
■日時:2009年8月12日8(水)
■劇場:歌舞伎座
■原作:三遊亭円朝
■出演:中村勘三郎、中村橋之助、中村福助、他
昨日の記事にアップのとおり、事前に桂歌丸の落語(CDで)を聞いておいた「怪談乳房榎」を歌舞伎座で見ました。その感想はというと、何よりも面白かったことですねぇ。歌舞伎を見た!って感じです。いい意味でカタルシス感もあるお芝居でした。話のテンポいいし、芝居の長さも集中力が持続できるころあいで丁度いい。話はもともと無理があるもののそれは歌舞伎なので許される?なぜこの三遊亭円朝の落語を歌舞伎にしたものが人気があるのかがわかるような気がします。思いっきりエンタテイメントに仕上がっているんですよね。勿論、怪談話なので人間の持っている欲望の深さとか、それから派生する恐ろしさというのもあるんだけれども、話の展開の奇想さがそれを打ち消してしまうようで。
さらに、このお芝居では円朝の原作にはないキャラクター蟒三次という悪役を登場させたことに成功があると思います。それにより勘三郎の早変わりという別の要素が物語に加わわり楽しさが増すことと中村橋之助が演じる磯貝浪江の色気たっぷりの悪党が強調されることになるからです。特に大詰の大滝の場面で滝が割れて登場する幽霊となった菱川重信、創作キャラの三次と正助の殺戮の展開を早変わりと本水の滝の迫力により、一気に別次元に飛ばされるような感覚の派手なスペクタル性を持った舞台となります。それは怪談という怖い話を突き抜けて大人の紙芝居といった様相を呈していると思いました。
そのエンタテイメントの魅力の中でも印象的なのが、中村勘三郎の早変わりの芸でした。今まで何回か早変わりの歌舞伎を見たのですが、この勘三郎の早変わりが一番良かったです。観客の反応も一番あったように思いました。何でだろうと考えたのですが、他の役者さんと比べてほんの数秒なんでしょうが早いんじゃないかと思わせるところではないだろうかと。実際は違わないのかもしれませんが、変わったあとの演技のメリハリがきいているのか、そのように感じてしまうのかもしれません。あるいは、勘三郎という稀有な役者の個性がより早変わりを際立てているんだろうか?
このところ勘三郎が出演している歌舞伎を見ているのですが、舞台上での存在感が図抜けているのを感じていました。天性の役者って印象です。観客を引きつける術というのを知っているような。勘三郎という役者に対してそれまで特に何も思わなかったのですが、歌舞伎を見始めてから彼の凄さを知ったっていう感じです。こう見ていると、器用さと不器用さがない交ぜに混在していて、それが微妙なバランスで魅力を放ち、役者として舞台に立って観客の前にいるんだというプロとしてのプライドの高さとサービス精神の旺盛さをも感じさせてくれる…。まったくもって稀有な役者だと思います。今まで名前とテレビのモニターでしか勘三郎という存在を知らなかったわけですが、歌舞伎を見始めてすばらしい役者魂を持った勘三郎という存在を感じることができたのはラッキーと素直に思います。
最後に落語家・円朝の扮装となった勘三郎がせりあがってきて、そこでこのお芝居が乳房榎というタイトルが付いている所以を語るわけですが、もしそれがないとなんで乳房榎なの?と思ってしまいます。端折るような展開は歌丸の落語と同じでした。
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■劇場:歌舞伎座
■原作:三遊亭円朝
■出演:中村勘三郎、中村橋之助、中村福助、他
昨日の記事にアップのとおり、事前に桂歌丸の落語(CDで)を聞いておいた「怪談乳房榎」を歌舞伎座で見ました。その感想はというと、何よりも面白かったことですねぇ。歌舞伎を見た!って感じです。いい意味でカタルシス感もあるお芝居でした。話のテンポいいし、芝居の長さも集中力が持続できるころあいで丁度いい。話はもともと無理があるもののそれは歌舞伎なので許される?なぜこの三遊亭円朝の落語を歌舞伎にしたものが人気があるのかがわかるような気がします。思いっきりエンタテイメントに仕上がっているんですよね。勿論、怪談話なので人間の持っている欲望の深さとか、それから派生する恐ろしさというのもあるんだけれども、話の展開の奇想さがそれを打ち消してしまうようで。
