飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

変身人間シリーズ②⇒映画「透明人間」(監督:監督:小田基義)

2010-02-02 | ワンダーゾーンの世界
■公開:1954年
■監督:小田基義
■出演:河津清三郎、高田稔、土屋嘉男、植村謙二郎、三條美紀、他

青い性が芽生え始める子供の頃に、もし透明人間になったら…とあらぬ夢想をしたことは、男であれば誰にでもあることではないでしょうか?透明人間だったら女湯を覗いても気づかれないよなとか、程度の低いアホなことを考えたりするもんです。男の子なんて、しょせんはその程度のレベルを想像してワクワクしたりしているんです。そして今回見た変身シリーズの映画は“男の子”の欲望を具現化した透明人間であります。

この映画が作られたのは1954年で50年以上前の作品です。映画の冒頭は銀座の街で透明人間が車に飛び込み自殺するという場面から始まります。それを見ていきなり思ったのは、銀座の商店街が古さをすごく感じさせるということ、今で比べれば街外れの寂れた商店街とそんなに変わらない風景と同じような感じです。そして透明人間の自殺事件が街頭テレビで放送されます。街頭テレビですから、力道山の時代です。否が応でも時代の古さを感じざる得ません。むしろ時代劇を見ているほうが、別時代・別世界のものとしてあらかじめ見ているので画面から古さを逆に感じずにいることができるかも知れません。登場人物が今のボクらと身なりが同じなので逆に古いなと気になってしまいます。



その街頭テレビからは、透明人間が戦争のときに特殊部隊として作られたもので、その部隊は玉砕したが二人だけ生き残り、自殺したのはその一人であると報道します。戦争は一方でとんでもない技術革新を起こすわけですが、映画は先ほど古いとはいいながらもどんどん復興をとげていく日本に、実は戦争の暗い影を、戦争の傷、負の遺産を引きずっていることを提示しているのです。

戦争の犠牲者である透明人間、彼は日常はピエロに変装し姿をくらましています。その透明人間に映画は心を休ませてくれる存在として盲目の少女を絡めています。盲目の少女と透明人間は仲がいい。物を見ることができない少女と肉眼では見ることのできない男の心で繋がった関係を描いています。アホな男の子が夢見る?エッチな行動はありません。(少しくらいあったほうがよかったのですが・・・、ボクの好みとしては)普通の男として生活できない悲劇として描いているのです。ちなみに、お色気サービスとしてはキャバレーのダンスシーンがある程度。それよりも注目すべきは工夫した特撮シーンです。どうやって撮影したんだろうと思わせるチャレンジ精神の高さ。特撮監督は円谷英二、さすがだなあと思いました。


映画とは関係ないのですが、ピンクレディの「透明人間」の映像です。


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