新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5月30日 その3 アベノミクスは失敗したのか

2016-05-30 16:10:38 | コラム
失敗したと言うのは早計だ:

今回の消費税率引き上げの2年半先送り報道で岡田克也は待ってましたとばかりに「アベノミクスは失敗だったし、公約不履行で総辞職を」と鬼の首でも取ったように語った。私はある程度は当たっているかと疑っている。しかし「アベノミクス」などと固有名詞にしたから揚げ足が取りやすいだけの事で、安倍内閣の景気回復政策が未だに道半ばとすれば、失敗だの引責総辞職とはなるまいと考えている。私は政治だけの責任にしてはならないと考えている。

私はこれまでに何度か「安倍内閣は三本の矢を放って円安に誘導し、デフレ傾向を食い止め、景気の低迷傾向を救い、有効求人倍率を挙げ、一部の大企業の業績改善に大きく貢献したが、内閣が景気振興の具体的な手段を講じる事は不可能で、三本の矢を民間の企業が如何に有効活用するかにかかっているのだ。故に三本の矢に具体性が乏しいとの批判は当たらない」と言ってきた。

即ち、政治が民間企業の具体的な売上高増進と純利益増加の政策や手段等を細部まで指示する事などあり得ず、そういう事柄は経営者の実力如何に懸かっているということ。だが、長年の不況の間に萎縮した経営者たちはその手腕というか質まで劣化して、消費拡大の基礎となる給与を増やす勇気もなく、ただただ安全運転というか過剰な設備を抱え込んだ現状を如何にしてこれ以上悪化させないかに腐心してきたと言えるだろう。しかしながら、大方のマスコミや外国からも批判された内部留保だけは増やしてきた。

給与だけは安倍総理の再三の要請に応えて、余裕があるトヨタや利益を確保している優良会社では上がってきたが、とても中小企業にまでは回りきっておらず、GDPの過半数を占める個人消費は一向に進まなかった。私はこの状況には確かに具体性を欠くアベノミクスも責任が皆無とはしないが、劣化した経営者たちの責任は重大であると思う。例えば、東芝、シャープ、一時期のソニー等の不振はアベノミクスの責には帰せられまい。

そこに、安倍内閣の揚げ足取りだけは上手い一部のマスコミは「消費税が10%に引き上げられれば生活が苦しくなる」などと、キチンとした服装をしたご婦人たちに新橋駅の裏の広場で語らせたりする。生活に困っている人が着飾って新橋までわざわざインタビューを受けに出て来るのか。彼らに言わせるべき事は「手前どもの主人が雇って頂いている会社の経営者がヘボで一向に給与が上がらないで困っているので」が先であるべきだ。

それと忘れでゃならない事は「我が国の人口の25%を高齢者が占めている」という事実だ。高齢者には確かに老後の不安と安全を考えて蓄えている者が多い層があるのは確かだ。そして、その高齢者たちは今更何になけなしの貯金から投資するべきかと思っているのではないか。投資したい使い道を思い付かないのだ。非耐久消費財は買うが、スマホ如きを買ってゲームなどに没頭する気はないし、現職の頃のようにビジネスやファーストクラスに社費で乗って海外に出て行けたような人がどれほどいるのか。この行き詰まりを打開するのが経営者たちの手腕だと思うが、彼らは失われた20年に育ったので、慎ましやかな暮らししか知らないのが欠陥ではないのか。

「良い時代に育ち、良い目を見てきたお前に何が解るか」という声も聞こえてきそうだが、好況ではない時こそ好機だと捉えて伸びている会社だってあるではないか。経営者たちにも奮起を求めたいのだ。勿論政治家にもだ。安倍総理は「リーマンショック前状態」をサミットで強調されすぎた恨みは残るが、世界でも景気が良い方なのは我が国だけだという説が依然として海外にはある。その状況の中にあっても延ばして行く政策を打ち出して実行するのが社内で最もも高額な給与を得ている経営担当者の責務だと彼らに自覚して貰いたい。



コメントを投稿