飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

乱歩NO.73・・・<「屋根裏の散歩者」/2007年>

2007-07-09 | 江戸川乱歩
「屋根裏の散歩者」/2007年

■公開:2007年
■製作:アートポート
■監督:三原光尋
■主演:嘉門洋子、窪塚俊介

エロティック乱歩と題されたシリーズの第2作目です。前作同様、公開初日に行ってきました。(7月7日の七夕の夜)舞台挨拶には主演の嘉門洋子と窪塚俊介が登場。嘉門洋子のややボケたトーク。印象は意外と窪塚と比べると嘉門は顔がでかい?

まあそれはそれとして、映画のほうであるが、この作品も「人間椅子」と同様に原作は見るべもなく改変されている。乱歩の着想を得た別の作品と理解したほうがよい。



大正モダン都市に生きる奇妙な男を描いたはずの原作が、人里離れた古風な館の物語となってしまっていた。現代へとその設定を変えたため屋根裏に登ることができる屋敷となると、そうせざる得ないのかもしれない。

そして舞台挨拶で嘉門洋子のおっとりした感じの印象を引きずっているのか、映画の中でのいかにもといった演技が気になってくる。ほとんど彼女が出ずっぱりの作品、その魅力が全開といって欲しいのだが、残念ながらそうはなっていない。主人公が、奇妙で怪奇な絵を残した画家・郷田三郎にまず惹かれ、その痕跡を取材するという話から始まるのであるが、その作品に惹かれてしまう主人公の内面をもっと描くべきではなかったか。やたら健康的に演じ描かれているため、取材&興味の動機づけで屋根裏に上がっていくには無理を感じてしまう。

映画は小説とは違いリアルに現実を映しこんでしまう為、感情的リアル感を呼び起こすような脈絡と演出が重要であろうと。本作品はたしかに「屋根裏の散歩者」なのではあるが、嘉門が燃えさかる屋敷を背景に阿鼻叫喚の叫び声のショットにおいて乱歩的世界から大きく外れてしまい、ジャパニーズ・サイコ・ホラー・ムービーとなってしまっていた。

裂けた赤いドレスから覗く豊満な肉体を覆う黒い下着と豊穣な太腿、そこに這う芋虫。それがこの映画で記憶に残った映像であった。



※江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」に関する過去記事はこちら
  ↓   ↓   ↓   ↓
乱歩NO.8・・・<江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者/1976年>
乱歩NO.9・・・<屋根裏の散歩者/1992年>
江戸川乱歩の研究?9⇒「屋根裏の散歩者」から
江戸川乱歩の研究?10⇒「屋根裏の散歩者」から
漫画no乱歩#9⇒「屋根裏の散歩者」長田ノオト/秋田書店

※江戸川乱歩関するその他の過去記事はこちら(最近のものは含んでおりません)
  ↓   ↓   ↓
ビバ!江戸川乱歩・・・①
ビバ!江戸川乱歩・・・②
ビバ!江戸川乱歩・・・③

ブログでアフィリエイトするならこちら↓↓




もしよろしければ
クリック、お願いします。 ⇒


関連書籍DVDはこちら↓↓
■小説
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者

光文社

このアイテムの詳細を見る

■DVD
屋根裏の散歩者〈完全版〉

ジェネオン エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者

ジェネオン エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る

■漫画
江戸川乱歩屋根裏の散歩者

秋田書店

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1冊/週の新書・第22週・... | トップ | 骨太・今村昌平の映画NO.... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

江戸川乱歩」カテゴリの最新記事