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露米軍事協力は対等、相互主義を基盤に

2009-08-05 | ラジオ
アメリカ国防総省は国務省の高官たちは、米露の軍隊は相互理解
と協力を発展させていくべきたとの考え方を口々に述べた。
こうした発言の数々は、露米間のいわゆるリセットの雰囲気に完全
に合致している。
つい最近までアメリカ政府内では、協力という言葉を口に出さない
ほうが良いとされていた。

これは昨年8月のカフカスの悲劇的な出来事のせいというよりも、ホ
ワイトハウスの一繋がりとなった、一貫した行動の鎖の一つと言う
べきものだった。
NATOを旧ワルシャワ条約機構加盟諸国や、旧ソ連邦構成共和国に
拡大しようとする、アメリカの頑固な押し付け政策も、そうした鎖の一
つと言っていいだろう。

今も状況はそう変わっていない、ポーランド及びチェコにMDを配備しよ
うというアメリカ政府のプランもある。
これもまだ最終的には放棄されていない。
こうしたこと全て、そして他の多くのことは両国間の信頼強化ばかりで
なく、協力発展の助けに殆どなっていない。
7月はじめのオバマ大統領のモスクワ訪問の後、しかしトーンが変わっ
た。
カフカス戦争の評価においては意見の食い違いは存在はするものの、
テロリズムとの闘い、そして21世紀共通の脅威への対抗といった方向
での、共同行動の必要性の認識、理解が今後露米が進むべき道を切
り開きつつある。

オバマ大統領がモスクワ滞在中に調印した枠組合意は、まさにそうした
方向に向けられたものだ。
アメリカ議会での聴聞会でアメリカ国防総省高官は、米露間の軍の間の
関係は対等、相互主義、バランスそしてNATOとの同調、シンクロナイズ
といった原則をベースにしたものになるだろうと述べたが、この言葉が実
際どんな充実した中身を持つかどうか、それは時が示してくれるだろう。

そうした協力の最初の兆候となったのが、ロシアがアメリカの軍事物資
および軍人の自国領内通過に同意したことだった。
ミサイルの脅威に付いて共同で話し合うことを目的とした、第一回目の会
議出席のため代表団がモスクワにやってくることも期待されている。
いずれにせよ東ヨーロッパへのMD配備に関して、ロシアが抱いている懸
念は、今や門前払いされるような状況は無い。

もし将来、双方がミサイルの脅威に対し共同で対抗することで合意に達し
たならば、協力は現実のものになるチャンスを持つだろう。
ロシアの政治学者ニコノフ氏は、協力もあるが多くの問題もまた存在してい
ると考えている。
「露米関係のリセットの持つ深さというものを、私達は近々知ることになるだ
ろう。いずれにしてもモスクワでの露米大統領会談の、極めて希望の持て
る成果の数々の後、バイデン副大統領含めアメリカの要人たちが行った発
言のなかには、より慎重なやり方を強く主張するものがあるのだ」
ニコノフ氏は、このような見解を示している。

アメリカ行政府はバイデン副大統領の、反ロシア的なレトリックを和らげよう
と試みたが、ロシアへのアプローチに表裏がある。
また二心があるといった感じが残った。
一方アメリカ国防総省は中国との軍事関係のリセットに付いても明らかにし
ている。
これは希望を抱かせるものだ。少なくともライバルとしての競いあいではなく
共通の脅威に直面しているという理解が協力を先ず第一の課題てして提起
しているからだ。

日米軍事同盟史研究―密約と虚構の五〇年

小泉 親司
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7月29日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル