新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

和製英語(=造語)とカタカナ語 #7

2014-02-09 07:48:15 | コラム
承前)

言葉の誤用と借用:

私はこのグループに入る言葉が最も厄介であると思う。何故ならば造語的な要素も入っているからである。だが、ここには我ら日本人の素晴らしい造語の才能を見出すことができるのだ。しかも多くはそのまま日本語として定着している。英語では何と言うかをよく確かめておかれると「会話」の際に安全である。

*リニューアルオープン→ opening after renovation or refurbishing、
解説)これは適切な英語を見付けるのが難しい。パチンコ店などが賑やかに店内改装の後に再開する場合などに使う宣伝文句である。一見英語風だが、どう考えてもおかしい。もし英語国なら何というか考えてみると”We are renovated and opened (reopened).”辺りになるか?同様に「グランドオープン」というものあるが、これも変である。少なくともopenではなくてopeningかreopeningになりはしないか。次の分類になる言葉の誤用に入れたくなった。

*バトンタッチ→ baton passing、
解説)私は長い間この言葉をタッチだけではバトンを渡していないではないかと揶揄してきた。

*テープカット → ribbon cutting、
解説)これも面白い。テレビでしかこの儀式を見たことがないが、カットされているのは何時もリボンである。トラック競技でも1着の人が通っていくのはリボンに見えるがテープと言っている。

*キャプテンシー → captainship、
解説)アナウンサーも解説者も一様にキャプテンシーは主将としての統率力や指導力を表す時に使っている。だが、語尾の“cy”は地位ないしは役目を示すものである。正しくはキャプテンシップであると思う。論より証拠に大統領の地位は“presidency”と言うが。

*スリッピー → slippery、
解説)「滑りやすい」という意味で上記同様アナウンサーと解説者御用達である。だが、Oxfordにはslippyという言葉は載っていない。だがslipperyは載せられている。

*ランニングシャツ→ sleeveless shirt、
解説)どうもこれに当たる英語がないようだ。こういう言葉を当て嵌めていた辞書を何処かで見たことがあったので取り上げた。ここで「ランニング」を取り上げたのは、カタカナ語には屡々登場するからである。それも概ね何か変だなと思わせてくれる例が多いのも特徴である。シャツは走らないと思うのだが。さて、“tread mill”をカタカナ語では何となっているか。

*ランニングコスト→     running cost、
解説)これも屡々使われるが、私は長い間これをoperating costの誤りであると思っていた。コストは走れないのだから。営業経費か運用費のことだ。我が国の英和辞典にはrunning costは出てくるが、Oxfordには採用されていない。なお、初期費用はinitial costである。

*シティホテル → ???
解説)シティボーイなどと同じで、ここまで来ると造語に入れるべきだったかと迷う次第である。ビジネスホテルなども同じ誤りの部類であろう。

*ビジネスライク → businesslike、
解説)実はこれは立派な英語なのだが、カタカナ語として使われる場合の「冷淡な」という響きはなく、効率的や能率的にという意味である。そう思っている人が多いか?

*スナック → snack bar、
解説)一言にすればsnackは軽食である。であれば、これはスナックバーとするべきものを省略したと解釈する。

*リピーター → repeater、
解説)Oxfordには連射可能なガンとあり、ジーニアスには常習犯とある。すると我が国マスコミご愛用にこの言葉は?何でも語尾に“er”をつければ良いってもんじゃない。シャネラーで味をしめたのか?こういう造語をでっち上げる才能を褒めるべきか、貶すべきか。英語にすれば“regular customer”が近いと思う。“frequenter”とする和英辞書もあったがOxfordには載っていなかった。

*フライイング(フライング)→ flying、
解説)これなどは造語の面白さの最たるものであろうと思う。カタカナ語として使われている場合の正しい英語はfalse startである。だが、flying startというスタートの方法はある。それはスタートラインの前から助走をつけてスタートすることである。それと合図以前にスタートすることを混同して、フライングだけを残したと解釈している。因みにflyingにはどこを探してもフライングの意味はない。

*コンプレックス→ inferiority complex、
解説)劣等感なのだが、何故かinferiorityが省かれてしまった。思うに発音が難しくて仮名書きにできなかったからでは?complexだけでは劣等感にはならないのは言うまでもない。因みに、優越感はsense of superiorityになるようだ

*フリップ→ chart or flip chart、
解説)テレビで屡々使われている。そもそも「綴じてある紙をめくりながら話をすること」なのだが、何処でどう間違われたのかチャートの意味で堂々と使われている。誰一人として疑わないのが凄いと思う。これは造語の部類に入れてもおかしくないかも知れない。

ダンプカー →   dump truck or dumper、
解説)これも面白い。何故、乗用車を表す“car”になったのだろう?

*ベビーカー → baby buggy or carriage、
解説)何でも“car”にすればよいと思ったのか?このように、おそらくそれを車と訳し、赤子のbabyと組み合わせたのだろうが、そうであれば乳母車の乳母は何処に行ったのだろうか。乳母=nurseには子供をお守りするという意味があるから、そこを考えたのか?”car”をエレベーターの駕籠という意味でも使われるので要注意かも知れない。

*ジャンパー → jacket、
解説)“jumper”は労務者の作業用の上着であり、この和製語が言いたいものはjacketの方が適切であると思う。Brooks Brothersではこのジャンパーに当たるジャケットのプライスタグにはouter wearとある。

*ボールペン→ ball-point pen、
解説)“ball”がペンにはならないと思うが。

*スキンシップ → physical contact、
解説)こんな英語はないと思う。body contactとしてある辞書もある。これだと一頃流行ったボディコンと勘違いされはしないか?

*ボディコン → skintight、
解説)それにしても何処の誰がbody conscious等という言葉を思いついたのか?単語帳的知識の成果か?

*コーナー→ bend or curve、
解説)「第4コーナーを回って」等という時のコーナーである。Corner=コーナーは角であり端である。曲がってはいない。そうすると、テレビ番組などで「~のコーナー」と言っているが、あれは何だろう
続く)



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