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「小学生の図書貸し出し最多 1人35冊」!?

2009年11月17日 | 知のアフォーダンス

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 1114日付の朝日新聞朝刊に標記の見出しをみつけて、ざっと目を通すが、どうも要領を得ない。短い記事なので全文を記す。 

 小学生が図書館で借りる本の冊数が2007年度、1人当たり35.9冊と過去最高だったことが文部科学省の調査で分かった。前回より2.9冊増えた。文科省は「学校での『朝の読書』などの活動が根づいてきた結果だろう」と分析している。
 調査は、文科省が3年に1度行っている。図書館全体でみると、館数は昨年10月時点で3165館と、これまでで最も多かった。20年前より1.6倍に増えている。
 登録している利用者は3403万人で、本を借りた人数は、のべ17135万人。貸し出された本の冊数も63187万冊と過去最多だった。貸し出し冊数は前回の04年度より5114万冊多くなっている。1人当たり年に18.6冊借りた計算だという。

 まず、この記事には、文科省の調査が何なのかが明記されていない。しかも、見出しに直接的に対応しているのは最初の段落だけで、後は図書館全体の話である。記事は何を伝えようとしているのだろう? ネットを調べているうちに、どうやら1112日に発表された2007年度分の社会教育調査の中間報告結果を根拠にしているらしいことをつきとめて照合してみた。最初の段落は報告の次の部分にもとづいているらしい。

 「うち児童(小学生)に対する貸出業務の実施状況をみると,登録者数,帯出者数及び貸出冊数はそれぞれ399万人,2,043万人,1億3420万冊で,前回と比較すると,それぞれ29万人減(同△6.8%),321万人減(同△13.6%),104万冊減(同△0.8%)となっている。登録者1人当たりの年間利用回数は,6.7回(前回比0.4回増),貸出冊数は35.9冊(同2.9冊増)となりました。」

 1人当たり35.9冊という数値は、図書館の利用登録をしている小学生についてのべたもので、全小学生を対象にしたものではない。しかも、その登録者数は減少傾向にあって、上記の報告によると1995年の790万人に比べて半数近くに減少している。単に文科省の調査結果を圧縮して紹介するだけなら「利用登録をしている小学生の貸し出し冊数が増えた」あるいは「貸し出し冊数の多い小学生が図書館の利用登録をしている」といえばよい。小学生全体の図書館利用の傾向を知りたいところだが、それには、少子化による小学生の総数の変化、貸し出された本の種類、学校図書館における貸し出し状況などのデータを総合的に考察する必要があるだろう。単に文科省の発表を横流しするだけの安易な記事は書いて欲しくないものだ。

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