がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

川崎フロンターレ 我那覇和樹選手の名誉回復を願う

2007年11月24日 | Weblog
2007年11月23日記載

タイトルに関し、私の思う所を記したい。(私は我那覇選手の行動に問題・責任は無かったと考えているので、我那覇選手寄りの立場で文章を記載する。)



川崎フロンターレ所属の我那覇和樹選手(当時26歳)がドーピング違反の嫌疑をかけられ、Jリーグのドーピング規程違反と認定されたのは、今年4月下旬に行われた以下の行為に対してである(ようである。現認していないので、伝聞であることをご承知おき願いたい)。



試合を控えていた我那覇選手は37.5度の熱を発し、下痢をしていた。食欲不振でもあった。この症状に対し、チームドクターであった後藤秀隆医師が、報道では「にんにく注射」と呼ばれた点滴を行った。「にんにく注射」という摩訶不思議な表現を使うこと自体問題であるのだが、後藤秀隆医師が点滴で投与したのは、ビタミンB1をはじめとしたビタミン類を含んだ生理食塩水200mlである。妥当な医療行為であると思う。

便意は飲食物が腸に入り腸が刺激され、起き上がった際に腹圧がかかることによって催される。ベッドに横になってもらって下痢にならないよう注意しながら、風邪と思われる症状を呈している我那覇選手にビタミンB1をはじめとしたビタミン類入りの点滴を注入することは至極真っ当な医療行為である。下痢による脱水は一般に考えられる以上に深刻な健康上の問題である。

この時点で、我那覇選手が栄養の経口摂取が可能であったのか否かはわからないが、経口摂取が可能な場合は静脈に点滴を禁止する旨の規定はどこにも存在しない。



しかし、静脈に点滴する行為がドーピングと認定されてしまい、我那覇選手は制裁を受けることとなった。

この時のJリーグドーピングコントロール委員会委員長青木治人の言葉が奮っている。曰く、「トリノ五輪では、オーストリア選手が静脈注射を打っただけで永久追放された。それと同じと考えてもらっていい。」

馬鹿も休み休み言え。何を言ってるんだこいつは。私の調べた範囲では青木治人が言っているのは「スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、トリノ冬季五輪でドーピング違反があったとして国際オリンピック委員会(IOC)から成績抹消と五輪からの永久追放処分を科せられたオーストリア6選手のうちスキー距離の男子4選手が処分の取り消しを求めてCASに提訴したと発表した。 マルティン・タウバー、ユルゲン・ピンター、ローラント・ディタート、ヨハネス・エダーの4選手はバイアスロンの2選手とともに、選手村外のチーム宿舎でイタリア警察の家宅捜索を受け、禁止薬物や輸血用器具を押収された。五輪のドーピング検査で禁止薬物は検出されなかったが、IOCは五輪後、当局から提供された証拠などをもとに処罰するのに十分な根拠があると判断した。」との事案だと推測されるが、これと我那覇選手に行われた医療行為が、全く同列に論じられないのは馬鹿でもわかる。馬鹿以下ということか。

この事案のことを指しているのではないと青木が言うのであれば、どの事案を想定して「トリノ五輪では、オーストリア選手が静脈注射を打っただけで永久追放された。それと同じと考えてもらっていい。」と言ったのか明らかにして欲しい。



我那覇選手がJリーグの選手であることを隠し、チームドクター以外から医療行為を受けたのであれば、制裁される可能性は生じるかもしれない。

しかし、我那覇選手はJリーグ規約第91条に従い、チームドクターに疾病の状態を伝え、チームドクターが正当と考える医療行為を受けたに過ぎない。我那覇選手のどこに落ち度があったのか。我那覇選手に制裁を加える根拠はどこにあるのか。我那覇選手は何のどの規定に違反したのか。実質的処罰根拠は何なのか。我那覇選手はチームドクター以上に医療行為に精通し、自らに投与される点滴袋の内容物を確認すべき義務があったのか。実際にそんなことが可能だったのか。我那覇選手は無過失責任を負うべきなのか。病気が悪化する可能性を受け入れて我慢して試合に出場するべきだったのか。スポーツ選手は病気になったら気合で治すか、職場放棄して欠場するしかないのか。我那覇選手のプレーを楽しみに応援しに来てくれているファンにどのような説明が可能なのか。我那覇選手はどうしたら良かったのだろうか。疑問・不満・苦悩は深まるばかりである。(本件に関し、チームドクターが処分を受けたならば、まだ多少の理解は出来なくもない。しかし、我那覇選手が制裁を受けなければならない理由は全く見出せない。)



そしてこれが私が勝手に考えているだけであれば、余計なお世話もいい所だとの誹りを受けるかもしれない。

しかし、我那覇選手は本年11月13日に会見を開き涙ながらにこう語っている。

「自分の気持ちとしては、仲裁の場で真実を明らかにしたい。チームが僕のことを思って、(問題を)終わらせたいのは分かるけど、サッカー選手を引退した後、汚名を抱えたまま生活していくのは苦しいですから。」

「納得できないでモヤモヤしていた。この場で言わないと、一生後悔すると思ったので発言しました。」

「僕はそれ(出場停止)を覚悟してやっていきたいと思う。チームと対立はしたくない。チームが意見を聞いてバックアップしてほしい。もう1度、仲裁の場があればいいし、白黒はっきりさせたい。」



我那覇選手のこの気持ちが変わらない限り、微力ながら応援し続けていきたいと思う。

一生「ドーピング有罪者」とのレッテルを貼り続けられることは、Jリーグや株式会社川崎フロンターレが考える以上に遥かに重い個人の尊厳に関わる問題である。



我那覇選手の名誉が回復される日が来ることを願ってやまない。




以下に参照規約・規程等を掲載しておく。

・Jリーグ規約第88条の2③:ドーピングの定義、ドーピングテストの手続き、違反者に対する罰則その他ドーピングに関する事項は、理事会が制定する「ドーピング禁止規程」の定めるところによる。



・Jリーグ規約第89条〔禁止事項〕(3):国際サッカー連盟(FIFA)が定める禁止物質の使用



・Jリーグ規約第91条:選手は、疾病および傷害に際してはすみやかにJクラブに通知し、Jクラブの指示に従わなければならない。



・Jリーグ規約第165条:チェアマンの下す決定はJリーグにおいて最終のものであり、当事者およびJリーグに所属するすべての団体および個人はこれに拘束され、チェアマンの決定を不服として裁判所その他の第三者に訴えることはできない。(※こんな規定を置いていること自体大問題である。国民の裁判を受ける権利を剥奪している。直ちに削除するべきである。)



・ドーピング禁止規程第2条①:本規程においてドーピングとは、世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という)および国際サッカー連盟(以下「FIFA」という)に規定されている内容と同一の定義とする。



・ドーピング禁止規程第2条②:WADAおよびFIFAが世界アンチ・ドーピング規程を変更した場合は、自動的に変更される。



・The World Anti-Doping Code:http://www.anti-doping.or.jp/code/pdf/2007_ProhibitedList_En.pdf



・川崎フロンターレのドーピング問題および仲裁申し立てに関する見解:

現在報道されておりますように、後藤秀隆ドクターは2007年4月、我那覇和樹選手に対し治療行為として静脈注射を行いましたが、その行為に対してJリーグが科した処分の取り消しを求めて日本スポーツ仲裁機構(JSAA)への仲裁の申し立てをしました。その点に関するクラブの考え方をお伝え致します。

Jリーグは2007年5月、Jリーグドーピング禁止規程に則って「後藤ドクターが行った我那覇選手への静脈注射は合理的な医療行為とは認められない」と判断し、クラブに制裁金1000万円、我那覇選手に対して出場停止6試合の処分を出しました。
当時の我那覇選手の症状に対し、後藤ドクターが静脈注射を打った行為が医学的見地から合理的なものであったか否かという点については、医学上の高度な専門性を有する評価にかかわる問題であり、専門家の間でも未だ見解の分かれるところです。

以上のような状況において、クラブ及び我那覇選手が仲裁の申し立てを行った場合、どのような結果が出るかを予想することは非常に困難です。現段階において当該静脈注射を打った行為が合理的な医療行為ではなかったという判断が出される可能性を否定できない以上、クラブとしましては我那覇選手を守るためにこれ以上争うことは妥当でないと判断し、最終的にJリーグの処分に従うという結論に達しました。つまり、仲裁申し立てをなした結果、最終的に静脈注射が合理的な医療行為でないと判断された場合、国際サッカー連盟(FIFA)、世界アンチドーピング機構(WADA)等から我那覇選手に対し、独自の追加処分(出場停止1~2年)が下される可能性を否定することはできません。
クラブとしては、我那覇選手の選手生命を脅かす処分が下るかもしれないというリスクは、どのようなことがあっても回避しなければなりません。以上のような事情により、クラブとしては前述した結論に達しました。

後藤ドクターはクラブの考え方に理解を示した上で、チームを離れ独自の立場で手続きを進めるとおっしゃっていました。
後藤ドクターがチームを離れるのは非常に残念ではありますが、クラブはクラブの決めた方向で、ドクターはドクターの見地から、今回の問題と向き合っていきます。方向性は異なりますが、それはお互いの立場が違うからであって、根底に流れているものはどちらも同じで、川崎フロンターレを愛する気持ちだと思っております。

2007年11月7日 株式会社川崎フロンターレ



2 コメント

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全く同感! (tana)
2007-12-14 14:34:50
全く同感です!

この青木って人、聖マリアンナ医科大学 医学部 の人みたいですよ

http://read.jst.go.jp/public/cs_ksh_012EventAction.do?action4=event&lang_act4=J&judge_act4=2&code_act4=1000096828
tanaさんへ (当ブログ管理人)
2009-01-05 23:47:53
知っていました。
それだけに非常に強く非難しました。医師のくせにそんなこともわからないのかと。

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