
杉浦日向子さんには、江戸のスローな時の流れを教わった。
新幹線で日帰り出張などしつつ飛び回る現代人について書いた
「スーパーマンの涙」というエッセイがある。
(1985年に書かれたもの。「大江戸観光」収録)
「つまるところ、ほんとうに、人間らしい生き方というのは
生物機能に見合った生活規模内にあるものなのでしょう。
歩く速度でものを見、考える。
江戸時代の生活速度は、人間の機能にかなっていました。
時速数百キロの速度で、空間を移動するなどとは、生物として
考えられないことです。
それを、日常茶飯にしている怖さを感じます。
江戸人が一生かけてやった仕事を、たった数ヶ月でやってしまう私達。
江戸人の、100人分の人生のダイジェストだって演じられる私達。
ありがたいようで、便利なようで、豊かなようで、そのじつ、
江戸人の百倍も千倍も哀しいスーパーマンは、
線路脇のゲンゲに涙するのです。(略)
二十世紀は生産と行動の時代、たぶん、二十一世紀は抑制と思慮の時代・・・
やさしい世紀の到来にしたいですね。」
(杉浦日向子さん著「スーパーマンの涙」より抜粋)
ああ、この人は身もこころも 江戸人だったのだなあ。
そして日本漫画協会優秀賞を受賞した「合葬」の後書き。
「(略)近世つまり江戸は<暗黒の時代>のように思われがちです。
芳賀徹氏はこれに対し、近世が日曜日であり、近代=明治維新は
<月曜日の夜明け>だとたとえています。
私はこの言い方がとても好きです。
日曜日の日本に生きた父祖たちに会いたい、
縁側でお茶でもすすりながら話をしたいと思っています。
私がこういう作業をしていく原動力は、
この<想い>に他なりません。
<日曜日の昔話>、これからも拾い集めていきたいと思っています。」
(杉浦日向子さん著「合葬」後書きより抜粋)
杉浦さんの<日曜日の昔話>、随分と長い間 楽しませていただいた。
漫画もエッセイも、粋で、淡々とおもしろ哀しく、時には怪しく。
「百物語」「百日紅」「YASUJI東京」などは何度も読み返した。
その都度、身近に感じる怪異に怖癒されたものだ。
もう、この現代の語り部の新しい話はきけないのだ・・・合掌。
●家にある杉浦さんの本を、一冊一冊 眺めてみました。
読んだ時のことを想い出しながら。
それから、なんとなくロウソクとお線香に火灯し、
ご冥福をお祈りしました。
今頃、彼岸で 北斎やお栄さんなど江戸の方々と
盛り上がっておられるのでしょうか。
↓怠け者に励ましの一票を・・・
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新幹線で日帰り出張などしつつ飛び回る現代人について書いた
「スーパーマンの涙」というエッセイがある。
(1985年に書かれたもの。「大江戸観光」収録)
「つまるところ、ほんとうに、人間らしい生き方というのは
生物機能に見合った生活規模内にあるものなのでしょう。
歩く速度でものを見、考える。
江戸時代の生活速度は、人間の機能にかなっていました。
時速数百キロの速度で、空間を移動するなどとは、生物として
考えられないことです。
それを、日常茶飯にしている怖さを感じます。
江戸人が一生かけてやった仕事を、たった数ヶ月でやってしまう私達。
江戸人の、100人分の人生のダイジェストだって演じられる私達。
ありがたいようで、便利なようで、豊かなようで、そのじつ、
江戸人の百倍も千倍も哀しいスーパーマンは、
線路脇のゲンゲに涙するのです。(略)
二十世紀は生産と行動の時代、たぶん、二十一世紀は抑制と思慮の時代・・・
やさしい世紀の到来にしたいですね。」
(杉浦日向子さん著「スーパーマンの涙」より抜粋)
ああ、この人は身もこころも 江戸人だったのだなあ。
そして日本漫画協会優秀賞を受賞した「合葬」の後書き。
「(略)近世つまり江戸は<暗黒の時代>のように思われがちです。
芳賀徹氏はこれに対し、近世が日曜日であり、近代=明治維新は
<月曜日の夜明け>だとたとえています。
私はこの言い方がとても好きです。
日曜日の日本に生きた父祖たちに会いたい、
縁側でお茶でもすすりながら話をしたいと思っています。
私がこういう作業をしていく原動力は、
この<想い>に他なりません。
<日曜日の昔話>、これからも拾い集めていきたいと思っています。」
(杉浦日向子さん著「合葬」後書きより抜粋)
杉浦さんの<日曜日の昔話>、随分と長い間 楽しませていただいた。
漫画もエッセイも、粋で、淡々とおもしろ哀しく、時には怪しく。
「百物語」「百日紅」「YASUJI東京」などは何度も読み返した。
その都度、身近に感じる怪異に怖癒されたものだ。
もう、この現代の語り部の新しい話はきけないのだ・・・合掌。
●家にある杉浦さんの本を、一冊一冊 眺めてみました。
読んだ時のことを想い出しながら。
それから、なんとなくロウソクとお線香に火灯し、
ご冥福をお祈りしました。
今頃、彼岸で 北斎やお栄さんなど江戸の方々と
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ほんに杉本さんには江戸の粋を学ばせていただきました。
ちっとも身についてないのですが。
この夏は、少しづつ読み返そうかと思います。
惜しい人物を失いました。
さて、
初めて立ち寄らせて頂きました。
ロハス?
どちらを向いているかよくわかりませんが、たいへん面白いブログに出会えました。
また(頻繁に)お伺いあせて頂きます。
宜しくお願いします。
コメントありがとうございます。
杉浦さんのことは本当に残念です。
また遊びに来てください。