飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

偏在する乱歩・W→シュヴァンクマイエル画「人間椅子」(エスクァイア マガジン ジャパン)

2007-09-13 | 江戸川乱歩
シュヴァンクマイエル画「人間椅子」(エスクァイア マガジン ジャパン)

“触覚主義”繋がりということでシュヴァンクマイエルは、江戸川乱歩の小説「人間椅子」とのコラボレーションを書籍で実現した。乱歩はそれこそ「盲獣」で触覚主義芸術論を展開、この「人間椅子」も触覚感覚小説そのものである。

コラボレーションとは書いたのですが、乱歩の方はすでに鬼門に入っている方なので、シュヴァンクマイエルの一方的なアプローチということになるのですが・・・。この稀有なチェコの幻想作家の作品を観ると、乱歩の作品をビジュアル化されたときに見られるステレオタイプ的な人間椅子の像は表現されていません。むしろ、先日原宿でシュヴァンクマイエル展を観に行き、そこで壮観に展示されていたドロドロとした作風に触れるとこの乱歩とコラボした絵などはどことなくポップに見えてきてしまうのだが。おまけに本にはパラパラ漫画つき。(彼のお家芸・アニメーションの原型!)

しかし、そのポップに映る人間椅子をテーマにしたシュヴァンクマイエルの絵ではあるが、きっちりというかアメーバのような、性器や口唇のような、原始生命体のような軟体性ものが椅子や女に配置されており、根源的な欲望を持った者どもの饗宴の様相を呈している。そういった感性は、江戸川乱歩には見られないもののような気がします。むしろ乱歩の世界はあっけらんとした性と生の表現はなく、根暗で捩れた暗黒の欲望を表現していると思うのですが、国境を越えた“触覚主義”繋がりのコラボレーション、彼らのいずれもボクの感性を大いに刺激し興味は尽きないのですが、その感覚の展開をいい意味で裏切る興味ある作品でありました。


■江戸川乱歩について
ビバ!江戸川乱歩・・・①
ビバ!江戸川乱歩・・・②
ビバ!江戸川乱歩・・・③
■シュヴァンクマイエルについて
「ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展」(ラフォーレ原宿)・・・触覚主義の創造#1
「ルナシー」・・・触覚主義の創造#2
「アリス」・・・触覚主義の創造#3


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