安倍首相がなにかと自慢するのが祖父の岸信介(のぶすけ)。戦前は官僚として満州の開発を主導。
太平洋戦争開戦時の東条内閣では商工大臣を務め、戦争犯罪の容疑で逮捕された人物です。
ところが戦後、アメリカの占領政策の転換によって政界に復帰。
反共をかかげて保守勢力を結集し、1956年に自民党初の総裁選に立候補します。
買収の札束が乱れ飛び、これが戦後の金権政治のきっかけをつくったといわれます。
財界や闇の勢力にも人脈を築いた岸は権力の頂点まで上りつめ、その後も隠然たる力をふるいました。
「政治は力であり、金だ。力ある者のみが党内競争者を蹴落とし、その主導権を確立することができる」(『巨魁 岸信介研究』)。
金権政治といえば、有名なのは田中角栄ですが、岸も数々の汚職疑惑に名を連ねてきました。
それをすり抜けてきたのは、利権の構造のなかに身を潜め、張りめぐらした人脈を生かし、巧妙に立ち回ってきたからでしょう。
体質のように受け継がれてきた自民党の利権政治はいまも変わりません。本紙が暴露したゼネコン業界への献金請求書。
アベノミクスで推進する巨大公共事業と引き換えに、ゼネコンの業界団体に4億7100万円もの献金を求めていたのです。
党首討論で日本共産党の志位委員長は「文字通り政治を金で売る最悪の利権政治だ」と批判しました。
それを問題にもせず、まるで人ごとのようにふるまう安倍首相。金で動く政治が血縁のごとく、いつまでも引き継がれてはたまりません。