紅葉を愛でる

「只今の気温　０℃　凍結注意」

そんな道路標識を見ながら私達は山道を走り抜けて行く

私達・・・？

そう、久し振りの男旅である

切ないオッサン２人で行く哀愁漂う旅である

つーか

花紅号の車内は哀愁が満ち溢れていたのである

ＢＧＭは『ニシノカナ』が良く似合うはずだ

 

それは、昨日の昼過ぎに掛かってきた電話が始まりだった

「今夜行こうよ！」

「はぁ？」

「だ～か～ら　今夜行こうよ」

「はっ？」

「後の段取りは任したからね」

「ば、馬鹿やろ・・」

「ガチャッ！」

人の都合は考えず、段取りなんてのは棺桶に片足突っ込んでもやらない奴

Ｕからの電話だった

 

　　　まぁ　去年と一緒でええわな！　ギャハハハ！

　　　どうせ、助手席に座ってビール飲んでるだけだし　ウシシ！

私も考えるのが面倒臭かったのは事実である

 

花紅号に乗り込み、最初の目的地の温泉に向かう

「旅館の方には６時半を回るかもしれないけどお願いします！と頼んでおいたからよ

後は安全運転で頼むぞ！」

そう言った私はビールのプルトップを開けている

アクシデントも無く旅館に着き温泉に浸かる

体の芯から癒される極楽の瞬間だ

風呂から上がり、旅館のオバチャンに挨拶をしていたら

「ここの旅館が売店やってるから、こっちに行ってあげて！」

と、場所を案内してくれた

ついでにドリンクサービス券まで付けてくれたので、当初の予定を変更して

オバチャンの意見に従う事にした　決して、ドリンクに目が眩んだ訳ではない・・・

 

「まぁ、紅葉なんて何処でも一緒だわなぁ！」

そんな気軽な気持ちで現場に到着

「おっ！　結構賑わっとるがや！」

会場の入り口で２００円を払っての入場

真っ赤になったモミジの木々がライトアップされそれらしい雰囲気を醸し出している

暫らく歩いて行くと・・・

驚きの風景が飛び込んできた

水面に映る『逆さもみじ』である

風も無く、面ツルの池　まるで鏡のようだ

「こりゃぁ　凄げぇな！　来たかいがあったな」

と、顔を見合すオッサン２人・・

本の少しストレスから解放された気分

が・・・

 

 

 

今年もまた、帰りにクソ不味いラーメンに付き合わされた私だった