飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

澁澤龍彦、幻想の世界NO.15・・・「胡桃の中の世界」(河出文庫)

2007-09-20 | 澁澤龍彦
「胡桃の中の世界」(河出文庫)

今年の4月に埼玉県立美術館で開催された「澁澤龍彦―幻想美術館」展に端を発して、ボクの中で澁澤龍彦の見直し作業が始まり、彼の本をちょくちょくと読みその感想をこのブログに書いてきた。

しかし、読後の感想をうまく表現できないというのが正直な気持ちであった。流暢な文体とともにそこで語られていることは、その文章の数行から一冊の幻想譚が書けてしまうのではと思えるほど、博学的な知識とイマジネーションの解釈が詰まっているのであるが、けっして立ち止まることはなくスルーと読めていけるのである。それは、もしかしたら密かに思っているのであるが、澁澤形とも呼べるような型を成しているように見えるのだ。

澁澤は世界に散在する膨大な情報の中から彼の目と頭脳を通じて再構成されていくわけであるが、そこは立ち入る隙がない程の世界が形成され、見事にデザインされたCM(コマーシャル・フィルム)を見ているかのような感覚に陥るのである。とくにこの「胡桃の中の世界」は一際光っており、凹凸のないスベリ台を滑っていくようである。

それは、たとえば澁澤龍彦特集が組まれたユレイカ8月号に寄稿された「胡桃の中の世界」についての春日武彦氏のの批評、“綴られている文章のソツのなさである。抵抗感がない。違和感がない。言い過ぎの部分も言い足りない部分もなく、
すらすらと読める。”“体臭が希薄である。”“誰もが漠然と感じていることをきちんと言語化しているが、やはりソツがないというか月並みである。目新しい指摘で脳が活性化されるような刺激をもたらすことはない。言い換えれば自己完結しているのであって、読者は心の中で澁澤と向き合いつつアールグレイでも飲んでいればよろしい。澁澤に反論したり、口角泡を飛ばしてはいけないのである。そこが喜びであり、また物足らなさでもある。”といった評価に繋がってくるのであろう。



その発言は半分当たっているし、半分当たっていない。しかし、間違いなく読み取っていけるのは澁澤龍彦はすこぶる明晰であること。もしかしたら文系の仮面を被った理系の思考をしていたのかも知れない。


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