新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「経済を回す」必要は大有りだ

2020-08-08 08:38:30 | コラム
4~6月期決算の結果に見る経済の危機:

本日の産経新聞が報じていたところを纏めてみれば、東証一部上場の873社中(金融関係を除けば)実に31.5%の企業が最終赤字を計上していたのだった。これは由々しきことだと思う。更に業種別の赤字を見れば、輸送器機が7,181億円、陸運が3,705億円、空運2,075億円、石油・石炭が819億円、鉄鋼が430億円となっていた。更に、我々が日常的に依存している病院は産業界とは一線を画するが、その60%が赤字で深刻な経営状態に陥っている。

私は「経済を回す」という表現は具体性に欠けると思っているが、そんなことを別にして考えよう。上記の各産業界の決算を見れば、政府が如何なる手段を講じても景気を支えて、我が国の経済を回復しようと計るのは当然すぎるほど当然である。一頃は新型コロナウイルス制圧と景気の回復を計ることを恰も二者択一の如くに言う論調が蔓延っていた。だが、私はこの両者は別個のことではないかと思うのだ。素朴なことを言えば、中央官庁にしても財務省と経産省に対するに、厚生労働省と分かれているではないか。別個に対策を講じていくことこそ優先されるべきではないのか。

ところがである、ウイルスの征圧対策の中でも東京他の地方の大都市でも、夜の街であるとか、外飲業種・外食業種、キャバクラ、ホストクラブ等々の自粛要請こそが肝腎であると言わんばかりに、これらの業種への補償に重点を置くような手法に訴えているのは、私は優先順位を誤っていると断定したいのだ。鈴木傾城というライターは「そういう業種は先行きを良くを考えれば、今のうちに撤退か廃業を考えておくべきなのだ」とまで指摘しているのだ。先日も引用したが、嘗て「中小企業の2社や3社が倒産しても」とまで言って、我が国の高度成長の基礎を築いた総理がおられた。

「経済を回す」べきは担当の中央官庁の職務であり、経営者には往年の気概があるものが少なくなった恨みがある産業界には世界に冠たる技術もあり、基板には確固たるものがある。故に、政府は彼等を支えて景気回復を一任しておけば十分ではないのか。一方の新型コロナウイルス制圧対策は依然として誠に頼りなく、数字を掲げて見せれば良識ある国民がついてくるだろうというような責任逃れの対策ばかりでは何ともならない。この対策の司令官を誰が務めているのかも判然としない態勢を可及的に改めて、具体的且つ即効性がある対策を速やかに実行していくのが焦眉の急だ。



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