新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

23年度卒業大学生対象就職希望企業ランキング

2022-03-07 08:17:02 | コラム
製造業の落日:

本日の産経新聞に件名のような、産経新聞社とワークスジャパンの調査で23年度3月卒業・修了予定の大学生、大学院生を対象に、希望就職先調査を実施した(回答数29,150票)結果が掲載されていた。その見出しは「金融大手、総合商社に支持 インターンシップが採用活動の起点に」となっていたが、当方の関心はそういう所にはなかった。

そうなったのは当然だと思わせられたのが「文系総合」とされた統計では1位が伊藤忠商事だったのはご同慶の極みだが、以下17位までには重厚長大の製造業は全く登場しなかったのだった。18位はサントリーホールディングスだったので、この会社が製造業なのかは私には判断は出来なかった。19位が味の素で20位に資生堂で34位がアサヒビールという具合だった。製紙会社は100位までには登場していなかったのは、「矢張りそうなったか」と思った以外の感想はなかった。「重厚長大」の反対語を敢えて特記しない。

更に、文系男子の希望先を見ても1位が伊藤忠商事で、11位に資生堂が出てくるのだが、物作り重厚長大の企業は見当たらないのだ。サントリーホールディングスはここでも16位であり、味の素は26位でアサヒビールは30位で、50位に富士通が登場していた。

そこには勿論時代の変化というか、ITC化(とデイジタル化)の急速な進展があるし、ずっと以前から製紙業界のように都会を離れた工場勤務があることを「3K」の典型的産業の如きに言われたことも、物作りが敬遠される傾向が更に進んだのかと思わせられた。

最早、これ以上業種別の希望先まで深追いしようとは思わない。私の年齢層が就職活動をしたのは昭和20年代の末期で、朝鮮動乱も終わって不況のどん底にあった。極端に言えば「採用して頂ければ如何なる会社でも不服はありません」のような頃だった。言い換えればと言うか回顧すれば、「製造業」が何ものにも優る時代で「三白景気」と言って「紙、砂糖、セメント」が我が世を謳歌していたのだった。

回顧談は兎も角、W社ジャパンの長老が嘗て語っておられたことはと言えば「大学生にとっては就職というのは、株式投資でみずてん(不見点)で信用買いするようなものだ。その会社が将来どのように転ぶかなどは解らない危険なこと」だった。言い得て妙だと思う。私は「現時点で好調な会社とは、遠からぬ将来に悪くなるということと見ておくべきだ」と思っている。

現に、私は三白景気の末期にあった紙パルプ産業に何とかや採って貰えたのだった。初任給などは中・高・大学の同期の中で群を抜いて高かった。だが、総務部のお局様は「心配することはないわよ。2~3年もすれば同期に追い抜かれるから」と真顔で言われた。実際にその通りとなった。そして、上記の産経新聞の調査では全くお呼びではなかった。あーあ。

参考資料;産経新聞 22年3月7日版



コメントを投稿