ?

2009-12-15 19:45:34 | お仕事のオキテ
このあいだの週末は花粉症で調子悪かったので、
ずっと家にこもって昔見た映画をもう一度見直していました。
(こないだの 『サイダーハウスルール』 もそうだけど、なんか最近、懐古趣味)
そこで今さらながらに気づいたことを。

ひとつは 『バックドラフト』 という映画を見ました。
消防士の活躍を描いた映画で、ウィリアム・ボールドウィン主演、
カート・ラッセルも準主演、ロバート・デニーロが共演、
大好きなスコット・グレンが脇を固めるという豪華なキャストです。
公開当時は火災の炎をみごとに映し出したということで評判になった映画です。
わざわざ映画館まで見に行ってけっこう気に入っていた映画でしたが、
久しぶりに見てみたらちょっと気になった点が…。

連続放火事件が発生して、
ウィリアム・ボールドウィンとロバート・デニーロがその捜査をしていくのですが、
なかなか犯人像がつかめず、捜査が難航しているところでどうしたか。
主人公が、監獄に収監されている連続放火魔のところに話を聞きに行ったのです。
この放火魔は火を愛していて、火災現場の情報から犯人像を割り出してしまいます。
しかし、彼はすぐには答えを教えてくれません。
彼は主人公に子どもの頃の記憶 (現場で亡くなった消防士だった父のこと) を話すよう要求し、
それと引き替えに犯人像を教えてあげるのです。
そうです。
これは 『羊たちの沈黙』 とまったく同じパターンではありませんか。
あれほどおどろおどろしくはないけれど、
2人の会話は、スターリング捜査官とレクター博士のやりとりを彷彿とさせるものでした。

どちらがパクったのでしょうか。
『バックドラフト』 は1991年の映画ということで、
私の印象では、『羊たちの沈黙』 のほうがもっと最近の映画だったような気がします。
ただし、『羊たちの沈黙』 の場合には原作があるので、
それが何年に書かれたのかも確かめなくてはなりません。
調べてみたところ、映画 『羊たちの沈黙』 は 『バックドラフト』 と同じ1991年公開、
小説 『羊たちの沈黙』 はそれに先立つ1988年の刊行でした。
どうやら 『バックドラフト』 のほうがパクったようです。
映画が同年に公開されたというのは奇遇でしたね。
『踊る大捜査線THE MOVIE』 では狙った上でのパクリでしたが、
(小泉今日子がレクター博士役)
『バックドラフト』 のパクリ方はそれよりはいやらしいと言えるかもしれません。

もう1本。
『デーブ』 という映画も見ました。
大統領のそっくりさんが影武者のバイトをしていたら、
本物が意識不明の重体に陥ってしまい (まだ死んでないけどいわゆる腹上死)、
憲政の危機を心配した側近たちに頼まれて、
そのまま大統領のフリを続けることになるという映画です。
ケヴィン・クラインが大統領と2役、
大統領夫人がシガニー・ウィーバー (まだ若い!)、
副大統領がベン・キングズレー (ガンジーを演じた人)、
大統領警護官にヴィング・レイムズ (『M.I.』シリーズでトム・クルーズの仲間の黒人)と、
キャストも豪華な私好みのコメディです。

(ここから先はネタバレ気味なのでお気をつけください!)
これも1993年公開と、けっこう古い映画なので、
細かいストーリーなどはすっかり忘れていましたが、久しぶりに見直してみると、
随所で昨年の月9ドラマ 『CHANGE』 とダブってくるのです。
まずもって、政治の素人が傀儡として国家元首にさせられるのだけれど、
まわりの不安をよそに善政を行ってしまうという大枠の設定がかぶっています。
それを仕組んだフィクサーがワルであるというのもいっしょです。
自分がやったわけではない汚職で窮地に追い込まれるところも同じです。
国会演説中に倒れてしまうところ、
そして最後のまとめ方など、
「なんだ、リメイクだったの?」 と思ってしまうほどの重なり具合です。

ただし、影武者が大統領のフリをするというのと、
政治の素人が本当に政治家になり首相になったというのとでは、
やはり基本設定が大きく違っていますし、
2時間の映画と1クールのドラマとでは描き込める情報量が違いますので、
単純にパクったとは言い難いでしょう。
ストーリー展開として参考にしたとか、影響を受けたといったぐらいなのだろうと思います。
逆に言うと、名作というのはそれぐらい影響力をもつものなのでしょう。
他の作品に影響を与えることのできる作品、のちの人びとにパクられるような作品、
それこそがまさに 「古典=クラシック」 なのではないでしょうか。

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