さらに、このお芝居では円朝の原作にはないキャラクター蟒三次という悪役を登場させたことに成功があると思います。それにより勘三郎の早変わりという別の要素が物語に加わわり楽しさが増すことと中村橋之助が演じる磯貝浪江の色気たっぷりの悪党が強調されることになるからです。特に大詰の大滝の場面で滝が割れて登場する幽霊となった菱川重信、創作キャラの三次と正助の殺戮の展開を早変わりと本水の滝の迫力により、一気に別次元に飛ばされるような感覚の派手なスペクタル性を持った舞台となります。それは怪談という怖い話を突き抜けて大人の紙芝居といった様相を呈していると思いました。
そのエンタテイメントの魅力の中でも印象的なのが、中村勘三郎の早変わりの芸でした。今まで何回か早変わりの歌舞伎を見たのですが、この勘三郎の早変わりが一番良かったです。観客の反応も一番あったように思いました。何でだろうと考えたのですが、他の役者さんと比べてほんの数秒なんでしょうが早いんじゃないかと思わせるところではないだろうかと。実際は違わないのかもしれませんが、変わったあとの演技のメリハリがきいているのか、そのように感じてしまうのかもしれません。あるいは、勘三郎という稀有な役者の個性がより早変わりを際立てているんだろうか?
このところ勘三郎が出演している歌舞伎を見ているのですが、舞台上での存在感が図抜けているのを感じていました。天性の役者って印象です。観客を引きつける術というのを知っているような。勘三郎という役者に対してそれまで特に何も思わなかったのですが、歌舞伎を見始めてから彼の凄さを知ったっていう感じです。こう見ていると、器用さと不器用さがない交ぜに混在していて、それが微妙なバランスで魅力を放ち、役者として舞台に立って観客の前にいるんだというプロとしてのプライドの高さとサービス精神の旺盛さをも感じさせてくれる…。まったくもって稀有な役者だと思います。今まで名前とテレビのモニターでしか勘三郎という存在を知らなかったわけですが、歌舞伎を見始めてすばらしい役者魂を持った勘三郎という存在を感じることができたのはラッキーと素直に思います。
最後に落語家・円朝の扮装となった勘三郎がせりあがってきて、そこでこのお芝居が乳房榎というタイトルが付いている所以を語るわけですが、もしそれがないとなんで乳房榎なの?と思ってしまいます。端折るような展開は歌丸の落語と同じでした。
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歌舞伎を見た!という感じがしました。
こういうのもいいです。
堅苦しいのも、世話ものも、いろんな顔があるので、飽きません。
勘三郎さんは、歩き方とか、呼吸とか、そういうところが好きです。
私も、今の時代の歌舞伎をみることができて、うれしいです。
ほんと面白かったですね。勘三郎のカツラがとれてしまうハプニングがあったんですね。そりゃすごい。
他の方のブログを読んでいたら、地震に遭遇したこともあったようで。客席が騒然とするなかで、揺れが止まると勘三郎さんがギャグをアドリブで言っていたようで。
すごい役者だなあと思います。
お国と五平のときに地震が…
何事もないかのように進んでいましたが
私は崩れたらどうしようかとひっやひやでした。
勘三郎さんはアドリブが本当にお上手だそうですね。
なんでも以前かつらが取れた際には
「なんだかきょうは涼しいな!!がはは」
と言ったとか言わないとか。
お国と五平の時にもあったんですか・・・。
歌舞伎座は古い建物ですから怖いですよね。
“なんでも以前かつらが取れた際には
「なんだかきょうは涼しいな!!がはは」
と言ったとか言わないとか。”
は、ユニークな切り返しです。ますます勘三郎さんの役者魂を感じてしまい、思わず拍手って感じです。
またよろしくお願いします。