新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月31日 その2 アメリカの新聞社が悲鳴を

2018-08-31 14:41:01 | コラム
トランプ大統領の関税攻勢の影響:

何処が発信したニュースかは失念したが、アメリカの新聞社がトランプ大統領がカナダからの輸入の新聞用紙に課した高率の関税で悲鳴を上げていると知った。ごく自然な成り行きであると思った。アメリカは嘗ては世界第1位の紙生産国だったが、その頃でも新聞用紙などはカナダからの輸入に依存していた。またカナダは人口も少ないので、こと紙の輸出に関してはアメリカが最大の相手国だった。

だが、悲しいかな長年カナダドルがアメリカドルに対してカナダドルが強すぎた時期が長く続き、多くのカナダの製紙会社は多額の赤字に苦しめられ続けてきた。だが、近年はこの形勢が逆転してカナダの製紙会社は漸く黒字決算が出来るようになっていた。考え方によっては結構な変化だと思って見ていた。

だが、そこに現れたトランプ大統領は「アメリカファースト」の旗印の下にNAFTAのみならず、中国を最大の標的とする高率の関税の賦課によってアメリカの貿易赤字の削減策に打って出られた。それ自体にはというか有識者が指摘する「ここで中国を叩いて対アメリカの貿易黒字を軍備に回させない」という大目的があるのならばそれで結構だとは思っていた。

だが、25%などという関税を掛ければ国内の物価に反映するのは自明の理だが、トランプ大統領がその点を何処まで意識されて始められた作戦かなどは、私如きに解るはずもない。だが、カナダから輸入している紙類がどうなるのかくらいは頭の片隅では気になっていた。現にアメリカでは大手の新聞用紙メーカーは軒並み所謂 Chapter 11 で青息吐息なのだから、そこにカナダから輸入に依存する紙のコストが関税分跳ね上がれば、それでなくてもネットに押されて弱っている新聞社が困るのは明らかだと思っている。

恐らく、輸入品に課される関税でアメリカで国内価格が上昇するのは、何も新聞用紙だけと限られてはおるまい。まさかトランプ大統領はご自身の味方ではない新聞社が悩まされても None of my business. と割り切っておられる訳でもあるまい。ではあっても、彼の岩盤の支持層であるラストベルトの労働者やプーアホワイト以下の層にも「これは中国を叩く為の重要な政策であるから暫時辛抱を」と納得させていおく必要があるのではないだろうか。

そうでもして置かれないと、当初に懸念されエコノミストや評論家がいう「関税の賦課は諸刃の剣」が現実のものになりつつあって、巷間指摘されている「中間選挙対策としてはマイナスではないのか」という問題になりはしないかということだ。私はトランプ大統領は何処まで関税賦課政策の影響を計算し尽くされたのかが微妙なところかと思って見ているのだ。



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